ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

スモークフリーのイギリス

2007-07-02 18:57:24 | イギリスの時事
今日のフランスはときどき

7月1日からアイルランド、スコットランドに続き、イングランドでも公共の場所や職場・および公共の交通機関や2人以上が利用する商用車での屋内・車内の喫煙が禁止になった。しばらく前から、これに先立ち、喫煙者の肩身の狭さを報道することがしきりだったのだったのだが、それを見ていたら気の毒になって、「室内で喫煙者だけを隔離するとかして、雨風がしのげるといいのにね。」と思わず言ってしまったら、すかさず「タバコをやめさせるのが目的なのだ」と夫に指摘されてしまった。まさにそのとおり。

このとき思い出したのが、もう10年以上前になる出来事。心臓移植だったか心臓バイパスだったか失念したが、心臓手術を待っている喫煙者男性に、医者が手術を拒否したという事件があって、イギリスで物議をかもし出した。在英邦人対象にした日本語の新聞のコラムでもこの事件が取り上げられていたのだが、そのコラムニストの主張は、自分と趣味・嗜好が異なるという理由で医者が手術を拒否するのはけしからんということだった(たぶん、この人は喫煙者なのだろう)。

これを読んで、この筆者は完璧にこの事件の核心をはずしているとわたしは思った。患者が医師と意見を異にするから、医師が手術を拒否したのではない。医師の言いたかったことは、タバコをやめるという最低限自分で出来る健康改善のための努力をしない人に、貴重なNHS(日本の国民健康保険制度にあたるイギリスの国の医療制度)の金銭的・人的資源を費やすことはできないということである。生き延びるために、あるいはよりよい人生をおくるために手術や治療を待ち望んでいる人たちはたくさんいるのに、そのような人たちに優先してまでも、健康になる自助努力すらしない人に手術を施すのは理にかなわないということで、わたしは医師の意見は正しいと思う。タバコは単なる趣味や嗜好の問題ではないである。

禁煙を促進することによって、心臓病や癌などが減り、NHSにかかる経済的負担を軽減できるというメリットもあるが、反面タバコ税の収入は減り(イギリスのタバコがべらぼうに高いのはタバコ税が高いためだが、これも喫煙をやめさせる親心の表れである)デメリットも小さくないだろう。また、パブの売上げ急減も危惧され、経済リスクも大きそうだ。今回の禁煙令は非喫煙者、特にパブやバーなどで働く人たちの受動喫煙を防ぐことが直接の目的だが、果たしてこれでタバコをやめる人も増えるかどうか。ちなみに、わたしは喫煙者ではありません。

なお、写真と本文とは関係ありません(というのをよく本や雑誌で見るけど、そういわれるとなおさらどんな関係があるのかと気になるでしょう?)。これはうちの近くにある道路ぎわの十字架です。

起業するならイギリス、引退するならフランス

2006-01-27 23:44:08 | イギリスの時事
先日、ケントのローカルニュースで、イギリスに移住するフランス人が増えてきたと報道していた。これまでは、圧倒的にフランスに移住するイギリス人が多かったのに対して、やっと輸出超過が是正され始めてきたということである。

イギリスに移住したフランス人の目的は起業。ビジネスを起こすのに、イギリスは最適だと、若いフランス人女性が流暢な英語で語っていた。ケント県内のパブを買い取ったフランス人男性が、一緒に厨房で働くフランス人シェフを募集したところ、フランス全土から600人もの応募があったと言う。

一方、フランスの安い住宅価格に惹かれて家族でフランスに移住したイギリス人男性が事業を始めようとしたが、許可が下りるまでが大仕事。とにかく、フランス人は書類が大好きである。申込用紙を申請するための用紙に記入しないといけないほどだ。夫が事業を始めることに同意しているという手紙をお役所宛てに妻が書かなくてはならなかったそうである。とうとう、この男性、地元の役所の前に赤い紙テープを体中に巻きつけて立ち(お役所主義を英語ではレッドテープと言う)、抗議行動に移したそうだが、果たしてフランスのお役人たちに理解してもらえただろうか?この番組では、もう一人、フランスに恋をして移住を決意した若いイギリス人女性を紹介していたが、彼女も職はなかなか見つからず、苦戦中のようだ。

この番組、最後に「引退するにはフランスは最高だが、起業を試みるならイギリスのほうがよい」と締めくくっていた。

休暇を過ごすのと実際に生活をするのではだいぶ違う。やはりイギリスのテレビ番組で、スペインに移住を試みる人々をカメラで追っている番組がある。みな最初は休暇で来て、のんびりとした生活スタイルが気に入り、あくせく働くイギリスの生活を捨てて、移住しようと決心するようだ。が、貯金のある年金生活者でもない限り、やはり働いて生計を立てないとならない。物価が安いだけすみやすいかもしれないが、賃金もイギリスより安いので、あまり事情は変わらない。やはり物質的に豊かな生活をしたいと思うなら、あくせく働くしかないのである。現実は厳しい。


イギリスのみのもんた?

2005-10-09 00:03:36 | イギリスの時事
ときどき

ジェーミー・オリバー効果というのが今日(10月8日)の新聞に載っていた。ジェーミー・オリバーは来日したこともあるので、日本でもご存知のみなさんも多いであろう。テレビで人気のシェフ(料理人)である。気さくな好青年という感じでファンも多い。イギリスの学校給食をジャンクフードからもっと栄養価の高い健康食に変えようという運動を始めて、政治的な影響力すら持ち始めた。そのジェーミー・オリバーが、スーパーマーケットのチェーン・セインズベリーと契約をして、"Try something new today"という宣伝文句で、伝統の食品の一味違った調理方法をそのテレビコマーシャルの中で紹介している。

これが大ヒットで、最近のパスタにナツメグというコマーシャルでは、香辛料の売り上げが倍増、その前のソーセージにリンゴと蜂蜜というコマーシャルでも、それぞれの食材の売り上げが急増したそうである。スペインでも(ペドロランド近辺ではイギリスのテレビが見られる)、65歳のヨークシャ出身元潜水夫という、料理とは何の関係もなさそうなおじさんですら、「ジャージー・ロイヤル(新ジャガで有名なジャガイモの種類)にハーブとオリーブオイルを加えてオーブンで焼いたの、すっごくおいしそうだよね。ジェーミー・オリバーのコマーシャルを見たら、新ジャガを買いたくなっちゃったよ」と言っていたくらいなのだから、その効果はすばらしい。この夏は、アスパラガスのコマーシャルが放映された後、野菜の供給不足が起こったほどである。

ところが皮肉なことに、このジェーミー・オリバー効果の恩恵にあずかっているのは、巨額のギャラを払ってコマーシャルを作り放映しているセインズベリーではなく、ライバル・スーパーチェーンのアズダやテスコだということだ。コマーシャルを見て触発された消費者が実際に買い物に行くのは、アズダやテスコのことのほうが多いということなのだろう(個人的な見解だが、セインズベリーよりアズダやテスコのほうが安い)。それでも、セインズベリーではジェーミー・オリバー効果に
期待して、2年分のナツメグをすでに発注したと言う。

ガソリン危機再び

2005-09-14 21:24:56 | イギリスの時事
今週初めからガソリンのパニック買いが始まっている。今日(9月14日)から3日間、運送業者を中心に、ガソリン税の税率引き下げを求めて、石油精製所付近を中心に各地で、道路封鎖や抗議行動をすることになっている。そのため、ガソリンスタンドで売られるガソリンが品薄になるという予想から、人々はガソリンを買い急いでいるわけである。

同じ状況は5年前にも見られた。「牛乳配達夫襲撃事件」なんていうウェスタンまがいの、無法地帯を思わせる事件まで起こったほどだ。今回はそこまではいかないかもしれないが、夫の報告によると近くのガソリンスタンドの1つではすでにガソリンが売れ切れになっているそうだ。果たして今回も、各地で、食料品など一般物資の品切れが起こるほどの規模になるか?

ちなみに、ケント県のガソリンの平均価格は現在、1リットル95.9ペンス(192.7円)ほど。高いところでは、ついに1ポンドの壁を越えて、1.07ポンド(215円)というところも現れている。この価格の70%がガソリン税である。

ピアノマンのその後

2005-08-22 18:37:46 | イギリスの時事
ときどき今、地元ケントのラジオ放送で聞いたニュース。日本でも有名になったピアノマンはダートフォード(わたしが以前住んでいたビーン村の近く)の病院を退院したとのこと。この人が発見されたのが、ケント県のシェピー島(島と言っても、川に挟まれた大きな中州のようなところ。ここは、島の外との交流があまりない住民が多いといわれ、ちょっと伝説的な場所)だったため、ケントではよくニュースになった。国外でも話題になり、ハンガリーでは有名なピアニストではないかという説もささやかれ、本人があわてて、自分ではないと記者会見をしたそうな。

4月以来長い沈黙を破って、ついにこの人が話したところによると、ドイツの出身でパリで働いていたが失業したので、故郷に帰る途中でイギリスをさまよっていたということだ。やっぱり謎の多い人である。

地震とイギリス人

2005-08-19 20:18:03 | イギリスの時事
月曜日にドイツから帰ってきてから(この旅行については後で写真を含めてアップする予定)、ずっと25度以上のいい天気が続いていたのだが、今日はついにその天気も崩れて雨降り。これで夏も終わりか??

日本の地震については、こちらのニュースでも話題になっていた。おととい(8月17日)のタブロイド紙を見たら、たまたまニューカッスルのラグビーチームが来日中で、ジョニー・ウィルキンソン(ラグビーのワールドカップでドロップキックを決めてイングランドを優勝に導いた国家的英雄。一時期一世を風靡した)も地震に動揺したというニュースが載っていた。彼らが滞在していた東京では、震度はどのくらいだか知らないのだが、"traumatised"(心に深い傷を負った)とか、えらく大げさな書き方だった。地震のたびにいちいちトラウマになっていたら、日本には住めないぞ。

もっとも、イギリスでは体感できる地震はめったにない。去年だったかおととしだったか、イングランド中央部のダドリーというところで、地震があって、大騒ぎであった。スペインのペドロランド近辺は元火山帯で、地震のあるところなのだが、やはり2~3年前にちょっとした地震があった。地震というものを知らないイギリス人やドイツ人は家から飛び出してきて、「今のはなんだったの?」と聞く。「地震よ」と言うと、えらく感動していた。

今年の1月29日に、ペドロランドから遠くないムルシアでもわりと大きい地震があった。地震が多いにもかかわらず、この地域では耐震構造とか建築面での予防策が全くなされていない。そこで、このときも物的被害が大きかったようである。でも、この地域を地震の多い地域として認めてしまうと(被災した家には補助金が下りるのだが)、北ヨーロッパの人たちがこわがって家を買わなくなるので、政府に認めさせないよう建設業者が圧力をかけているのだそうだ。利益が先か人命が先か。本当にスペインの建設業者はがめつい。

Royal Ascot

2005-06-17 22:08:22 | イギリスの時事
ロイヤル・アスコット(競馬のレース)が14日から18日にかけて行われている。今年のロイヤル・アスコットが特別なのは、恒例の会場・バークシャからイングランド北部のヨークシャに場所を移したことである。ロイヤル・アスコットは、6月から始まる夏の社交シーズンの伝統的な一シーンであり、上流階級の人々や有名人が集まることで知られているが、場所をヨークシャに移したことでどんな影響があるかが注目されていた。水曜日の報道では、イングランド南部に居をかまえる上流階級の人たちはわざわざイングランド北部まで出かけていかないため、例年とは異なり、会場には競馬ファンの姿が目立ったということであった。

ところが、木曜日はちょっと別のようである。木曜日は恒例のレディース・デーにあたり、毎年とんでもないデザインの帽子をかぶったおしゃれな女性たちが話題を集める。水曜日の報道では、今年は帽子をかぶらない女性が増えそうという予想であったが、蓋をあけてみると、やはり今年も帽子が話題を占めるのだった(写真はBBCのサイトから)。

スカイニュースが昨日ロイヤル・アスコットについて視聴者アンケートをとっていたが、結果は「すばらしい伝統」が49%で、「悪趣味な見世物」が51%とわずかに好意的な意見を上回った。罪の無い娯楽で、よろしいのではないかとわたしは思う。

Budge Day

2005-03-16 23:20:25 | イギリスの時事
ときどき今日はイギリスの2005年度の国家予算発表があった。その後、野党党首たちから予算に対するそれぞれの反応が国会で発表された。翌日には野党の影の大蔵大臣がそれぞれの予算案を発表することになる。このへんはさすがに年季の入った民主主義国家だなあと思う。なんでも与党に反対するだけが野党の役割ではない。もし自分たちが実際に政権を握ったら、現政権よりもよい予算案を提出することができるということを実際に示すいいチャンスであるし、国民にもそれぞれの党を比較する絶好の機会である。

予算に対する国民の関心は高い。それもそのはず、ほとんどが実際の自分の生活に影響するからだ。ガソリン税が値上がりしそうだという評判の高いときには、予算発表日の午前中には、ガソリンスタンドに長い車の列が見られる(今回は、石油価格がすでに高くなっていることから、ガソリン税の値上げは見送られた)。タバコ税は今晩6時から1箱につき7ペンス上がる。今頃、イギリスではタバコ屋に駆け込む愛煙家たちの姿が見られるかもしれない。今週の日曜日から、ビールは1パイントにつき1ペンス、ワインは1瓶当たり4ペンスの値上げである。

この予算を受け、相続税の課税対象金額が4月から275,000ポンド(約5500万円)まで引き上げられる。近年の住宅価格の高騰のおかげで、今までの金額では相続税の課税対象になってしまう家も多かったであろう。恩恵を受ける国民も少なくないかもしれない。住宅関連では、住宅購入時に支払う印紙税の課税対象が60,000ポンドからその倍の120,000ポンドに引き上げられた。これも、近年の住宅価格高騰を考慮したものだろう。

が、今回の予算で一番恩恵を受けるのは年金生活者だと言われている。住民税に対して200ポンド(約4万円)の払い戻しがあり、一律無料のバス乗車券を支給され(これまでは居住する地方自治体によって異なっていた)、冬には暖房手当200ポンド(80歳以上は300ポンド)を支給される。65歳になるのが待ち遠しいものだ(現在女性の国民年金支給開始年齢は60歳であるが、将来65歳に引き上げられることが決定している)。

わたしはイギリスで家を買う予定はないし、相続もしないだろうし、タバコも吸わなければ、それほど酒も飲まない。65歳以上でもないし、子供もいないので、今回の予算はほとんど関係がなかった。唯一関係がありそうなのが空港税だが、これは据え置きということで、個人的には全然関心のない予算であった。

チャールズ皇太子の結婚式

2005-02-11 01:16:30 | イギリスの時事
続報によると、結婚式は4月8日(金)に決定だそうです。スカイニュースの世論調査では、現在のところ、60%以上の人が結婚に反対とか。最初はおめでとう一色のコメントも、だんだんに賛否両論に分かれてきた。

故ダイアナ妃に使われた"Princess of Wales"(皇太子妃)という伝統的な呼び名は使わず、"Duchess of Cornwall"という名にするなどと、国民感情を損なわないように細かい配慮がなされている。なかなか王室も政府もたいへんなようで。

チャールズ皇太子の再婚

2005-02-10 18:37:26 | イギリスの時事
チャールズ皇太子とその愛人カミラ・パーカー・ボウルズが結婚することになった。日取りは4月6日という説が一番有力である。5月の総選挙を控え、その前におめでたい出来事で国民の気分を高揚させようという現ブレア政権の思惑が絡んでいるらしいが、果たしてこの結婚に気分をよくする国民が何人いるだろうか。これまで何度も行われている世論調査が示すところによると、国民の感情はチャールズ皇太子の再婚について徐々に好意的に動いている。が、なんと言っても、故ダイアナ妃を惨めな結婚生活に追いやった不倫の2人である(ダイアナ妃自身、かなり浮気はしたけどね)。8年前にダイアナ妃が亡くなった当時の国民の彼女に対する熱狂が本物ならば、この再婚はそれほど歓迎されないのではないか。

式はウィンザー城の王室の私的な教会で、小規模に行われるようだ。チャールズ皇太子もカミラ・パーカー・ボウルズも離婚経験者である点が、チャールズ皇太子の最初の結婚式のように大々的な国民行事にならない理由の一つである。もっとも、昨年スペインの皇太子が離婚経験者であるテレビのニュースキャスターと結婚したときのスペイン国民の歓迎ぶりには驚いた。カトリック国であるにもかかわらず、皇太子の離婚経験者との結婚にはそれほど反対はなかったようである。もともとヘンリー8世の離婚を認めさせるために作られたイギリス国教会であるし、昨今の一般的な離婚率の高さを見ると、再婚自体に対するイギリス国民の反対は少ないように思う。問題は、この2人の関係のこれまでの経緯である。