「庭の小さな花シリーズー(7/10)」
先週から今週に掛けては医者通いで忙しかった。
通例の定期診察が主なのだが、いずれも長く待たされる。先週は待合室で過ごした様な
感じがする位である。
「元気や体力ないと医者にも行けない、さぁ今日は調子がいいから医者でも行くか」と言う
笑い話を身にしみて実感する。
特に眼科などはゆうに半日は掛かってしまう。馴染みの患者は諦め切って唯ひたすらじっと
待つが、新しい患者はやがてイライラし始め不満の独り言をブツブツと漏らし始める。
ある時は、昔はさぞ偉かったという感じの立派な老紳士が奥さんに連れられて来ていて、
直ぐにまだかまだかと言い始め奥さんを5分おき位に受付に聞きにやらせるなんて人も居た。
皆のまだかなぁと首を傾げる姿と溜め息が充満する眼科の待合室である。
糖尿の待合室はさすがに年輩者ばかりで、周りの様子を見ていると私など未だ若い方なのでは
と思ってしまう。服装もやや乱れ気味で耳も遠いヨボヨボのお爺さんお婆さんで一杯になる。
自分が呼ばれて若い気になって努めて大きな明るい声で返事して、すっと立とうとすると
「あぁ、ゆっくりで良いですよ、ゆっくり、気を付けて」と言って手を差し伸べられてしまう。
すると若いと思っていた気分が一気に醒めてしまう。
看護士さんから見ると私も周りの人と同じに見えるのだと一寸寂しくなる。
循環器科では皆が神妙で静かにおとなしく待っている。これは心臓の病気という勢なのだろうか。
昨日は珍しく外科医院の待合室にいた(指の一寸した傷が化膿して腫れてズキズキ痛むので処置して
貰ったのだのだが)。ここは若者や中年、せいぜい初老の人が多く、返事もハキハキ、動きも早くて
明るい雰囲気だった。
たまたまかも知れないが病院の待合室の雰囲気がその科によって随分違うものだと面白かった。
そのうち呼ばれても聞こえなくなったり、医師と普通に会話が出来なくなりそうで恐ろしい。
今ももう半分なりかけ位のところではあるけれど。