南斗屋のブログ

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共有関係を解消する~共有物分割訴訟

2018年01月24日 | 民事訴訟
1 不動産を共有すると共有者間で様々な調整をしなければなりません。
共有者間の仲が良い場合は問題ないのですが、悪くなるとこの調整が難しくなってきます。

2 共有となる場合というのは、次のような場合です。
・夫婦で住宅を共有していたが、財産分与の話し合いがつかず、共有状態のままとなってしまっている。
・親の不動産を相続したが、遺産分割で共有状態とした。

3 共有者間の調整がつかなくなってきますと、共有関係を解消したほうがよい場合があります。
 共有関係の解消について話し合いができればよいですが、解消したいというときは人間関係が悪くなっているときも往々にしてあるので、話し合いがつかないこともあります。
 そのようなときに取る法律上の手段として、「共有物分割」があります。

4 共有物分割の訴訟の目的は共有関係の解消にあります。
 共有関係の解消するための判決には次の3つがあります。

 1)現物分割= 実際に現地を共有割合で分割するものです
 土地が大きい場合はこの方法は妥当です。逆に土地が狭い場合は、さらに狭くなってしまい、売却に適さなくなってしまうという欠点があります。
 住宅地のようにそれほどの広さがない場合は、現物分割は適さないです。

 2)価格賠償=相手方の共有持分を買い取るという方法です。
 この方法は実際にはよく用いられるものであり、買い取りができる資力があればこの方法が紛争解決に適します。 
 問題は買い取りができる資力があるかどうかです。
 判決では分割弁済はできないので、一括で買い取れる場合でないとこの方法は使えません。

 3)競売命令
 以上の 二つの方法が 採用できない場合は 裁判所は 競売命令 という判決で共有状態の解消を判決します。
 裁判所の競売手続きにより、物件を売却するという手続きとなります。
  競売命令の欠点は 競売 をするということで 売却価格か 低くなってしまうということです。

 判決となるとこの3つの方法に限られてきてしまいます。
 しかし、和解」(合意)であれば、別の解決がありえます。

 4)任意売却= 当事者で合意して 売却する方法
 競売命令に比べて物件を高く売ることができるのがこの方法のメリットです。
 もっとも、任意売却である以上、買い手がつかないということもありえます。また、買い手は見つかったけれども、その価格で売ることに共有者の全員の合意が取れないという場合もあります。
 そのような場合に備えて、「*月*日までに任意売却できない場合は、共有者の1人が単独で競売の申立ができる」という条項を入れておくのが妥当です。
 


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