南斗屋のブログ

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和解事例1536から和解事例1540

2019年08月12日 | 原子力損害
2019年8月2日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1531から和解事例1544まで)。今回は、1536から1540までの和解事例を紹介いたします。
 1536は避難指示解除準備区域(浪江町)での生命身体的損害や日常生活阻害慰謝料に関するもの、1537は、避難指示解除準備区域(富岡町)所在の会社の営業損害(逸失利益)に関するもの、1538は居住制限区域(浪江町)の居住者(住民票が同所ではない)の住居確保損害に関するもの、1539は自主的避難等対象区域(福島市)所在の会社の営業損害(逸失利益)に関するもの、1540は旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)内において運営する店舗の営業損害(逸失利益)に関するものです。

和解事例(1536)
避難指示解除準備区域(浪江町)において関節リウマチの持病を抱えつつ生活していたが、原発事故による避難生活によって新たに肺疾患等を患い、健康状態が悪化して平成26年7月に亡くなった亡父を相続した申立人ら(母及び子)について、1.亡父の死亡慰謝料及び逸失利益につき、亡父の避難後の病状の変化等を考慮し、原発事故の影響割合を2割として賠償され、2.亡父の平成23年3月分から平成26年7月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)につき、症状の悪化の程度に応じて、月額4万円、6万円又は10万円が賠償されたほか、3.亡父の生命身体的損害(治療費、入通院慰謝料)等が賠償された事例。

和解事例(1537)
避難指示解除準備区域(富岡町)において木材の加工販売等を行う申立会社の営業損害(逸失利益)について、申立会社の事務所等の所在地が土地区画整理事業の対象となったことにより休業を余儀なくされたなどの事情がある期間を除いた平成17年度、18年度、19年度及び22年度(年度は当年4月から翌年3月まで)の平均値を基準期間の売上げとして算定した事例。

和解事例(1538)
 居住制限区域(浪江町)に居住していた申立人らにつき、住民票上の住所は異なっていたものの、近隣住民の陳述書や公共料金の契約状況等から同所に居住していたものと認め、住居確保損害が賠償された事例。

和解事例(1539)
 自主的避難等対象区域(福島市)において青果物の卸売業を営む申立会社の営業損害(逸失利益)について、申立会社の平成25年4月以降の売上高は原発事故前の売上高を上回っているものの、申立会社は平成25年4月に県外に新たに事業所を設置したことによって売上高が増加したこと、平成25年4月から平成26年3月までの事業年度は営業損失を計上していること等を考慮し、平成25年4月分から平成26年3月分まで、上記新たな事業所の売上げに係る分を控除した上、原発事故の影響割合を2割として、賠償された事例

和解事例(1540)
福島県内を中心に贈答品の小売店を運営する申立会社が旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)内において運営する店舗の営業損害(逸失利益)について、原発事故後の商圏内の住民の避難による人口減少の状況等の事情を考慮し、平成28年9月分から平成29年8月分まで賠償された事例(原発事故の影響割合を当初は6割、後には5割とする。)。



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