玉にぬくあふぢをいえに植えたらば山ほととぎすかれすこむかも
三輪山をしかもかくすか雲だにも心あらなもかくさふべしや
うちきらし雪はふりつつしかすがに我が家のそのに鶯鳴くも
春の苑くれない匂ふ桃の花したてる道に出で立つ乙女
朝にほ 海辺にあさりし夕されば大和へ超ゆる 雁しともしも
新しき年の初めはいや年に雪踏みならし常かくにもが (大伴家持)
朝霜のけやすき命誰がために千歳もがもと我が思わなくに
奥山の岩に苔むしかしこくも問ひたまふかも思ひあへなくに
天霧らひ日方吹くらし水茎の岡の水門に波立ち渡る
手折らずて散りなば惜しと我が思ひし秋の黄葉をかざしつるかも
石走る滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ 大石蓑麻呂
若(わか)の浦(うら)に潮満(み)ち来れば潟をなみ葦辺(あしへ)をさして鶴(たず)鳴き渡る (山部赤人)