これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

イガミ(ブダイ)

2018-12-08 00:12:10 | グルメ
 和歌山県では”ブダイ”のことを”イガミ”と呼びます。 今回は、私の大好きな”イガミ”の話しです。

【イガミは年末の御馳走でした!】
 昔は、取引の決算を盆暮れにしていましたので、父は年末には必ず町(田辺市)に出掛けました。 沢山お土産を買って来てくれ、その中に必ず大きな”イガミ”が有りました。
 イガミは少しグロテスクな魚で、姿形と色を見たら食欲が無くなるかも知れませんが、美味しい魚です。

 イガミは雑食性の魚ですが、秋から冬にかけては海藻を主に食べる様で、磯臭さが少なくなり、美味しくなります。それを”寒ブダイ”と呼ぶそうです。

【イガミの煮凝り】
 母はイガミを煮付けにしてくれました。 ”身”はもちろん美味しいですが、煮凝りはプリプリして絶品です。 煮凝りが嫌いな方でも、イガミの煮凝りなら食べられるかも知れません。

 子供の頃、冷蔵庫はまだ有りませんでしたが、イガミの煮汁には沢山ゼラチンが含まれますから12月の寒さで、煮凝りになりました。

【イガミの刺身】
 私が30歳の時、仕事で沖永良部に出張して、民宿に一週間ほど滞在した事があります。 夕食に、御主人が釣って来た、40センチほどの”イガミ”の姿造りが出ました。 御主人は自分で部屋に運んできて、「大サービスです!」と言っていました。

 11月でしたので、紀州では美味しい”寒ブダイ”の季節でしたが、”クセ”があって、同僚は殆ど食べませんでした。

(嬉しい出来事) 地元の黒糖焼酎と”イガミ”を楽しんでいる時に、家内から電話があり、待望の「子供が出来た!」と知らせてきました。 民宿の近くにサンゴの装飾品を作る職人さんの家が有りましたので、大金をはたいて赤サンゴのネックレスを買いました。 家内は時々、今でも付けています。 この時に出来た子供が私の長男で、もう40歳を過ぎました。

【友人の奥さんとイガミ】
 友人、その奥さんと私は紀州の出です。 もう50年以上の付き合いで、三人で時々会うのですが、奥さんが痴ほう症になられ、病状が段々悪化して来ています。 数年前の今頃に、友人が「正月に食べた煮凝りの美味しい魚は何と言うのだったか?」と言いました。 思い出せずにいたら、奥さんが自信たっぷりに、「イガミよ!」と言われました。

 それ以来、三人で会ったら、友人か私が、「正月に食べた魚・・・?」と言い、奥さんが「イガミよ!」と言われます。 「何時までイガミを思い出せるか?」私は寂しくなって来ます。 今では数分前の記憶が無くなって、友人と奥さんは会話を楽しむ事が出来なくなり、私と会う口実を作って連絡して来ます。

★★沖見★★
 父がイガミを買っていた魚屋さん(沖見)は、JR紀伊田辺駅のすぐ近くに有りましたが、二年程前に店仕舞いした様です。 私は田辺に帰った時は、必ず沖見に寄って魚の干物を買っていました。 帰省の楽しみが、また一つ減ってしまいました。

 沖見の干物の中で、我が家で一番の人気は、『あい(あいご、バリコ)』の干物でした。 ”あい”は紀州以外ではあまり食べない様です。 少し”くせ”が有りますので、初めての方は食べられないかも知れません。 息子の嫁さん達も、好きになったので、沖見で沢山買って宅急便で送っていました。

 沖見のアジの干物も絶品でした。 魚は季節によって”脂ののり”が違いますので、普通は干物にしても美味しい時期は限られますが、沖見の干物は何時買っても美味しかったです。「旬の時に多量に仕入れて、マイナス40℃の冷凍倉庫に保管して、少しずつ出して干物にしている会社から仕入れている」と言っていました。

 沖見の”うるめの干物”は、薄塩で、これも絶品でした。 同じ様な物が無いか、方々で探していますが、まだ見つかっていません。 つくね芋で作った”とろろ汁”と沖見の”うるめ”の相性は抜群でした!

(余談) あい(あいご)のヒレには、強烈な毒が有るそうですが、魚屋に並べる前にヒレは除去されていますので、安心です。