南斗屋のブログ

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和解事例、1561から1565まで

2019年10月24日 | 原子力損害

2019年10月18日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1561から和解事例1570まで)。今回は、1561から1565までの和解事例を紹介いたします。
1561=自主的避難等対象区域(相馬市)の避難費用・生活費増加費用に関するもの
1562=帰還困難区域(双葉町)の営業損害(農業)・就労不能損害に関するもの
1563=帰還困難区域(大熊町)の営業損害に関するもの
1564=地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)の就労不能損害に関するもの
1565=自主的避難等対象区域(郡山市)帰還困難区域の避難費用・生活費増加費用に関するもの

和解事例(1561)
自主的避難等対象区域(相馬市)に居住していたところ、申立人母及び未成年の子ども2名が関西地方に避難し、申立人父が相馬市内に継続して生活した申立人らについて、平成26年3月分までの避難費用(面会交通費、住居費)、生活費増加費用(二重生活費増加分)、子ども2名に対する避難雑費(子ども1名につき月額2万円)のほか、平成28年5月に申立人母が甲状腺検査を受けた際に支出した検査費用が賠償された事例。

和解事例(1562)
帰還困難区域(双葉町)において自ら農地を所有していたほか、他者の所有に係る農地についても所有者から受託して米作に従事し、また、農閑期には酒造業者において勤務をしていた申立人について、自己所有に係る不動産(農地)の財物賠償のほか、農作業の受託業務に係る営業損害(逸失利益)については平成26年3月分から平成30年3月分まで事故前収入を基に算定した額(平成29年3月分までは事故前収入の10割。同年4月分以降は8割。)が、酒造業者における業務に係る就労不能損害については平成26年3月分から平成28年2月分まで事故前収入の10割が、それぞれ賠償された事例。

和解事例(1563)
帰還困難区域(大熊町)で不動産業を営んでいた申立人の営業損害(逸失利益)について、直接請求手続においては、法定耐用年数で計算した減価償却費を逸失利益の算定に当たって差し引いていたが、実質的耐用年数で計算した減価償却費の限度で差し引くことによって、追加賠償が認められた事例。

和解事例(1564)
地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住し、自主的避難等対象区域(相馬市)内の漁業協同組合に勤務していたが、原発事故による同組合の規模縮小に伴い解雇され、その後、遅くとも平成24年5月までに他所に再就職した申立人の平成24年6月分から平成29年2月分までの就労不能損害について、漁港の復旧状況並びに申立人の再就職及び求職状況等を考慮し、本件事故前の給与と上記期間に再就職先から受給した給与との差額の一部(平成24年6月分から平成25年12月分までは10割、その後、1割まで漸減)が賠償された事例。

和解事例(1565)
自主的避難等対象区域(郡山市)に居住していたところ、申立人母(原発事故当時妊娠中であり避難先で第二子を出産。)及び未成年の子ども1名が東京都内に避難し、申立人父が郡山市内に継続して生活した申立人らについて、平成25年3月に自宅に帰還するまでの避難費用(避難交通費、引越関連費用、一時帰宅費用)、生活費増加費用(家財道具購入費、二重生活費増加分)等のほか、子ども2名に対する避難雑費(子ども1名につき月額2万円)が賠償された事例。



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