世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫俊成
(この世の中には、逃れる道はないものだ。いちずに思いつめて
入った山の奥にも、悲しげに鳴く鹿の声が聞こえる・・。)
現世から容易に逃れることのできない憂愁。
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫俊成
(この世の中には、逃れる道はないものだ。いちずに思いつめて
入った山の奥にも、悲しげに鳴く鹿の声が聞こえる・・。)
現世から容易に逃れることのできない憂愁。
思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり 道因法師
(つれない人ゆえに思い悩んで、それでも命はこうしてあるものなのに
そのつらさに堪えないでこぼれ落ちるのは涙だったよ・・。)
思うにまかせず涙を誘う恋のつらさ。
憂きにたへぬは 涙なりけり 道因法師
(つれない人ゆえに思い悩んで、それでも命はこうしてあるものなのに
そのつらさに堪えないでこぼれ落ちるのは涙だったよ・・。)
思うにまかせず涙を誘う恋のつらさ。
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば
ただ有明の 月ぞ残れる 後徳大寺左大臣
(ほととぎすが鳴いた方をながめると、そこにはただ有明の月が
残っているだけである・・。)
ほととぎすの鳴いた方角にはただ有明の月。
ただ有明の 月ぞ残れる 後徳大寺左大臣
(ほととぎすが鳴いた方をながめると、そこにはただ有明の月が
残っているだけである・・。)
ほととぎすの鳴いた方角にはただ有明の月。
長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は ものをこそ思え 待賢門院堀河
(末永く変わらないという、あなたのお心もはかりがたく
お逢いして別れた今朝は、黒髪が乱れるように心が乱れて
あれこれともの思いすることです・・。)
後朝の黒髪の乱れにつのらせる恋のもの思い。
乱れて今朝は ものをこそ思え 待賢門院堀河
(末永く変わらないという、あなたのお心もはかりがたく
お逢いして別れた今朝は、黒髪が乱れるように心が乱れて
あれこれともの思いすることです・・。)
後朝の黒髪の乱れにつのらせる恋のもの思い。
秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけき 左京大夫顕輔(あきすけ)
(秋風によってたなびいている雲の切れ間から、もれさしてくる月の光の
なんとくっきりと澄みきっていることよ・・。)
秋の夜の雲間からもれ出るさわやかな月光。
もれ出づる月の 影のさやけき 左京大夫顕輔(あきすけ)
(秋風によってたなびいている雲の切れ間から、もれさしてくる月の光の
なんとくっきりと澄みきっていることよ・・。)
秋の夜の雲間からもれ出るさわやかな月光。