これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

核兵器の開発と現状 (その3)

2024-06-15 13:52:18 | 原爆
【はじめに】
 今回は、核爆弾の運搬手段について書きます。

 狂気と思える核兵器の研究開発から、人類は多くの恩恵を得た事を忘れてはなりません。 例えば、コンピューター、電卓、携帯電話/スマホ、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)、カーナビ、衛星通信、衛星写真、電子レンジ、ジェット飛行機、ガスタービン、半導体・・・などなど。

・・・ 私の核兵器に関連する投稿 ・・・
① 核兵器の開発と現状 (その1)~(その2) :投稿日;2024年6月1日&8日
② 核兵器保有国 (その1)~(その2) :投稿日;2024年5月11日&18日
③ 広島の原爆と父      :投稿日;2018年7月21日

【運搬手段の開発】
 第二次世界大戦時点、アメリカ軍が核爆弾を運搬出来たのは『B-29』爆撃機だけでした。 ソ連はまだ核爆弾を開発していませんでしたが、核兵器を搭載出来る大型の爆撃機も所有していませんでした。

(余談 :ソ連が先行していたら!) 血も涙も無い・独裁者スターリンが統治していたソ連が、アメリカよりも先に核爆弾を開発して、大型の爆撃機を保有していたら!→→朝鮮半島は共産主義国家になっており、北海道はソ連に占領されていたと思います。第二次世界大戦後の世界情勢は、現在とは全く違っていたでしょう!

 米ソは核爆弾の威力アップと軽量小型の研究開発を進めました。 並行して、核爆弾を運搬する為の爆撃機と弾道ミサイルの開発に取り組みました。 個体燃料の弾道ミサイルの開発に成功して→→米ソは、核爆弾を運搬する手段の主役に大陸間弾道ミサイルを選びました。

 大型の原子力潜水艦を開発して、潜水艦発射ミサイル(SLBM)を積んで→→敵に見つからない様に海底に潜んで→→全面核戦争が勃発したら→→多弾頭のSLBMを発射する体制が整っています。

・・・ 核兵器の運搬手段 ・・・
❶ 爆撃機
❷ 戦闘機
❸ 原子砲 :米ソは、大口径の大砲から原子爆弾を発射する研究もやりました。射程距離が短いので実用化されませんでした。
❹ 大陸間弾道ミサイル
❺ 潜水艦発射ミサイル
❻ 核魚雷
❼ 弾道弾迎撃ミサイル :米ソは、迎撃ミサイルに核爆弾を搭載しておけば、飛来した敵国のミサイルから離れた所で核爆弾を爆発させても→→迎撃出来ると考えた様です。 然し、自国の上空で爆発させたら→→放射性物質が降り注いでしまいます。この問題に気付いて→→配備はしなかったのだと思います。

【爆撃機】
 1945年に広島と長崎に投下されたのは、現在では小威力の原爆と言えますが、質量が約4.5トンも有ったので、搭載出来た爆撃機は『B-29』だけでした。

 アメリカは1955年から、ジェットエンジン式の大型爆撃機を運用開始しました。 ソ連は56年に、大型爆撃機を運用開始しましたが、ガスタービン駆動のプロペラ機でした。

 アメリカとソ連/ロシアは、核爆弾を搭載出来る大型爆撃機の開発と配備に莫大な資金を投入してきました。 核爆弾の威力アップと並行して軽量小型化を進め、爆撃機だけでなく、戦闘機にも搭載出来る様になっています。 ロシアの核爆弾についての情報は少ないので、コメントは差し控えます。

 アメリカは、2種類の航空機に搭載出来る核爆弾を運用しています。いずれも威力を調節出来るタイプです。 『B61』は静止目標に対して投下すると→→軌道を修正して→→目標を正確に破壊する事が出来ます。 『B83』には誘導装置は付いていませんが、威力を広島で使用された原爆の『5倍』~『80倍』に調節出来ます。「『80倍』の原爆が投下されたらドウナルか?」想像出来ますか?!

・・・ アメリカの航空機に搭載出来る核爆弾 ・・・
❶ B61 :精密誘導爆弾、製造数≒3,150発、質量=324kg、威力=0.3kt~340kt
❷ B83 :無誘導爆弾、 製造数≒650発、質量=1,089kg、威力=80kt~1,200kt

・・・ アメリカの核爆弾が搭載出来る爆撃機 ・・・
★ B-29 : ・・・ガソリンエンジン駆動のプロペラ機、航続距離≒6,383km(基本型機)、爆弾搭載量≒4,536kg
★ B-52 :航続距離≒16,300km(B-52H)・・・ジェット機、運用開始は1955年、航続距離≒16,316km、爆弾搭載量≒16,057kg
★ B-1 :運用開始は1986年、航続距離≒11,978km、爆弾搭載量≒34,020kg、B61自由落下核爆弾×16発、可変翼超音速戦略爆撃機。
★ B-2 :ステルス爆撃機、運用開始は1997年、製作機数=21機、航続距離≒12,000km、B61核爆弾またはB83核爆弾×16発
★ B-21 :ステルス爆撃機、2025年に就役予定 ・・・長距離戦略爆撃機(LRS-B)

・・・ ソ連とロシアの爆撃機 ・・・
★ Tu-95 :運用開始は1956年、ガスタービン駆動のプロペラ機、航続距離≒15,000km、搭載量≒15,000kg
★ Tu-22M :生産開始は1967年→→現役、ジェットエンジン式、戦闘行動半径:1,500-2,407 km
★ Tu-160 :運用開始は1987年、航続距離≒~14,000km、爆弾搭載量≒40,000kg
★ Su-34 :運用開始は2007年、航続距離≒4,000~7,000km、
★ PAK DA :開発中、ステルス爆撃機

【核爆弾が搭載できる戦闘機】
 核爆弾の小型軽量化が進んで、戦闘機にも核爆弾が搭載出来る様になりました。 アメリカは『F-16』戦闘機に『B61』が搭載出来る様にしました。 21世紀になって、ステルス戦闘機『F-35A』に核爆弾『B61-12』が搭載出来ると発表しました。

 ロシアは2020年からステルス戦闘機『Su-57』を運用開始しました。 原子爆弾が搭載可能になったと言う発表はまだ有りません。

《韓国の核シェアリングの可能性》
 トランプ氏が大統領に返り咲いたら、①北朝鮮の核保有を認め、②韓国に戦闘機に搭載出来る核爆弾『B61-12』を貸す可能性が有ると私は予想しています。 ・・・核シェアリング

 韓国は『B61-12』を搭載出来る戦闘機『F-35A』を40機保有しています。 核爆弾『B61-12』は威力を『0.3kt~50kt』の範囲で調節出来ます。 広島で使用された原爆の威力は『15kt』でしたから、『B61-12』は最大で『3.3倍』もの威力が有ります。

 韓国に『B61-12』が保管されたら、北朝鮮が核で恫喝する事は出来なくなります。 金正恩氏が精神錯乱にならない限り、韓国を核攻撃する事は無いと予想します。 朝鮮半島は平和になるでしょう!

・・・ ステルス戦闘機『F-35A』の保有数 ・・・
★ 韓国 :40機
★ 日本 :37機 ・・・2024年

・・・ 核爆弾が搭載可能なアメリカの戦闘機 ・・・
★ F-16 :運用開始は1978年 ・・・航続距離=4,200km(F-16C)
★ F-35A :運用開始は2016年、ステルス戦闘機、航続距離=2,200km以上

・・・ 核爆弾が搭載可能なロシアの戦闘機 ・・・
★ Su-57 :運用開始は2020年、ステルス戦闘機、、航続距離=3,500km以上

【弾道ミサイル】
 第二次世界大戦後にアメリカとソ連が弾道ミサイルの開発に取り組みましたが、参考にしたのは大戦でドイツが使用した『V2ロケット』でした。 V2ロケットは最大射程距離が『320km』で、弾頭の質量は『980kg』、液体燃料を使用していました。

開発① :個体燃料化 ;液体燃料の場合は発射前に燃料を充填する必要が有ります。固体燃料だと充填して置いて、何時でも発射出来ます。

開発② :大型化 ;広島や長崎に投下された原爆は『4,500kg』も有りました。V2ロケットよりもズット大型のミサイルを開発する必要が有ると考えたのです。

開発③ :長距離化 ;米ソが相手の国土に核弾頭ミサイルを撃ち込む為に、射程距離が『15,000km』以上の大陸間弾道ミサイルを開発しました。

開発④ :多弾頭化 ;核爆弾の小型軽量化が進んだので、一つの弾道ミサイルに複数の核爆弾を搭載して→→敵国の上空で、一発ずつ切り離し→→それぞれが、別々の目標に向かって飛行する方式の『多弾頭弾道ミサイル』に置き換えていきました。

開発⑤ :精密誘導弾 ;誘導弾は第二次世界大戦中にドイツで開発され、実戦で少し使用されました。 静止目標に対してミサイルを正確に飛行させる技術を開発し→→移動する艦船等にもミサイルを当てる技術を開発しました。

・・・ 核爆弾を搭載したミサイルの種類 ・・・
❶ 大陸間弾道ミサイル(ICBM) :有効射程距離が5,500km以上
❷ 中距離弾道ミサイル(IRBM) :有効射程距離が3,000~5,500km
❸ 準中距離弾道ミサイル(MRBM) :有効射程距離が1,000~3,000km
❹ 短距離弾道ミサイル(SRBM) :有効射程距離が1,000km以下
❺ 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)
❻ 空中発射弾道ミサイル(ALBM)
❼ 多弾頭ミサイル(MIRV)
❽ 弾道弾迎撃ミサイル (ABM) :配備されていません。

【潜水艦発射ミサイル(SLBM)】
 ディーゼル式の潜水艦だと、3ヶ日に一度は浮上して空気を取り込む必要が有ります。 原子力潜水艦は無理したら数ヶ月間も潜航する事が出来ます。(通常は新鮮な食糧を補給する等の為に、2ヶ月に一度浮上している様です。)

 原子力潜水艦を保有する国は以下の5ケ国です。 その一部に複数の潜水艦発射ミサイル(SLBM)を積んでいます。 現在のSLBMは、誘導装置の付いた原爆を複数個内蔵しており、射程距離は大陸間弾道ミサイル並みです。

 米ロが核戦争を始めたら→→多分、大陸間弾道ミサイルを打ち合って→→止めを刺す為に→→海底に沈んでいた原子力潜水艦から→→SLBMが発射されると想像します。米ロの人間が多数死んで→→米ロの経済は壊滅すると予想します。 日本が核攻撃され無くても、日本の経済はガタガタになってしまうでしょう!

・・・ 原子力潜水艦保有国 ・・・
❶ アメリカ :69隻
❷ ロシア  :40隻
❸ 中国   :17隻
❹ イギリス :11隻
❺ フランス :4隻
出典 :『世界海軍力ランキング(2024年) 1位アメリカ、2位ロシア、3位中国、4位日本』

★ 1954年 :アメリカが世界初の原子力潜水艦『ノーチラス』を完成させした。
★ 1955年 :ソ連が最初に潜水艦からミサイルの発射実験をしました。 ・・・ディーゼルエンジン式潜水艦
★ 1959年 :アメリカがSLBMが搭載可能な原子力潜水艦『ジョージ・ワシントン』を就役させました。
★ 1960年 :ソ連が原子力潜水艦『K-19』を竣工しました。
★ 1971年 :ソ連の原子力潜水艦『K-219』が就役 ・・・当時は液体燃料核ミサイルを搭載していました。

【核魚雷】
 ソ連は核魚雷の開発に熱心に取り組んで来ました。ロシアになっても積極的です。 アメリカも核魚雷を開発して配備しましたが、現在は破棄しています。

 現在のロシアの目論見は、「高威力の核魚雷で、アメリカの空母機動部隊を壊滅させる」事の様です。 米軍の空母が移動する場合、イージス艦、巡洋艦、駆逐艦、原子力潜水艦などなどが随行します。威力の大きい核魚雷を→→空母の周辺で1発・爆発させたら→→一網打尽に始末出来ます。

 ロシアは2022年に最新型大型潜水艦『ベルゴロド』を就役させました。近い将来『ポセイドン(ステータス6)』核魚雷を搭載するのでは?と危惧されています。

★ アメリカ :1960年に核魚雷『Mk45』を開発 →→現在は退役しています。核出力『11kt』
★ ソ連   :1954年に核魚雷『T-5』を実験 ・・・通常型潜水艦から空中に発射して、海中で爆発させました。 威力は『4.8kt』 →→沢山配備しました。
★ ロシア :ステータス6核魚雷 ・・・核出力『100Mt』の核魚雷『ステータス6』を配備するのでは?と危惧されています。海岸で爆発させると→→波の高さが『500m』にもなる巨大津波を発生させ→→海から近いインフラを徹底的に破壊する事が出来ます。

(豆知識 :100Mt) 広島で使用された原爆の威力は『15kt』でしたから、『100Mt』は『6,667倍』です。貴方はそんな威力を想像出来ますか?

【空母と核爆弾】
 空母を保有する国は沢山有りますが、空母に核爆弾を積んでいるのはアメリカとフランスだけの様です。 中国は近い将来空母に核爆弾を積む恐れが有ります。 ロシアは(事故をしょっちゅう起こす)ボイラー/蒸気タービン式の空母を1隻運用していますが、核爆弾は積んでいません。

 アメリカの空母には最新型の戦闘機等を各70機ほど搭載しています。紛争が起こりそうな地域に空母打撃軍を派遣し→→通常爆弾で爆撃した事が有りますが、核爆弾は使用しませんでした。 私は、「アメリカは核兵器を保有しない国に、核兵器で攻撃しない」と信じています。 空母の現在位置は、衛星で常に監視されており→→大国間で核戦争が発生したら→→真っ先にミサイルで攻撃されると予想します。 「アメリカの空母が核抑止力になる」とは思えないのに、何故?核爆弾を積んでいるのか?不思議です。

・・・ 原子力空母 ・・・
★ アメリカ  :11隻
★ フランス :1隻