これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

アメリカの連邦と州 (2)

2023-12-04 18:32:58 | アメリカ
【はじめに】
 今回は、近年悪化して来たアメリカの経済について書きます。本書を読んで頂いたら『アメリカ・ファースト』の声が段々大きくなって来ている原因が分かって頂けると思っています。 日本は安全保障と経済の面で、アメリカに頼って来ましたが、今後は難しくなって来ると予想しています。

【連邦予算のルール】
 アメリカの連邦予算の決め方は下に整理した様に、日本とはかなり異なっています。

★ 会計年度 :アメリカの2024年度は、23年10月1日から24年9月30日の事です。
★ 予算教書 :政府は「2月の第一月曜日」に予算教書(予算案の法律)を議会に提出します。 24年度予算の教書は23年2月6日に提出し、本来なら23年9月末までに両院で議決されているはずです。(議会に、予算を審議する時間を『8ヶ月間弱』も与えています。) 然し、来年度予算は、未だに議会の承認が得られていません。
★ 下院に予算の先議権が有ります。
★ 歳出予算には『裁量的支出』と『義務的支出』が有ります。 これら2種類の予算については、後日説明します。
★ 国債残高は法律で上限が決められ、オーバーする場合は法律の改正(議会の承認)が必要です。

【アメリカの政府債務】
 アメリカの政府債務(国債残高)は2002年から20年間で『5倍』も増加しました。

 アメリカでは国債残高の上限を法律で規制しており、上限を超えて新たな国債を発行する為には法律の改正が必要です。この制度は、時の政権が安易に国債を発行しない様に、制限するのが目的だったと思われます。 然し、財政状況は悪化の一途ですから、大幅な政策転換をしない限り、「国債残高は益々増加する」と私は予想しています。

・・・ アメリカの政府債務 ・・・ 出典:世界経済のネタ帳をベースに私が手を加えました。
★ アメリカの政府総債務残高 :02年≒6.1、07年≒9.3、12年≒16.7、17年≒20.7、22年≒30.9兆US$
 注記 :一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)の債務として、公債や借入金などが含まれています。

★ アメリカの政府純債務残高 :02年≒4.0、07年≒6.6、12年≒13.1、17年≒15.7、22年≒24.2兆US$
 注記 :政府総債務から一般政府が保有する金融資産(年金積立や外貨準備など)を差し引いたものです。

《余談 :国債利払いのマジック》
 国際ルールで、政府が発行する国債を中央銀行が直接購入する事は禁止されています。 従って、国債は個人、企業、金融機関に一旦買って貰い→→その内一部を中央銀行(日本の場合は日銀)が買い取ります。日銀が保有する国債は、日銀が国債を購入した時に発生する経費だけを国が負担する事になります。日銀が所有する国債の利息を、国は払わなくて良いのです。

 2022年の(地方自治体が発行している債券を除いた)日本の国債の利率は『0.77%』ほどで、残高は『1,000兆円』ですから、利息は『7.7兆円』になると思われるでしょうが、国債の大半を日銀が買い取っているので、(私の計算では、)21年の利息は『3.1兆円』、22年は『2兆円』ほどだったと思います。

 マスコミが報道する国債費には、(利払い費の他に、)満期が来た国債の償還費が含まれています。

 アメリカの場合は、多くの国が外貨準備として米国債を保有しているので、中央銀行(FRB)が買い取った割合が小さく、利払い費が巨額になります。 日本と中国の二国に支払う利息が、年間『12兆円』ほどになっています。 (為替レートを『1US$=150円』、アメリカ国債の利回りを『4.415%』として計算しました。)

【アメリカの財政状況】
 アメリカの財政収支は、2011年以降赤字が続いており→→前述の様に国債残高が増加しています。

 日本も財政収支が赤字続きですが、日本の場合は高齢化が進み→→社会福祉費が増加して来ている為です。 日本は年金や医療の面では、世界で一番進んだ社会主義国家だと私は思います。その為に多額の国費が必要で→→財政収支が赤字続きになっているのです。

 アメリカの場合は国民皆保険制度が有りませんが、軍事費と退役軍人等の費用が莫大な額で→→財政収支が赤字続きになっていると思われます。 アメリカは『世界の警察』の役割を担うのが難しくなって来ており→→『アメリカ・ファースト』を叫ぶ人が増えて来ているのでは?と推測されます。

・・・ アメリカの財政状況 ・・・ 出典:世界経済のネタ帳をベースに私が手を加えました。
★ アメリカの財政収支 :02年≒-417、07年≒-421、 12年≒-1,317、17年≒-935、22年≒-944 ✕10億US$
★ プライマリーバランス :02年≒-188、07年≒-123、 12年≒-960、17年≒-542、22年≒-328 ✕10億US$

《私の素人経済学》
 私は機械工学を学びましたが、経済学を本格的に勉強した事は有りません。 財政収支とプライマリーバランスを、以下の様に理解しているのですが、「正しいか?」詳しい方に教えて頂きたいと思っています。宜しくお願い致します。

❶ 財政収支がマイナス(-A億円)の時は、新たに国債(A億円)を発行する必要が有ります。
❷ 財政収支が「0」の時は、国債残高による利息を含めて歳入総額で賄える事を示しています。
❸ 財政収支がプラス(A億円)の時は、国債を「A億円」償還するか、「A億円」の貯蓄が出来ます。
❹ プライマリーバランスがマイナスの時は、財政収支はマイナスになります。
❺ プライマリーバランスが「0」の時は、歳入総額と税収などの収入が同額で有る事を示しています。
❻ プライマリーバランスがプラスでも、、財政収支がプラスになるとは限りません。
❼ 「(財政収支)―(プライマリーバランス)」は、国債の利息など支払う為に必要な額を示しています。

・・・ 財政収支とプライマリーバランスの計算式 ・・・
財政収支=(歳入総額)― (歳出総額)          ・・・(1式)
歳出総額=(税収などの収入)∔(国債の利息など)  ・・・(2式)
プライマリーバランス=(歳入総額)― (歳出総額)― (国債の利息など)  ・・・(3式)
プライマリーバランス=(歳入総額)― (税収などの収入)         ・・・(4式)
(財政収支)―(プライマリーバランス)=(国債の利息など)       ・・・(5式)

家計の収支 :家計の収支を考える場合は、下の式に示す様に「ローン元本の返却費」を含める必要が有ります。家計の収支が赤字だったら、消費者金融等から新たな借金をする必要が有ります。 財政収支の検討では、「ローンの元本の返却費」に相当する費用を考慮していないと私は考えています。

家計の収支=(収入の総額)―(生活費の総額)― (ローンの利息)―(ローン元本の返却費)

【アメリカの貿易収支とアメリカ・ファースト】
 アメリカの経常収支と貿易収支を下に書きました。両方の収支は、毎年!毎年!赤字が続いています。そして、財政収支も赤字続きですから、普通の国だったら→→とっくに『破産(デフォルト)』しています。 「米ドルが世界の基軸通貨だから、何とか維持しているのだ!」と私は思っています。

 中国は過剰な製造設備を持ってしまったので→→経済が可笑しくなって来ています。 一方、アメリカは借金まみれになって来ているのに→→『身の丈に合った生活』が出来ないので→→『アメリカ・ファースト』政策を進めざるを得なくなり→→今後、軍事費を削減すると予想します。 然し、軍事費を削減するだけで、『借金まみれの状態』から脱出できるとは思えません!

・・・ アメリカの貿易 ・・・ 出典:世界経済のネタ帳をベースに私が手を加えました。
★ アメリカの経常収支 :02年≒-0.46、07年≒-0.74、12年≒-0.42、17年≒-0.37、22年≒-0.97兆US$
★ アメリカの貿易収支 :02年≒-0.51、07年≒-0.87、12年≒-0.79、17年≒-0.86、22年≒-1.18兆US$

《用語の説明》
❶ 経常収支=(貿易収支)✙(サービス収支)✙(第一次所得収支)✙(第二次所得収支)
❷ 貿易収支=(輸出額)―(輸入額)
❸ サービス収支 :国を跨ぐ旅行(旅費、滞在費など)、特許使用料、著作権等の使用料、国際貨物
❹ 第一次所得収支 :配当、利息、外国での労働所得(雇用者報酬)
❺ 第二次所得収支 :無償資金援助など

【日米中の外貨準備高】
 2022年・外貨準備高の多いい国は、1位=中国、2位=日本、3位=スイス、4位=台湾、5位=インド、6位=サウジアラビア、7位=ロシア、8位=香港、9位=韓国・・・12位=アメリカ ・・・の順です。 中国の外貨準備高は日本の『2.7倍』も有ります。

・・・ 日米中の外貨準備高 ・・・ 出典:GLOBAL NOTE と 世界経済のネタ帳
★ 日本  :02年≒470、07年≒973、 12年≒1,268、17年≒1,264、22年≒1,228✕10億USドル
★ アメリカ :02年≒158、07年≒278、 12年≒574、 17年≒451、 22年≒707✕10億USドル
★ 中国  :02年≒298、07年≒1,546、12年≒3,387、17年≒3,235、22年≒3,306✕10億USドル

《各国の外貨準備の割合》
 ヨーロッパ諸国の外貨準備高は非常に少ないです。一番多いいイギリスでも日本の『14%』程しか有りません。 フランスは日本の『8.5%』 ほどしか無く、そして『67%』が『金』です。

★ 日本  :2023年の外貨準備総額≒1,265✕10億USドル ・・・USドル
  内訳 ;外貨≒1,137✕10億USドル、金≒54✕10億USドル、IMFのSDR≒58✕10億USドル ・・・など
  出典:財務省 『外貨準備等の状況(令和5年4月末現在)』
  日本は外貨の大半を米国債で所有しており、アメリカ政府にとっては重要な顧客になっています。

★ アメリカ :アメリカの外貨準備の大半は『金』です。外貨準備総額は、日本が所有している米国債の『70%』ほどしか確保していませんが、いざという時には中央銀行(FRB)がUSドル紙幣を印刷すれば良いと考えているのでしょう!
 保有する金≒8,134トン(外貨準備に占める金の割合:74.9%)

★ 中国  :2013年頃まで、中国の外貨準備額は急激に増加しましたが、その後は横這い状態が続いています。13年頃から、アメリカの国債を売って→→金や他の通貨を買う様になっています。
① 中国の外貨準備 :2002年≒0.30兆USドル、07年≒1,55、12年≒3.39、17年≒3.24、22年≒3.31兆USドル
② 中国が保有するアメリカ国債の額は2013年頃から減少し、現在は8,000億USドル程まで減少しています。 (近年、外貨準備の内、アメリカ国債の割合は『24%』しか有りません。)
③ 金≒2,190トン(外貨準備に占める金の割合:4.2%) ・・・近年、金を多量に輸入しています。
  出典:GLOBAL NOTE 及び REUTERS 2013年10月9日 『中国外貨準備、9月は3兆1150億ドルに減少』

《外貨準備に占めるUSドルの割合》 
 1970年~78年頃まで世界各国が所有する外貨準備の『85%』程はUSドルでしたが、78年~81年に割合が急激に低下して→→現在は『58%』程になっています。

・・・ 世界各国が所有する外貨準備に占めるUSドルの割合 ・・・ 出典:豊トラスティ証券の資料をベースに私が手を加えました。
★ USドルの割合 :2002年≒69%、07年≒64%、12年≒62%、17年≒64%、22年≒58%

【余談 :財務省】
 外貨準備高は国民が努力して貯めた『貯金の一種』です。2022年時点で、日本の外貨準備高は『1,228✕10億USドル』でしたから、150円=1USドルで換算すると『184兆円』になります。

 財務省は外貨準備の殆どをアメリカの国債に投資していますが、「外国の優良企業の社債を買うなどして、儲ける事を考えるべきだ!」と思います。