あるひとのいはく、さきのおほき
おほいまふちぎみのうたなり
二条のきさきの東宮のみやすむどころ
とまうしけるときに、むつきのみかの
日、おまへにめして、おほせごとあるあ
ひだに、ひはてりながらゆきのかしらに
ふりかかりたるを、よませたまひける
ふむやのやすひで
はるの日のひかりにあたるはななれど
かしらのゆきとなるぞわびしき
基撰法師
わが庵(いほ)は 都のたつみ しかぞすむ
世をうぢ山と 人はいふなり
よみびとしらず
荒れにけり あはれ幾世の 宿なれや 住みけむ人の
おとづれもせぬ