ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇「くるまば草」序曲
ワルツ「わが家で」
ポルカ「町といなか」
ワルツ「愛の歌」
ポルカ「爆発ポルカ」
ポルカ「アンネン・ポルカ」
ポルカ「うわ気心」
ポルカ「狩り」
歌劇「騎士パスマン」チャルダッシュ
常動曲
ポルカ「観光列車」
ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲
指揮:ウィリー・ボスコフスキー
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1975年1月1日、ウィーン(ライブ録音)
発売:1981年
LP:キングレコード:K18C‐9139
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートは、毎年1月1日にウィーン楽友協会の大ホールで行なわれるマチネーのコンサートであり、日本でもテレビで中継放送されるので、日本の人々もお馴染みの恒例の新春コンサートである。シュトラウス一家のワルツやポルカなどを中心に演奏されるが、バレエなども組み込まれ新春らしい華やいだ情景は、一時、夢の世界へと迷い込んだような錯覚すら覚える。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートは、1939年12月31日にクレメンス・クラウスの指揮により初めて開催されたが、現在は1月1日の昼に開催されている。最近の指揮者は、ズービン・メータ(2015年)、マリス・ヤンソンス(2016年)、グスターボ・ドゥダメル(2017年)、リッカルド・ムーティ(2018年)、クリスティアン・ティーレマン(2019年)、アンドリス・ネルソンス(2020年)、リッカルド・ムーティ(2021年)、ダニエル・バレンボイム(2022年)。このLPレコードは、1975年のニューイヤーコンサートのもようがライブで収録されている。1975年という年は、シュトラウス2世の生誕150年に当たり、しかもクレメンス・クラウスが創始してから30年目という節目の年。このため、いつも以上に盛り上がりを見せた様子が、当日聴衆の一人として現地で参加した音楽評論家の大木正興氏(1924年―1983年)による筆で、ライナーノートに次のように紹介されている。「さていよいよボスコフスキーの登場である。おなじみの銀髪、小柄な体が65歳とはとても思えぬ若々しさでさっそうと現れる。われわれにはその動作はいくぶん“きざ”にみえるのだが、ウィーン子にはそれがまたたまらないのだろう、客席から熱狂的な拍手が巻き起こる。・・・ボスコフスキーは、もちろんヴァイオリン片手の指揮で、ここぞというところでは客席を向き、いまにも踊り出しそうな軽い身のこなしで朗々とひく。彼もウィーン・フィルのメンバーも、心の底から演奏を楽しんでいることがその表情からはっきりとわかるし、曲が進むにつれて聴衆の方もだんだん酔ったような顔つきになってくる。・・・」。このLPレコードにおいて、ウィリー・ボスコフスキー(1909年―1991年)は、同コンサートの中興の祖とされるだけあって、実に生き生きとウィーンの音楽を指揮しており、リスナーが時空を越えて、あたかも当日、会場で実際に聴いているような雰囲気にしてくれる、何とも嬉しくなるLPレコードではある。(LPC)