ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

太平記

2019年09月18日 17時40分56秒 | 本の中から
太平記を読んでいる。
3冊目を読み終え、今最終の4冊目(31巻目)になる。
もう楠木正成・正行も新田義貞も赤松円心も北畠顕家もそして後醍醐天皇も大塔宮・護良親王も大塔宮を殺した足利尊氏の弟の足利直義も悪役・高師直もいない。
それなのに戦はだらだらと続いている。
戦記としてはこれでいいのかもしれないけど、戦記物語といしてはもはや蛇足。
「イーリアス」の10年も続くトロイア戦争を最後の49日間を詩にしたあの緊迫感とまったく違って、何とも締まらない。
後醍醐天皇の死で終わって、あとはその後の概略を書けばいいこと。
平家物語の2倍もある分量をせめて半分に減らしたら、もっとしまった軍記物語になっただろう。
それにイーリアスと違って人の顔が見えない。
歴史的には主役であるはずの足利尊氏の顔が見えない。
それだけじゃない、後醍醐天皇もそのほかの武将たちの顔も見えてこない。
人の掘り下げがまったく足りない。
これでは、軍記だったらわかるけど軍記物語としてなら魅力はない。
平家物語と比べると2流の軍記だと思わざるを得ない。

もっとも逆の言い方をしたら平家物語の次にすぐれた軍記なのかもしれない。
だって、まるで大河小説、ならぬ大河軍記、多くのエピソードにあふれている。
どうして大方の作家はこのエピソードを使わないのだろう?
正直この軍記未完成だと思う。
もっと遂行したらもっと魅力的な軍記物語ができたはず。
でもでも、逆にそれが魅力的なのかもしれない。

そう。
楠木正成や新田義貞ではなく足利側に組した武将たちがその後の歴史を動かしそれが応仁の乱や戦国時代に繋がる。
山名、赤松、細川・・・そして戦国時代に繋がる武田、上杉・・・
どうしてみんなもっとこの時代に注目しないのだろう?
日本の歴史は源平・戦国・幕末だけか?
そう、この軍記は魅力的な原石の集まり。
磨けばたくさんの宝石が出てくる。
そんな不満と充実感を覚えつつ、最終巻の4冊目を読むのでありますよ。
コメント
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