【はじめに】
今回と次回は『生産性』に着目して、日本の問題点を考えてみます。
『生産性』と言う言葉は良く聞くのですが、「生産性向上対策を立案しろ」と言われると、「何を、どうしたら良いのか?」分からない方が沢山おられる様に思います。今回は、原点に帰って「生産性の定義」についても言及しました。 面白く無いですが、我慢して読んで下さい。
【企業の業績と給与】
A社に勤めている従業員の給与は、A社の業績が向上しないとアップしません。 特殊な例ですが、求人難の時、某中小企業で大卒の新入社員の初任給をアップしたので、心太(ところてん)式に給与を見直した事が有りました。
会社の業績が良くなっても、社員の給与が上がるとは限りません。 日本の優良大企業では、利益の大半を内部留保に回して、給与も配当もソコソコしかアップしなかった様に思います。「これが、日本の経済を30年間も停滞させた原因の一つだ!」と私は考えています。
日本人は老後が心配で→→セッセと箪笥貯金をして→→最近は相続税を減らす努力/工夫をしている方が増えて来ています。 日本の大企業が、儲けた金を設備投資等に回さないで、内部留保を溜め込むのは『箪笥貯金』に似ている様に思われませんか?!
(会社の業績が向上しても給与がアップしなかった!) 私が中小企業(N社)に出向していた時の話です。N社の売り上げはジリ貧に陥っていたのですが、画期的な製品を開発したので儲かる様になりました。古手の社員が、「税金で払う分を減らして、ボーナスをアップして欲しい」と懇願しましたが、何故か?社長は首を縦には振りませんでした。
【生産性とは?】
『生産性』と言う言葉を良く聞きますが、以下に示すように種々の定義された『生産性』が有ります。 一般には、➊の概念の生産性が使用されますが、数値として算出出来ないので、何の事か良く分かりません。『産出』を『生産量』に置き換えた❷~❺の物的生産性と、『産出』を『付加価値額』に置き換えた❻~❾の付加価値生産性で議論されます。
➊ 生産性の定義 :生産性=産出(output)/投入(input)・・・一般的な定義
・・・ 物的生産性 ・・・
❷ 1人当たりの生産性=生産量/労働者数
❸ 1時間当たりの労働生産性=生産量/(労働者数✕労働時間)
❹ 資本生産性=生産量/資本ストック量
❺ 全要素生産性=生産量/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)
・・・ 付加価値生産性 ・・・
❻ 1人当たりの生産性=付加価値額/労働者数
❼ 1時間当たりの労働生産性=付加価値額/(労働者数✕労働時間)
❽ 資本生産性=付加価値額/資本ストック量
❾ 全要素生産性=付加価値額/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)
(余談 :日本生産性本部) 公益財団法人日本生産性本部と言う分けの分からない団体が有ります。 2014年に79歳で会長に就任して、今年87歳になるヨボヨボの老人がまだ会長です。何処から金が出ているのか?予算は100億円、職員数は270人もいます。
【全要素生産性】
国家や企業の活性化を議論する場合、前述の❺か❾の『全要素生産性』を使用すべきだと思います。生産量が多くなっても、価格が下がったのでは企業の収益は上がりません。国家としては、GDPも大きくなった事にはなりません。
従って、私は❾の付加価値額を考慮する全要素生産性で議論/分析すべきだと考えています。
【全要素利潤(生産性)】
大企業だったら大学で経済学を学んだ社員がいるので、『付加価値額』を計算出来るかも知れません。中小企業では『付加価値額』と言ってもピントきません。私は、『利潤(利益)』を用いる『全要素利潤(生産性)』を提唱します。
❿ 全要素利潤(生産性)=利潤(利益)/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)
種々の製品を製造している大企業では、其々の製品毎に全要素利潤を算出して、アップしているか?ダウンしているか?定期的にチェックすべきです。 そして、何故?ダウンしたのか分析すべきです。
【グローバル化と生産性】
現在は、国も企業も他国と密接な関係の中に存在しています。生き残るためには、他社よりも生産性を上げる必要が有ります。然し、国内企業だけを相手にして「生産性向上目標値」を検討しては駄目な時代になっています。
まだまだ賃金の安い国が沢山ありますから、労働集約形産業分野は海外に工場を移す必要が有ります。現在、社員が30名程の小さな企業が、外国に複数の工場を持っているケースさえ有ります。
昔、大型のスーパーマーケットが全国に沢山出来て、商店街が寂れる問題が発生しました。これは、「安く多量に仕入れて、多量に販売する」、「一カ所で何でも揃えられる」と言う小売業の生産性向上が起こったのだと考えられます。
10年程前に、私に最初の孫が出来たのですが、歩いて行ける所に玩具を扱う『トイザらス』が有りました。大きなアンパンマンの縫いぐるみを買ってやりました。 直ぐに店じまいしたので、玩具はアマゾンで買っています。
アマゾンは何でも安いですね! 電気量販店に知り合いが務めているので、「買って欲しい」と懇願されます。「アマゾンと同等の価格にしてくれたら買う」と言うのですが、未だに実現していません。
(余談 :”トイザらス”の思い出) 孫に「一つだけプレゼントする」と言って”トイザらス”に行きました。孫は目を輝かせて店内を見て回りました。お気に入りが見付かった時の嬉しそうな顔は素晴らしかったです。子供は金額を見て買う分けでは無いので、安い物を選んだら、つい「もう一つ買って良い」と言ってしまいました。ジジ馬鹿!ババ馬鹿ですね! 玩具はアマゾンで買うよりも、”トイザらス”の方が子供の為には良い様に思います。
【経済安全保障と生産性】
新型コロナが蔓延し始めて→→マスクの大半を中国から輸入している事実をマスコミが報道し→→国民の多くが多量にマスクを買い込んで→→店からマスクが消えてしまい→→安倍のマスクが配布されました。
2021年から穀物と燃料(原油)価格が高騰し、今年・ウクライナ戦争が勃発して更に高騰しています。 必需品の輸入を今までは民間企業に任せて来ましたが、「安定して輸入出来る様にする為には政府の介入が不可欠だ!」と言う事を日本国民は学びました。
ウクライナ戦争によるロシアへの経済制裁から、輸出先も多様化する必要が有ると分かりました。最近の中国経済の動向を見ていると、中国経済の成長が鈍化する恐れが出ています。この点からも輸出先の多様化を官民協力して進める必要が有ります。
電力不足が深刻な問題になっていますが、主な原因は2016年から進めて来た『電力自由化』によって沢山の火力発電所が廃棄された事です。 それまでは、電気事業法で電力会社に「収益は保障するが、供給責任を全うしなさい」と規定していました。『電力自由化』とは、新規電力会社の設立を認め、価格競争させて電気料金を下げるのが狙いでした。「供給責任を負う義務は無くすが、収益は自分で工夫して確保しなさい」と大方針転換しました。 その為に、電力会社は火力発電所を破棄して→→稼働率をアップして→→収益アップを狙いました。
与野党の政治家達は勉強不足ですから、『電力自由化』と『電力不足』が同義語だと認識出来なかったと想像します。官僚の一部は認識していた様ですが、「こんなに早く、火力発電所の廃棄が進む」とは予想していなかったと思います。 岸田首相は今になって、「電力の供給義務が(電力会社では無く)政府に有る」事に気付いて、慌てふためいているのです。
【取引先企業の値下げ要求と生産性】
日本の大企業の多くは、部品を外部(協力会社)から調達しています。大企業は毎年の様に協力会社に値下げを要求します。協力会社が努力して→→コストダウンをして→→3%値下げしたとします。販売数量が同じだと、協力会社の売り上げは3%少なくなってしまいます。
1956年~73年頃の高度経済成長期で有れば、大企業の発注数量が毎年増加していたので、協力会社は毎年!毎年!値下げを要求されても、成長出来たと思います。経済が停滞している現状では→→労働者の60%程が勤務する中小企業の発展を阻害して、給与アップを抑えると→→国民の購買力が増加せず→→日本の経済を低迷させてしまいます。 ブーメラン効果で大企業の発展も阻害されるのです!
「大企業が協力会社を虐めて、自分だけ儲かれば良い」と言う体質を変えないと、日本は発展しません。 「下請け会社」は差別用語に分類して、禁止にすべきです。マスコミ関係者は「協力会社」と言う用語を使用しましょう!
【一歩先んじた開発と生産性向上が必要です!】
競合他社に勝つ為には『一歩先んじた開発と生産性向上が必要です!』 価格競争の”イタチごっこ”から抜け出した例を書きます。
2軸式スクリュー圧縮機と呼ばれる機械が有ります。 これは、戦後、スウェーデンのSRM社が、技術提携を希望する企業に『スクリュー圧縮機の構造/寸法、主要部の必要な精度、運転実測データ(性能)等』を開示して、ロイヤリティーを得る商売を始めました。多くの国の多くの企業がSRM社と技術提携しました。
日本でも数社が技術提携した様です。然し、KS社とMK社が熾烈な開発/価格競争をして→→海外にも展開して→→頑張っています。 (日立産機も汎用品を手掛けています。 IHIが自動車用のスーパーチャージャーとして製造している様です。)
SRM社が開示するのは、あるサイズの2軸式スクリュー圧縮機に限定したデータです。ローター間の隙間と、ローターとケーシングの隙間を小さくする必要が有るのですが、SRM社は主要部の最終加工を職人芸でやっている様です。 SRM社は、「大型化/小型化と部品の加工方法は、技術提携した会社で考えなさい」と言うスタンスです。
私が2軸式スクリュー圧縮機に興味を持った1975年頃、その都度設計の大型機でKS社は結構な収益を上げていました。小型の汎用機はMK社が強く、中型機はほぼ互角の状況でした。KS社が小型の汎用機を1台売ると、3万円ほど赤字になっている様でした。(然し、トータルとしてはKS社は儲かっていました。)
小型汎用機の設計と営業に私の知人がいたので、「何故?赤字体質から抜け出せないのか?」数年間観察しました。 私が出した結論は、➊KS社は大企業で社員の給与が高い。❷KS社の現場社員は全て男性で給与が高い。➌KS社はMK社の販売価格を目標に、常にコストダウンに尽力していました→→目標値を達成すると→MK社が一歩先のコストダウンに成功していました。
KS社とMK社はコストダウンと性能改善に、同じ様に努力していたと思いますが、一歩先を進んだ努力は報われますが、後塵者の努力は殆ど意味が無いのです。
KS社は、赤字続きの小型汎用機の為に、10km程離れた所に専用の工場を建てました。暫くして、工場見学に行くと、新しく女性パート社員を数名雇って、壁向きに並べた作業台で部分組み立てをしていました。壁には、図面では無くて組み立て手順を示す写真を貼っていました。従来からの男性社員は全体を組み立てていました。 工場には作業効率を改善する種々の工夫が施されていました。
工場新設後も赤字が続いていた様でしたが、既納機の数が増えて→→メンテナンスの仕事が増え→→予備品の注文も増えて→→黒字体質が定着する様になった様でした。
今回と次回は『生産性』に着目して、日本の問題点を考えてみます。
『生産性』と言う言葉は良く聞くのですが、「生産性向上対策を立案しろ」と言われると、「何を、どうしたら良いのか?」分からない方が沢山おられる様に思います。今回は、原点に帰って「生産性の定義」についても言及しました。 面白く無いですが、我慢して読んで下さい。
【企業の業績と給与】
A社に勤めている従業員の給与は、A社の業績が向上しないとアップしません。 特殊な例ですが、求人難の時、某中小企業で大卒の新入社員の初任給をアップしたので、心太(ところてん)式に給与を見直した事が有りました。
会社の業績が良くなっても、社員の給与が上がるとは限りません。 日本の優良大企業では、利益の大半を内部留保に回して、給与も配当もソコソコしかアップしなかった様に思います。「これが、日本の経済を30年間も停滞させた原因の一つだ!」と私は考えています。
日本人は老後が心配で→→セッセと箪笥貯金をして→→最近は相続税を減らす努力/工夫をしている方が増えて来ています。 日本の大企業が、儲けた金を設備投資等に回さないで、内部留保を溜め込むのは『箪笥貯金』に似ている様に思われませんか?!
(会社の業績が向上しても給与がアップしなかった!) 私が中小企業(N社)に出向していた時の話です。N社の売り上げはジリ貧に陥っていたのですが、画期的な製品を開発したので儲かる様になりました。古手の社員が、「税金で払う分を減らして、ボーナスをアップして欲しい」と懇願しましたが、何故か?社長は首を縦には振りませんでした。
【生産性とは?】
『生産性』と言う言葉を良く聞きますが、以下に示すように種々の定義された『生産性』が有ります。 一般には、➊の概念の生産性が使用されますが、数値として算出出来ないので、何の事か良く分かりません。『産出』を『生産量』に置き換えた❷~❺の物的生産性と、『産出』を『付加価値額』に置き換えた❻~❾の付加価値生産性で議論されます。
➊ 生産性の定義 :生産性=産出(output)/投入(input)・・・一般的な定義
・・・ 物的生産性 ・・・
❷ 1人当たりの生産性=生産量/労働者数
❸ 1時間当たりの労働生産性=生産量/(労働者数✕労働時間)
❹ 資本生産性=生産量/資本ストック量
❺ 全要素生産性=生産量/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)
・・・ 付加価値生産性 ・・・
❻ 1人当たりの生産性=付加価値額/労働者数
❼ 1時間当たりの労働生産性=付加価値額/(労働者数✕労働時間)
❽ 資本生産性=付加価値額/資本ストック量
❾ 全要素生産性=付加価値額/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)
(余談 :日本生産性本部) 公益財団法人日本生産性本部と言う分けの分からない団体が有ります。 2014年に79歳で会長に就任して、今年87歳になるヨボヨボの老人がまだ会長です。何処から金が出ているのか?予算は100億円、職員数は270人もいます。
【全要素生産性】
国家や企業の活性化を議論する場合、前述の❺か❾の『全要素生産性』を使用すべきだと思います。生産量が多くなっても、価格が下がったのでは企業の収益は上がりません。国家としては、GDPも大きくなった事にはなりません。
従って、私は❾の付加価値額を考慮する全要素生産性で議論/分析すべきだと考えています。
【全要素利潤(生産性)】
大企業だったら大学で経済学を学んだ社員がいるので、『付加価値額』を計算出来るかも知れません。中小企業では『付加価値額』と言ってもピントきません。私は、『利潤(利益)』を用いる『全要素利潤(生産性)』を提唱します。
❿ 全要素利潤(生産性)=利潤(利益)/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)
種々の製品を製造している大企業では、其々の製品毎に全要素利潤を算出して、アップしているか?ダウンしているか?定期的にチェックすべきです。 そして、何故?ダウンしたのか分析すべきです。
【グローバル化と生産性】
現在は、国も企業も他国と密接な関係の中に存在しています。生き残るためには、他社よりも生産性を上げる必要が有ります。然し、国内企業だけを相手にして「生産性向上目標値」を検討しては駄目な時代になっています。
まだまだ賃金の安い国が沢山ありますから、労働集約形産業分野は海外に工場を移す必要が有ります。現在、社員が30名程の小さな企業が、外国に複数の工場を持っているケースさえ有ります。
昔、大型のスーパーマーケットが全国に沢山出来て、商店街が寂れる問題が発生しました。これは、「安く多量に仕入れて、多量に販売する」、「一カ所で何でも揃えられる」と言う小売業の生産性向上が起こったのだと考えられます。
10年程前に、私に最初の孫が出来たのですが、歩いて行ける所に玩具を扱う『トイザらス』が有りました。大きなアンパンマンの縫いぐるみを買ってやりました。 直ぐに店じまいしたので、玩具はアマゾンで買っています。
アマゾンは何でも安いですね! 電気量販店に知り合いが務めているので、「買って欲しい」と懇願されます。「アマゾンと同等の価格にしてくれたら買う」と言うのですが、未だに実現していません。
(余談 :”トイザらス”の思い出) 孫に「一つだけプレゼントする」と言って”トイザらス”に行きました。孫は目を輝かせて店内を見て回りました。お気に入りが見付かった時の嬉しそうな顔は素晴らしかったです。子供は金額を見て買う分けでは無いので、安い物を選んだら、つい「もう一つ買って良い」と言ってしまいました。ジジ馬鹿!ババ馬鹿ですね! 玩具はアマゾンで買うよりも、”トイザらス”の方が子供の為には良い様に思います。
【経済安全保障と生産性】
新型コロナが蔓延し始めて→→マスクの大半を中国から輸入している事実をマスコミが報道し→→国民の多くが多量にマスクを買い込んで→→店からマスクが消えてしまい→→安倍のマスクが配布されました。
2021年から穀物と燃料(原油)価格が高騰し、今年・ウクライナ戦争が勃発して更に高騰しています。 必需品の輸入を今までは民間企業に任せて来ましたが、「安定して輸入出来る様にする為には政府の介入が不可欠だ!」と言う事を日本国民は学びました。
ウクライナ戦争によるロシアへの経済制裁から、輸出先も多様化する必要が有ると分かりました。最近の中国経済の動向を見ていると、中国経済の成長が鈍化する恐れが出ています。この点からも輸出先の多様化を官民協力して進める必要が有ります。
電力不足が深刻な問題になっていますが、主な原因は2016年から進めて来た『電力自由化』によって沢山の火力発電所が廃棄された事です。 それまでは、電気事業法で電力会社に「収益は保障するが、供給責任を全うしなさい」と規定していました。『電力自由化』とは、新規電力会社の設立を認め、価格競争させて電気料金を下げるのが狙いでした。「供給責任を負う義務は無くすが、収益は自分で工夫して確保しなさい」と大方針転換しました。 その為に、電力会社は火力発電所を破棄して→→稼働率をアップして→→収益アップを狙いました。
与野党の政治家達は勉強不足ですから、『電力自由化』と『電力不足』が同義語だと認識出来なかったと想像します。官僚の一部は認識していた様ですが、「こんなに早く、火力発電所の廃棄が進む」とは予想していなかったと思います。 岸田首相は今になって、「電力の供給義務が(電力会社では無く)政府に有る」事に気付いて、慌てふためいているのです。
【取引先企業の値下げ要求と生産性】
日本の大企業の多くは、部品を外部(協力会社)から調達しています。大企業は毎年の様に協力会社に値下げを要求します。協力会社が努力して→→コストダウンをして→→3%値下げしたとします。販売数量が同じだと、協力会社の売り上げは3%少なくなってしまいます。
1956年~73年頃の高度経済成長期で有れば、大企業の発注数量が毎年増加していたので、協力会社は毎年!毎年!値下げを要求されても、成長出来たと思います。経済が停滞している現状では→→労働者の60%程が勤務する中小企業の発展を阻害して、給与アップを抑えると→→国民の購買力が増加せず→→日本の経済を低迷させてしまいます。 ブーメラン効果で大企業の発展も阻害されるのです!
「大企業が協力会社を虐めて、自分だけ儲かれば良い」と言う体質を変えないと、日本は発展しません。 「下請け会社」は差別用語に分類して、禁止にすべきです。マスコミ関係者は「協力会社」と言う用語を使用しましょう!
【一歩先んじた開発と生産性向上が必要です!】
競合他社に勝つ為には『一歩先んじた開発と生産性向上が必要です!』 価格競争の”イタチごっこ”から抜け出した例を書きます。
2軸式スクリュー圧縮機と呼ばれる機械が有ります。 これは、戦後、スウェーデンのSRM社が、技術提携を希望する企業に『スクリュー圧縮機の構造/寸法、主要部の必要な精度、運転実測データ(性能)等』を開示して、ロイヤリティーを得る商売を始めました。多くの国の多くの企業がSRM社と技術提携しました。
日本でも数社が技術提携した様です。然し、KS社とMK社が熾烈な開発/価格競争をして→→海外にも展開して→→頑張っています。 (日立産機も汎用品を手掛けています。 IHIが自動車用のスーパーチャージャーとして製造している様です。)
SRM社が開示するのは、あるサイズの2軸式スクリュー圧縮機に限定したデータです。ローター間の隙間と、ローターとケーシングの隙間を小さくする必要が有るのですが、SRM社は主要部の最終加工を職人芸でやっている様です。 SRM社は、「大型化/小型化と部品の加工方法は、技術提携した会社で考えなさい」と言うスタンスです。
私が2軸式スクリュー圧縮機に興味を持った1975年頃、その都度設計の大型機でKS社は結構な収益を上げていました。小型の汎用機はMK社が強く、中型機はほぼ互角の状況でした。KS社が小型の汎用機を1台売ると、3万円ほど赤字になっている様でした。(然し、トータルとしてはKS社は儲かっていました。)
小型汎用機の設計と営業に私の知人がいたので、「何故?赤字体質から抜け出せないのか?」数年間観察しました。 私が出した結論は、➊KS社は大企業で社員の給与が高い。❷KS社の現場社員は全て男性で給与が高い。➌KS社はMK社の販売価格を目標に、常にコストダウンに尽力していました→→目標値を達成すると→MK社が一歩先のコストダウンに成功していました。
KS社とMK社はコストダウンと性能改善に、同じ様に努力していたと思いますが、一歩先を進んだ努力は報われますが、後塵者の努力は殆ど意味が無いのです。
KS社は、赤字続きの小型汎用機の為に、10km程離れた所に専用の工場を建てました。暫くして、工場見学に行くと、新しく女性パート社員を数名雇って、壁向きに並べた作業台で部分組み立てをしていました。壁には、図面では無くて組み立て手順を示す写真を貼っていました。従来からの男性社員は全体を組み立てていました。 工場には作業効率を改善する種々の工夫が施されていました。
工場新設後も赤字が続いていた様でしたが、既納機の数が増えて→→メンテナンスの仕事が増え→→予備品の注文も増えて→→黒字体質が定着する様になった様でした。