メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

デュトロ…吹き返し。

2017-03-14 21:22:20 | 日野
前回の記事でサブタンクから冷却水が溢れ出た…との事で引き上げてきたTKG-XZUデュトロ。

エンジンはN04C…


お客様曰く…
オーバーヒートさせた覚えは無い…との事。

車両は24年式とまだ新しく実際にエンジンや下廻りを確認するも外部には水漏れは無さそうです…

とりあえず現状の吹き返し状態を確認…

こちら


確かに嫌な吹き返し方ではありますが…
オーバーヒートはしてないって言うし…

冷却系統に圧力をかけてみるも微妙に下がる…


この時点では原因がイマイチ掴めず…



とりあえず、お客様には正確な原因はバラさないと分からない事も含め、最悪のケース(ヘッド不良)を想定した暫定見積りを提示。

作業の了承を得て…

早速吹き返しの原因を探りながら分解していきます。

この車両…ダンプなので作業性はバツグンです…
キャブマウントフレームを取り外せば邪魔するものは何もありません…




早速、バラしにかかり…

直ぐに不可解な点が…



画像の赤い矢印の部分ですがEGRクーラー内に水が溜まってます…
更に緑の矢印の部分には水滴が…⁉︎
画像では上手く撮れませんでしたが、上部にも水滴がたくさん付いておりました。

もしかしてEGRクーラーがパンクした…⁇

という事で先にEGRクーラーを取り外して単体点検をする事に。

EGRクーラーの水圧テスト。
冷却経路に水を注入して圧力をかけて漏れを調べます…


この傾けた状態でしばらく圧力をかけておき、漏れていればトレイに水が出てくるはずです…


ところが待てど暮らせど漏れてくる気配はありません…





なのでEGRクーラーが原因では無さそうです。

じゃああの水は一体どこから入ったんだ…⁇
という事で更に分解して原因を探っていきます。

余談ですが、この年式からVNTのアクチュエータもステップモーターに変更されてます。
以前のリニア電子制御式のVNTコントローラは本当によく壊れましたからね…


一応遮熱板も付いてますが…
まあ無いよりはマシか…



更に分解してシリンダーヘッドを降ろします。







で、ヘッドガスケットの状態をよ〜く見てみると…


ウォーターラインのOリングがおかしな事になっており…
これで吹き返しの原因が見えてきました。

4番シリンダーからの圧縮が矢印の方向に抜けた為にOリングがあんな形に変形してるんでしょう…




恐らくEGRクーラー内に溜まってた水も…

抜けた箇所からシリンダー内にクーラントが流入…
シリンダー内の熱で蒸発して水蒸気となったクーラントがEGRクーラー内上部に溜まり、今度は外気に冷やされ結露…

その為、EGRクーラー内に水が溜まったんでしょう。
それならEGRクーラー内の水滴も説明がつきます…

とりあえず吹き返しの原因はヘッドガスケット抜けという事は分かりました。

が、何故抜けたかは分かりません…

何故でしょう…⁉︎

取り外したヘッドは研磨と水圧テストをエンジン屋さんにお願いして、まずは水圧テストの結果待ちです。





で、先週土曜日に仕事が早く終わり少し時間が空いたので以前作業した6R10の不良コンプレッサーを調べてみる事に…

症状はヘッドガスケットの抜けとオイル上がり。

早速分解…




やっぱりオイルは上がってきてますね…




取り外したピストン…




分解したシリンダー内はやはり縦キズが多いです。


シリンダーの内径を測ってみると…


軸方向が85.985mmに対して側圧方向は85.905mm…
約0.09mmほど摩耗してます…


外した時の感覚ではピストンリングの張りが弱いような気がしますが…
あくまで感覚なので何とも言えませんけど。

ピストンは軸、側圧方向共ほぼ同じ数字でした…


ヘッドガスケットはやはり劣化はしてますが、どこから抜けるのかは見ても分かりません…
ヘッドが悪いかもしれないし…




クランクシャフトは問題無さそう…



この6R10のコンプレッサーはシリンダーとクランクケースが一体なのでオイル上がりを起こすとASSY交換以外方法がありません…
ボーリングした所でオーバーサイズピストンなんて無いし、そこまでするものでも無いし…

ただ、新品のコンプレッサーは18万ですからね〜

とは言え、修理しないとオイルがドライヤーに回り更に酷くなると各機構にオイルが混入してしまいます…



やっぱりオーバーホール出来ないのは困りますね…


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