風吹くままに

温泉県に暮らすマリの日常

晩鐘   乃南アサ

2024-08-06 16:37:00 | 




晩鐘」上中下読了。
乃南アサさんの「風紋」の続編。

被害者と加害者それぞれの家族の7年後。
母を殺された娘、
殺人者の妻、
そしてその息子、
それを見つめる新聞記者4人を中心に描いている。
殺人事件が起こり犯人が逮捕され裁判にかけられ判決が下る。
一応の決着を見たことになる。
が、果たして、
そう言えるのか?
殺された者は、何の思いも何の説明もできず、何も何も何も2度と語れない。
被害者も加害者の家族も
悲鳴を上げながら生きていくことになる。
最後に救いはあるのか?
ある人物には更に過酷な運命が、、、

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風紋  乃南アサ

2024-07-29 21:49:00 | 
あなたのお母さんが殺されたら?
それも不倫の果てに。




またかい?
そうです。
乃南アサさんです。
こうなったなら、とことん読んでやろうじゃないの。

両親、姉との4人家族の真裕子17歳。父は仕事だゴルフだと留守がち。姉は浪人中で、母と何かとぶつかり暴言吐きまくり、物を投げたりの家庭事情。それでも平凡な日々だった。
あの日、真裕子の進路指導で学校に顔を出した母が帰らなくなるまでは。
その日から真裕子の生活は一変した。
「お母さんが死んだ、殺された、、、」
「愛する人は死ぬ。私はもう誰も愛さない」
「お母さんに会いたい」
「お母さんに会いたい」
「お母さんに会いたい」
真裕子の悲痛な叫び。

人が殺されるということは、被害者家族、加害者家族の生活を一変させる。

これもグイグイと引っ張られました。
真裕子の目を通して描かれる父親、姉、叔母たち、そして真裕子自身。更に加害者の妻。
どうしてこんなに緻密に心を描けるの?

一応、上下巻で完結したが、私としては、加害者に疑問が残る。
殺すに至るまでをもっと知りたい。
裁判で明かされてはいるが、それは表面的で、もっと深く知りたいのだ。
そうしたら「晩鐘上中下」「風紋」のその後と言うのが目に入った。
加害者の心理が描かれるかは分からないけど読みたい度マックス。
Amazon高い。メルカリで見つけました。
乃南アサさんは続くのであった。

Amazonより
ある殺人事件をめぐる家族の物語――。事件後、報道によって明らかになる被害者の姿。それは、近しい人間を殺され、ただでさえ苦しい残された家族をさらに追い詰める。またそれは、加害者側にもいえることだった。真に迫る緻密な心理描写で他の追随を許さない著書の、後世に語り継がれるべき傑作が装いを新たに登場。読みだしたら最後、読み手の心を放さない。


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夜明けのすべて 瀬尾まいこ

2024-07-23 21:46:00 | 



藤沢美紗28歳。PMS(月経前症候群)
山添考俊25歳 パニック障害
同僚となったそれぞれの事情を抱えた2人の語りで話が進んでいく。
現実はもっと深刻なんだろうけど
2人の関係がユーモラスで面白く、スラスラ読んだ。
コーヒーブレイク的な本でした。

印象に残った箇所ーーーーーー
「心にたまっていくのは不満だけじゃないし、発したいのは主張だけじゃない。感動や興奮だって伝えられないままだと自分の中に残っていく。「映画すごく良かった」ただそれだけのことだけど誰にも言わないままにはしておけなかった」
ーーーーーーーーーーーーーー
それを話したいと思う相手がいるって「生きる」に繋がると思う。


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ピリオド 乃南アサ

2024-07-15 22:38:00 | 



ストーリー

フリーカメラマンの葉子は36歳の時に離婚。子どもはなく、東京のマンションに1人で暮らしていた。葉子は仕事先の編集者、杉浦と不倫関係にあったが、時を違えて甥と姪が長野からやってくる。2人の父親、葉子の兄は癌を患い闘病していたが、2人はそれぞれ事情を抱え、実家を出たいと強く願っていた。――日々の生活で次々と起きる問題に直面し、様々な感情に揺れる葉子。今では空き家となり、朽ちた故郷の家に思いを重ね、過ごしてきた時間の中で徐々に積もっていった「心のしこり」と向き合う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

乃南アサさんです。
甥、姪の面倒をみるうちに「心のしこり」が溶けていく。
めでたしめでたし
なんて事はありません(全くない訳ではない)
「死」「家族」「自分」がテーマ。
ミステリー要素も孕んでいて、引っ張られました。


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カフネ

2024-07-01 20:35:00 | 





朝刊で紹介されていて「読みたい!」
お値段1700円。
ごめん🙏図書館で借りる。
検索すると「あり」と出たので、
速攻🚗走りました。

内容
薫子の弟は、両親を始め関わる人誰からも愛される。
穏やかな空気にするのだ。
反対に姉の薫子は親から「あなた真面目すぎるから、、、」と顔をしかめられる具合。
弟を愛しながら、弟ほど愛されない満たされない思いを押し殺して生きてきた。

結婚はしたが、夫から突然離婚を切り出されてやけになってしまった薫子に更なる追い討ちがかかる。
弟が急死したのだ。
それを機に弟の彼女せつなと関わる事になる。
彼女は、家事支援の仕事をしていて、薫子も手伝う事になる、、、。
その仕事で、
現代の問題、困りごと、生きると言うことが、炙り出される。
シングル親、ワンオペ、同性愛、アルコール依存症、不妊治療、毒親、、、まだまだあるんだわ。
と、てんこ盛り。

「この気持ち分かる」って箇所もあるんだけど、何だろう、この物足りなさは。
諸々なぞって綺麗事にまとめ過ぎた気がする。
予定調和?
作家の阿部さんは、主人公の様にきっと生真面目な方なんだろうな。
それともう一つ、主要人物が皆似ていて、それぞれの個性の様なものが感じられない。
これ大きい。

「皆良い人じゃ面白くない」😅

「今の自分にできること」に視点を置いて読むと又違うかな。



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マザコン 角田光代

2024-06-18 16:06:00 | 



文庫本の裏すじより

大人になった息子、娘たちの母親への様々な思いを描く作品集。
疎ましくも慕わしい母と子の関係ー切なくビターの8編。
以上


手応えありの8編。
角田さんの視点鋭く、こう言うのを読むと自分の心の内にある言語化できない思いが消化されていくようだ。
「雨をわたる」「ふたり暮らし」のもわーっとした不安感がなんとも言えない。
クスッと笑えると言うかやれやれってのもありました。

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新宿のありふれた夜

2024-03-25 16:33:00 | 
雇われマスターの郷田が酒場を畳む夜。

新宿のありふれた一夜のはずだった。
いや、朝になれば人の目にはありふれた夜が明けただけなのだが。
ハードボイルドな男にのしかかる疲労感。
読者には◯◯◯(ネタバレなので書かない)

人は他人(ひと)を救うのか、救われるのか?
救っているようで救われて、
救われているようで救うのか?












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時代物2冊

2024-02-25 09:53:00 | 

 

ストーリー
(Amazonより)

桑名藩から飛び地・越後柏崎へ赴任してきた若い夫婦。二人を待っていたのは、厳しい陣屋の暮らし、海鳴り止まぬ過酷な環境だった。勘定や検見の仕事に忙殺される夫、渡部鉄之助。そして古着の着物さえ買う余裕のない妻、紀久。桑名に長男を残してきた夫婦は、故郷から持ち込んで番神堂に植えた梅の苗木に望郷の念を募らせていく。子を想いながら、日々を懸命に生きた女の一生が胸を衝く!

時代小説を読むと過酷な農民の生活、一揆などが描かれている事が多いが、下級武士もあまりに貧しくて言葉がでない。
それでも、ほろりとさせられる人情ものかと思いきや、淡々と話は進む。
読み進むうちにもしかして? 
辛いラストが見えてくる。
梅がやっと花を付けたのに。
でもこれがあの時代の現実。
心に残る一冊となりました。


もう一冊は藤沢周平。
こちらは、ほんわか時代物。
「初つばめ」上手いなぁ。









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苺飴には毒がある  砂村かいり

2024-02-04 21:07:00 | 








本の概要 

高校二年生の寿美子には、れいちゃんという幼なじみの友人がいる。
同じ高校に進学し通学を共にしているふたりだが、
過去に複雑な事情を持つれいちゃんは、可憐な容姿とは裏腹に、他人の容姿を貶めたり、陰口を撒き散らすことでコミュニケーションをとる少女だった。
そんな態度に違和感を覚え始める寿美子だが、やがて彼女の吐く毒は自分自身にも及んでいるのではないかと思い至り――。


前に読んだ「うるさいこの音の全部」もそうだったけれど、これも心の内を特に他人に対しての繊細な思いをウダウダ、あーでもない、こうでも無い、こう返したら、こう来るだろうな、、、だらだらと言葉多めに書いてあった。
「はないちもんめ」で、いつも最後まで選ばれない疎外感。
作者上手い。
主人公であるのに共感を得ない部分もある。
ある時姉からは「そんなだと人に嫌われるよ」友人の怜ちゃんからは「みんな寿美子さんの事嫌いだって」と言われる。
共感できない部分もあると言いながら、なんかね、私自身も寿美子みたいなとこあったなぁ、、、と、若い頃を思い出した。
寿美子は、だんだん自然体でいられるようになるのだが、それはネタバレになるので書かない。

ラストに「賞味期限切れの友情」と言う言葉が出てくる。
これ分かる!
思い当たる理由ないままゆうじんに距離を置かれたことがあった。何年か後に年賀状が届いたけれど、返信しなかった。
怒りとは、違うのよね。
そう賞味期限切れしたの。
思い切ってそう割り切ればスッキリする。
熱愛でも冷めるように冷める友情もある。






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雫の街 乃南アサ

2024-01-27 16:32:00 | 



家庭調査官、庵原かのんの勤務地は北九州から川崎になり、移動と共に長い付き合いの彼と結婚をした。
前任地は少年相手だったが、今回は家事事件の担当。
離婚、相続など問題は多種多様。
マスクで表情を窺うことがままならないなど、コロナ禍の現実を盛り込んでの7話。
(ソーシャルディスタンスや濃厚接触者という言葉が私の中で既に懐かしい)
そんな中、庵原かのんは、どうやって相手の心を読み掴み調停へとつなげるのか?

「幽霊」記憶喪失
「待ちわびて」失踪?
「スケッチブック」絵が語る真実
「引き金」長年の孤独
「再会」親は金を出しても口を出すべからず
「キツネ」一番大切なもの
「はなむけ」今の自分にできる事

簡単にまとめてみました。
どれも面白く読みました。


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