そして、最終巻と相成りまして・・・
ラストはもう、「秀頼覚醒」の巻ですね。
「目覚めたら別人」とか、かなり突っ込まれました(w
当初案ですと、高台院を義治なんかが連れて来て、
秀頼の覚醒を促す・・・みたいな流れで考えていました。
でも、それだと周りくどくなるのと、とてもページ数が足りないので、現行とあいなりまして。
お陰で1巻、2巻・・・特に2巻の高台院がらみの伏線ぽいの、ざっくり捨て去られていますが(w
でも、これで良かったかなと思います。母が死に、大阪城は焼けています。
この2つは秀頼を閉じ込めておく鎖と檻・・・そういう描写のある作品は多いです。
本作では淀の方は死を持ってして秀頼に独り立ちを促し、
帰るべき大坂城は焼け落ちて、秀頼成長の糧となった。。。
思えばこの『豊臣蒼天録』で死んだ豊臣方は加藤清正、大野治長にしろ、
そして福島正則らもすべて、秀頼を「天下人」とするための捨て石になった・・・ということでした。
本作の場合、それに秀頼が応えて成長してくれたのだと思います。
さて、最後に終章での世界観について。
質問も寄せられていましたが、どこの大名がどこに行ったのやら(w
もっと時間があれば・・・じっくり考えると楽しそうでですが、
残念ながら作者も大まかにしか考えてません。
多分、どう考えても「そうなるか?」ってことにしかならない気がしています。
ただ、豊臣家のこれからの利益は米ではなく、海外との交易で賄うというのが、根本にあるのは確かです。
なので、徳川家のように広大な直轄地を有してはいないでしょう。
(ただ、関ヶ原以前の二百万石は取り戻していますよ?)
ラストで関白を辞めてしまったので、それは或いは混乱の種かも知れませんが。
でも、秀頼にはあの「視点」に立って欲しかったので、ああなりました。
智仁親王が皇位に就けたのか、菊亭晴季は権力を握れたのかは・・・
ほら、秀頼も随分と「悪党」になったし(w
そのあたり、大谷義治がさっくりと処理したと思います(待
義治といえば、あのラストシーン。
あれは実は、『関ヶ原群雄伝』をあと2巻くらい書いたら、終章に使う予定でした。
義治が琵琶湖に鐘切の太刀を捨てる・・・
・・・『関ヶ原群雄伝』は「俺たちの戦いはこれからだ!」的に終わってますが、
別に打ち切りとかじゃないですよ?仮に書くしたら・・・の話。
実はあの話、没になった序章に「異国の雨」というのがありました。
それと対になって「蒼天の国」というのが、実は当初から頭の中にありました。
ある意味あのラストは、「シリーズ6巻」の幕引きであったのかも知れません。
でも、終わってみれば豊臣秀頼が太刀を捨てるのが、一番相応しかったように思います。
天下統一した彼の寿命がこの先、どれだけあるのかは分かりません。
でも、秀頼の戦いこそ「これから」だと思います。
彼の生まれ持った使命は戦場に立つことではなく、この国を「自由の国」とすることにあるのですから。
晩夏に咲く向日葵。そして、蒼天。