メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

クオン…エンジン異音。

2017-03-04 22:19:51 | UD
GK4XABクオンがエンジンから異音がする…との事で入庫。


早速、音を確認する為にエンジンを始動。

すぐにエンジン付近で『カチカチカチカチ』と音が聞こえます…
エンジン回転に比例して早くなったり、試運転するとカチカチがカタカタ…という音に変わったり…
しかもカタカタになると音も大きくなる様な…

で、サウンドスコープで音の発生源を調べていくとヘッドカバー内部の3番付近から発生しており…
原因を特定する為、ヘッドカバーを取り外し。


エンジンはGE13…




ヘッドカバーを取り外し…


すると2番のエキゾーストロッカーのローラーの様子がおかしな事に…


傷だらけ…



更にローラーが…




ガタガタ…(;´д`)


異音の原因はロッカーアームローラーのガタで間違いなさそう。
他のローラーはガタも無く問題無いようだけど…
何故に2番のエキゾーストロッカーだけ⁉︎

ローラーにコレだけ傷が入ってると、心配なのはやはりカムシャフト…
隙間からは見にくいですが、カムにも若干のキズがありそうな感じ。

う〜ん…微妙。
とりあえず外して駄目だった場合の事も考え、見積りにはカムシャフトも入れる事に…
後はロッカーをどうするか…
当のロッカーは無条件で交換ですが、問題はその他…

この車両はオイル管理は徹底してるのでオイルが原因でも無さそうですし…
仮にオイルが原因なら2番だけ…は納得いかない。
2番のエキゾーストロッカーアーム内でオイルポートが詰まってる…という可能性も否定は出来ませんが…
それは外した時に調べるとして…

とりあえず、お客様には修理の方向性を相談。

カムシャフトが再使用出来るかは外してみないと分からない事…仮にローラー不良が原因だと他のロッカーも換えておかないと同じ運命になる可能性もありえる事も。

で、相談の結果ロッカーアームは問題の箇所だけ、カムシャフトは駄目なら交換する方向に…
まあ無理もありません…カムシャフトは18万、ロッカーアームは1個約4万…それを18個使用してる訳ですからね…
ざっと計算しただけでもクラクラする様な値段になります。


早速見積りと同時に部品を注文。



ところが、しばらくして部品商から電話があり…
カムシャフトがBOで納期不明との事。

そんなアホな…

詳しく聞くとBOが多くキャンセル待ちの状態らしく…

今注文しても納期は3〜6ヶ月…

冗談キツイよUDさん…



これは注文数が達しないと作らないパターンだな…

それにしても半年なんか待てる訳ないし…


部品商には何とかして…と。
ココで何とかしたらポイント高いよ〜なんて冗談言いつつ…笑


無いものはしょうがないので…
とりあえず外したカムシャフトはキズがあっても修正して使う以外、方法はありません…
その他の部品はすぐに揃うとの事なのでそのまま作業を…

1番を圧縮上死点に、アジャストスクリューも緩めてロッカーシャフトの取り外し。




このロッカーシャフトASSYはめちゃくちゃ重いので…
天井クレーンでの取り外しを勧めます…笑



リヤ側のハウジングカバーを取り外し…
更にカムギヤも取り外し。
このGEエンジンはカムホルダーがシリンダーヘッド一体式なので上には外れないので、後方に引き抜く為です。




ちなみにこのエンジン…カムギヤ裏のプレート部からオイルが漏れる個体がよくあります…
これには設計の問題もあると思いますが…
シリンダーヘッドやP/Sポンプからの漏れと間違えやすいんです…

で、カムシャフトをエンジン後方に抜き取ります…







もうお気付きの方もおられると思いますが…
今回はトラクターヘッドなので後方にスペースがありますが…
ウイング車や架装物によって抜けるスペースが無い車両がたくさんありますよね…

カムシャフトだけで長さが1100mmありますから…
抜くスペースの無い車両は、なんとシリンダーヘッドの脱着がもれなく必要となります。

素晴らしい設計ですね…笑


抜いたカムシャフトを見ると…


あちゃー…ですね。


まあロッカーアームローラーがあんな状態だったので予想はしてましたが…
当然、カム山なので精密仕上げされております…
なので本来なら修正はNGです。

が、部品が無い以上は修正して再使用するしか方法が無いので…
スコッチブライト&精密研磨フィルムでキズを修正ラッピングします。


結果的にこの状態から…


ここまで研磨…
手で触ってもザラザラ感は無くなりました。



研磨したカム山のリフト量を測定すると…
11.465mm…


他のEXカムは…


11.640mm…

他のカム山と比べると約0.17mm程リフト量も少なくなってます…
磨いた分も含め、それだけ減ってる…という事です。

正直0.17mmは結構大きいですね…

コレを組むのは不本意ではありますが仕方ありません…



で、なんだかんだ組み付け準備をしていると部品商から電話が…

『〇〇さん…カムシャフト…方々にお願いしてなんとか1本だけ手配出来ました。来週には行けそうです‼︎』…と。

おおマジか‼︎
それは朗報…


きっと部品商が色んな所にコネコネしてくれた訳ですね…笑
いや〜感謝感謝。
私は決して圧力なんかかけてませんよ…笑


とにかく急遽カムシャフトが入手出来る事になりました…


ただ、入荷が来週なのでどちらにしても一旦組み付けて車両はピットから出して、部品が入り次第再度カムシャフトの交換をする事に…


問題の2番エキゾーストロッカーアームは交換。




カムシャフトを挿入してロッカーアームも取り付け…





カムシャフトのロケーティングプレート…Oリングも含めて、これは同時に交換した方がいいですね。


ただ、今回はカムシャフトが入荷したらまたバラすのでその時に換えます…

プレートとカムギヤも取り付け…




ロッカーシャフトも取り付けて…


バルブクリアランスとユニットインジェクターのプレリフト調整を同時に。


UDさんはコモンレールでは無くユニットインジェクターを採用してます…
今現在の最新の技術はどうなってるか分かりませんが、コモンレールよりもユニットインジェクターの方が噴射圧を高く設定出来るみたいです…
コモンレールが2000気圧に対してユニットインジェクターは2500気圧だとか…
それをカムで噴射時に合わせ瞬間的に加圧してる訳です。

なのでプレリフト量が狂うと気筒毎の噴射圧が変わってしまう事になります。
そういう意味でもバルブクリアランス調整時には確認も含めて再調整した方がいいですね…


ヘッドカバーも取り付け…
また外すのでプラカバーは付けません…



完成…
後はカムシャフトが入り次第、交換です。


で、問題のロッカーアームローラーを分解…


こんなにガタがある…
ピンは若干減ってる程度ですが…




ローラーがそんなに減るのか…⁉︎
それとも、もともとブッシュが入ってたんでしょうか…



オイルポートは詰まっておりませんでした…







となると原因はロッカーアームローラー自体にありそうな気がしますが…


とりあえずカムシャフト待ちです。


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