これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

核兵器の開発と現状 (その2)

2024-06-08 10:01:29 | 原爆
【はじめに】
 プーチン大統領は、暗殺される事を恐れながら生きている様です。 私は、「ウクライナ戦争がロシアの敗北で終わったら→→プーチン氏は殺害される可能性が高い」と予想しています。 最近の報道によると、プーチン氏は外出する時は防弾チョッキを着用している様です。 恐怖に怯えながら生きているのでしょうか?!

 バイデン大統領は、「ウクライナでロシア軍が負けそうになったら→→プーチン氏は生き残る為に→→小威力の核ミサイルをウクライナに向けて発射する」と今でも考えている様に見受けられます。 フランスやイギリスは、最近「戦況がドンナニなってもプーチン氏が核ミサイルを使うはずがない!」と考えている様です。 「どちらが正しいか?」私には分かりませんが、「日本から遠いい国の話しだから」とのんびり構えている場合では有りません!

 今回は、水素爆弾について書きます。 次回は、爆撃機、戦闘機、ミサイル等の核爆弾の運搬手段の開発と現状について書く予定です。

・・・ 私の核兵器に関連する投稿 ・・・
① 核兵器の開発と現状 (その1)  :投稿日;2024年6月1日
② 核兵器保有国 (その1)~(その2) :投稿日;2024年5月11日&18日
③ 広島の原爆と父      :投稿日;2018年7月21日

【プルトニュウム(Pu)】
 現在の原爆は、殆どが水素爆弾(核融合爆弾)ですが、起爆剤としてウランかプルトニュウムが必要です。 そして、殆どがプルトニュウムです。

 プルトニュウムには以下に列記する様に沢山の同位体が存在します。水素爆弾に必要なのはプルトニュウム239です。

 自然界ではウラン鉱石中にプルトニュウム239が僅かに存在しているだけです。 プルトニュウムは原子炉の使用済み核燃料から得られます。

《御参考 :北朝鮮のプルトニュウムの生産量》
 北朝鮮は電気出力が『5,000kW』の黒鉛炉を所有しています。1985年に臨界点になり、その後・断続的に運転して、今までに核爆弾に使用出来るプルトニュウムを『30~60kg』製造したと予想されています。

 北朝鮮は、建設途中で放置していた『10万kWの軽水炉』の工事を独自に再開して、2024年1月に臨界点に達した様です。 軽水炉では燃料棒の交換を普通『10年間隔』で行いますが、そうすると、使用済み核燃料の中に核爆弾では邪魔物のプルトニュウム240が多量に含まれてしまいます。 軽水炉でも、燃料棒の交換を『4ヶ月』とか『6ヶ月』間隔で行えば、プルトニュウム240の割合を『7%以下』に抑える事が可能で→→核爆弾に使用出来るプルトニュウムが得られます。

 燃料棒の交換頻度を前述の様に短くしても、北朝鮮の軽水炉で年間『1.5発』分ほどのプルトニュウムが得られる様です。

(注記 :アメリカとロシアの水爆の材料)
 米ロは作り過ぎた水爆を一部分解し、プルトニュウムと重水素化リチウムを取り出して保管している様です。プルトニュウム239の半減期は『24,100年』も有りますので『賞味期限』は極めて長いのです。 (重水素は放射性物質では無いので、重水素化リチウムには賞味期限が有りません。) 従って、米ロは水爆用に新たにプルトニュウムと重水素化リチウムを製造する必要は無いのです。

・・・ プルトニュウム(Pu)の同位体 ・・・
★ プルトニュウム238 :半減期≒88年  ・・・原子力電池に利用
★ プルトニュウム239 :半減期≒24,100年 ・・・核兵器、原子力燃料
★ プルトニュウム240 :半減期≒6,500年 ・・・自発核分裂を起こす。
★ プルトニュウム241 :半減期≒14年
★ プルトニュウム242 :半減期≒37万年
★ プルトニュウム244 :半減期≒8,080万年

【原子炉の種類とプルトニュウム】
 原爆に使用されるプルトニュウムは、原発の使用済み核燃料から得られます。プルトニュウムの同位体の割合は、原発の種類、運転状況で異なります。 プルトニュウム240の割合が『7%以下』で有れば、比較的簡単にプルトニュウム爆弾を作る事が出来ます。

 水素爆弾用のプルトニュウムは、高速増殖炉、黒鉛炉及び重水素炉の使用済み核燃料を処理して得るのが一番経済的です。高速増殖炉では水素爆弾用のプルトニュウムを生産出来、他にも種々のメリットが有りますが、技術的に難しい点が多々あり、多くの国が開発を中止するか/止めています。 現在も開発しているのは、ロシア、中国、インドの3ヶ国だけの様です。

(余談 :軽水炉) 現在、世界で稼働している原発の内、80%以上が軽水炉です。軽水炉の経済性が今の所・最も高い為です。 日本は『100%』軽水炉です。軽水炉の使用済み核燃料のプルトニュウム240の割合が『22~30%』も有るので、核爆弾には現在は使用されていません。

① 高速増殖炉(FBR) :使用済み核燃料のプルトニュウム240の含有率は7%以下
② 黒鉛炉  :プルトニュウム240の含有率が7%以下
③ 重水素炉(HWR) :プルトニュウム240の含有率が7%以下
④ 軽水炉  :プルトニュウム240の含有率≒22~30%

【高速増殖炉】
 高速増殖炉には、①ウランを使用する軽水炉等の使用済み燃料を再利用して電力が得られ、②高速増殖炉に投入した燃料よりも多いい燃料を得る事が出来、③軽水炉等の高レベル放射性廃棄物を『70%』ほども減らせる等のメリットが有ります。

 日本は、高速増殖炉の原型機として『常陽』を、実証機として『もんじゅ』を建設して実験/開発をしましたが、既に『もんじゅ』は廃炉が決定され、『常陽』は不具合が発生したので17年も前から休止しています。 「日本の高速増殖炉の開発は頓挫した」と私は見ています。

・・・ 日本の高速増殖炉 ・・・
★ 常陽   :着工=1970年→→臨界=1977年 ・・・2007年・装置の不具合が発生し、現在は運転していません。
★ もんじゅ :運転開始=1991年5月18日→→廃炉=2016年12月21日 ・・・電気出力=28万kW

 世界で高速増殖炉の研究・開発をした国を、ご参考までに下に列記しておきます。アメリカ、イギリス、ドイツ及びフランスは撤退しています。 ソ連時代から高速増殖炉に力を入れてきて、ロシアになっても積極的に開発を続けています。 後発のインドと中国は実証炉の段階から→→原型炉や実証炉を建設する段階に入っています。

 私は、安全性の高い高速増殖炉が完成する事を願っています。 然し、日本政府は研究開発の予算を削減し、創意工夫をする研究者が減って来ていますので、日本が高速増殖炉のパイオニアになれるとは思えません。 中国かロシアが技術を完成させる事を期待しています。

・・・ 高速増殖炉の研究・開発をした国 ・・・ (日本を除く)
① アメリカ :1945年に超小型の実験炉を建設し、その後も沢山(合計7基)実験炉を建設しましたが、全て破棄されています。 原型機の計画も進めましたが、具体化はしませんでした。

② インド :1985年に実験炉(電気出力=13MW)、原型炉(電気出力=500MW)を2021年を目標に建設していましたが、どうなったか?不明です。

③ 中国  :2010年に実験炉(電気出力=20MW)、実証炉(電気出力=600MW)を2023年を目標に建設していましたが、どうなったか?不明です。

④ ソ連&ロシア :ソ連時代に実験炉を5基、原型炉を2基建設しました。ロシアになって実証炉を1基(電気出力=88万KW)を建設しました。その後も商用炉3基を計画中です。 普通はナトリウムを冷却材に使用しますが、鉛冷却高速炉の開発を初めています。

⑤ イギリス :1959年に実験炉(電気出力=15kW)、原型炉(電気出力=250MW)を1974年に建設しました。両原子炉は閉鎖されています。

⑥ ドイツ :1977年に実験炉(電気出力=20MW)を建設しましたが、1991年に閉鎖しました。

⑦ フランス :1967年に実験炉(熱出力=40MW)、1973年に原型炉(電気出力=250MW)→→2010年から停止、 1985年に実証炉(電気出力=1,240MW)を建設し→→1998年に閉鎖しました。

参考資料 :ウイキペディア『高速増殖炉』

【水素爆弾(水爆)】
 現在でも水素の同位体だけで作った水素爆弾(水爆)は製造されていません。プルトニュウム239を容器の中で爆発させて超高温(約1億℃)にして、重水素化リチウムを圧縮して→→重水素を核融合させます。 水素爆弾には重水素として、個体の『重水素化リチウム-6』が使用されています。

 水素爆弾の核融合反応 :重水素(2H)→→三重水素(3H)→→ヘリウム4(4He)

 今までに最大威力の水爆の実験は、1961年にソ連が実施しました。広島に投下された原爆の『3,300倍』の威力が有った様です。 日本も所有するステルス戦闘機『B-35A』に搭載出来るアメリカの水爆『B61-12』の最大威力は『340kt』です。 広島の『23倍』も有ります。

 私達はトンデモナイ世界に生きているのです! 「憲法9条を守っていたら平和に暮らせる!」とノンビリ構えておれる状況では有りません!

《豆知識 :ヘリウム(He)》
 ヘリウムは誰とも仲の悪い特殊な原子で、単原子分子として存在します。一番軽い原子は水素ですが、水素は原子が2個くっ付いた分子(H2)で存在します。 軽い分子ほど沸点が低いのですが、ヘリウムの沸点は『-268.93℃』で水素の沸点は『−252.87℃』です。 なお、絶対零度は『-273.15℃』です。

 私はヘリウム・ガスを液化する装置に必要な『超小型のタービン』を開発しました。 失敗したら会社を首になる開発だったので、必死になって頑張りました。円形脱毛症になってしまい、髪の毛が今でもチョットしか有りません!

・・・ ヘリュウムの同位体 ・・・
① ヘリウム3(3He) :陽子2個と中性子1個 ・・・月にはヘリウム3が比較的沢山存在しています。
② ヘリウム4(4He) :陽子2個と中性子2個 ・・・地球に存在するヘリウムは殆どヘリウム4です。

 自然界に存在するヘリウムは①と②ですが、人工的にはヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などを作る事が出来る様です。