どれほど華やかに見える別世界のような仕事をしていたとしても
共通の「社会」に生きる一人であることに変わりはなくて
そこには、人として当たり前の常識がある。倫理がある。
それを踏み外すことは、共に社会に生きる周りの人を傷つけ、蔑ろにし、踏みにじる行為。
誰にだって「欲」はある。
でも、社会に生きる人たちは、その「欲」を「常識」の範囲でちゃんと抑制して生きている。
24時間テレビ39のドラマが、一部撮り直しになるそうです。
その記事に対して、4日で撮り直し出来る程度の内容なの?という書き込みも見かけました。
そうじゃない。
何がなんでも、撮り直しをしなくちゃならない内容だということなの。
ドラマの放映はやめたら?という書き込みも見かけました。
そんなことが出来るわけがない。
「盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~」は、出演者一人の個人的な問題を理由に、お蔵入りさせていいドラマじゃないんです。
このドラマが決まった時に、主演をつとめるシゲが言っていました。
「新井先生の話を伝えるだけなら、ご本人のドキュメンタリーの方がずっといい。だからこそ、わざわざドラマにする意味がそこになくちゃいけない」
それはシゲだけじゃなく、新井先生の話をドラマ化しようと思ったプロデューサーの方はじめ、ドラマ制作に携わるスタッフ全員が思っていたことだと思うのです。
新井先生ご夫妻に、良かったと納得していただけるようなものを作らなくては…
シゲが試写会で「ものすごい責務」というような話をしていたけれど、本当にそれこそ文字通り「必死」に新井先生を演じたんだと思う。
新井先生の著書にも書いてあるけれど、リハビリテーションセンターでの訓練は、合宿なども含めておよそ2年にも渡った苦難の日々。
どう考えても数分程度の内容ではない、そして、全盲の方がどのように社会復帰をしていくのか、その過程を見せる大事な場面が多いのだと想像がつきます。だから、彼の出ていたシーンだけをカットして、つぎはぎで誤魔化すなんてことが出来るはずもない。
読売新聞のインタビュー記事に、「医療関係者から『ドラマが放送されると、網膜剥離の検診に関心が高まると思うから頑張ってほしい」と期待をかけられた』とシゲが語っているように、24時間テレビのドラマには、その病に携わる人たちの期待もあるのです。
そして、何よりも、完成された試写をご覧になった新井先生ご夫妻が、加藤シゲアキさんと沢尻エリカさんに「こんなに素晴らしい作品にしてくれてありがとう」と涙とともに伝えてくれた、そのお二人を失望させるようなことがあってはいけない。
出演者もスタッフも同じ気持ちだったからこそ、即決で「撮り直し」ということに決まったと思うのです。
オンエアまであと4日。
どなたが代役に立たれるのか、まだ分かりませんが、急な代役の方もめちゃくちゃ大変でしょうし、ドラマ以外の企画もあるシゲも大変だし、他の出演者の方も予定を変更して、この短期間の間に撮影スケジュールを合わせなくてはならないし、本当に本当に大変だと思うのです。
そして、スタッフの皆さんは、オンエアのギリギリまで編集作業にかかりっきりになることが目に見えるようです。
でも、きっときっとこの逆境を乗り越えられる。
NEWSは逆境に強い。
そのNEWSを支えてくれるスタッフ・関係者の方々も強い。
今回の逆境を乗り越えた先にあるドラマの中のドラマを、期待して心待ちにしています。