時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

日本の左翼が無視していることPart3

2014-02-03 00:51:59 | 北朝鮮
北朝鮮の核問題の背景に米韓の軍事演習があること、
実際に、この演習によって2010年に戦闘開始寸前の状態まで
発展したことがあったことを指摘した。

本気で核を撤廃したいならば、
まずは常態化された米韓の軍事挑発の自粛要請をすべきである。

では、世間的に左翼と呼ばれている朝日新聞は
この件についてどのように応えているだろうか?

社説を見ていこう。

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北朝鮮問題―関係改善を望むならば (2014年2月1日02時08分)


北朝鮮が今年、韓国に対し融和的な姿勢に転じている。
金正恩(キムジョンウン)政権下で遅まきながら
対外関係の改善を探り始めた。

国を一党支配する朝鮮労働党は来年、創建70周年を迎える。
それまでに国民に新体制の手腕を印象づけようと、
経済の再建を図るねらいがあるようだ。


挑発路線から対話へかじを切るには、行動を示すしかない。
事実上破綻(はたん)した経済を本当に立て直したいと願うなら、
避けてはならない道がある。


ただちに核の全面放棄へ向けた行動をとることである。


国際社会の総意に背いて
核開発を続ける北朝鮮との関係改善を望む国などない。



正恩氏はその現実を見すえ、先代の金正日総書記がとった
軍事最優先の路線から決別する分別を持つべきだ。


韓国への対話の誘いは段階的に真剣味を帯びてきた。
先月、互いをののしり合う行為の停止を提案した。
これまで消極的だった南北間の離散家族の再会事業にも応じる方針を示した。

韓国側は、過去にも北朝鮮が融和姿勢のあとに
挑発行動を繰り返したとして、慎重に真意を見極めている。

金正恩政権は、核開発と経済建設を同時に進める「並進路線」を掲げている。
来年までに、これまで強調してきた「生活の向上」を国民に実感させねばならない。
南北対話やそれに伴う食糧・肥料支援などで実績をつくりたい。

食糧事情が上向けば、1980年以来となる党大会の来年開催も現実味を帯びる。
そんな目標を見すえているのだろう。

父の急死で権力を継いだ正恩体制は盤石とは言えない。
正恩氏の後見役と目されていた張成沢氏の昨年末の処刑劇は今も波紋を広げている。

その際、北朝鮮は経済停滞など、あらゆる問題の責任を張氏に押しつけた。
その粛清を終えたことで国内の引き締めになった半面、
今後の経済失政を言い繕う道は細った。

そうした流れの中に、日本への接触の動きもあるとみるべきだろう。
先般訪朝した参院議員のアントニオ猪木さんに
北朝鮮側は、日本の国会議員らの訪朝を呼びかけた。

日韓両政府は、米政府とともに、
北朝鮮の姿勢の変化を冷静に分析する必要がある。

そのうえで、正恩政権をどう実のある
交渉テーブルにつかせるか綿密に調整するべきだろう。

関係改善への道は、
核問題や拉致問題などの課題の進展なしにはあり得ない。
その原則を正恩政権は悟らねばならない


http://www.asahi.com/articles/ASG103CJ1G10USPT006.html?iref=com_rnavi_arank
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どうだろう、この社説には
米韓の軍事演習について全く触れていない!


それどころか
「国際社会の総意に背いて核開発を続ける北朝鮮との
 関係改善を望む国などない。」と日米韓の強硬姿勢を維持せよとのたまっているのだ。



大体、これまで北朝鮮の行動を散々「強硬姿勢だ」と非難してきたくせに
いざ対話路線へと舵を切ったら「核を捨てない限り聞く耳は持たん!」
と語るとは一体なんなのだ?はじめから話しあいをする気などないのか?


核の放棄こそ
6カ国による対話によって
解決されるべき問題ではないか!


それを無条件に放棄せよと高らかに語る一方で、
自国が行っている経済制裁に対しては一言も触れていない。



「経済制裁は対話次第では解きますぅ~
 でも対話次第では解きません~

 だが貴様ら北朝鮮は核や拉致に関して
 愛と正義の民主主義国ジャパンに対して
 自らの恐るべき罪を悔いなければならぬぅう!!!

 米韓の軍事演習?知るか!
 どうでもいいから読者になど伝えぬぞ!わかったか!!!

 ゼェ…ハァ…さて、どうするね?(ニヤリ)

 ラブ アンド ピース 朝日新聞より」

この社説を通して言いたいのはこんなところである。

対話を投げかけている北朝鮮と徹底無視を主張する朝日新聞。

こちらの条件を呑むのは絶対で、そちらの条件を呑むのは対話次第。

どっちが独裁なのやら……


文章にしても、「遅まきながら」とか「悟らねばならない」とか
どこまでも上から目線で語っている。そのくせ
「北朝鮮の姿勢の変化を冷静に分析する必要がある」と
言うことだけは立派である。まずはてめぇが冷静に分析しろと言いたい。


現在の日本の北朝鮮に関する情報は
ほぼ全てが韓国経由であり、自前で取ってきたものではない。

それゆえに北朝鮮をぶっ潰して統一しようと
模索している連中からもらったものである以上、
きちんと史料批判しなければならないのだが、
日本のメディアや知識人はただ鵜呑みにしてしまう
体たらくをさらしている。

そのため、2012年の春と冬に行われた人工衛星騒動に
関して韓国の情報を頼りに右往左往し、あげくの果てには
発射された後に韓国に教えてもらうという大失態を犯した。

まずは自分たちの穴だらけの情報分析から反省すべきだろう。

朝日新聞の横暴っぷりは今に始まったことではない。
この件に関しては浅井基文氏が述べているので
ページを以下に紹介しよう。

「眼を蔽う朝日新聞社説」
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2012/432.html


以上、朝日新聞の社説を非難したが、これを読めばわかるように
今の朝日新聞はとても本来の意味での左翼と呼べるメディアではなく、
反対のふりをした右翼とでも呼ぶべき存在だ。

当ブログではこういう連中を反共左翼、ソコソコ左翼(=コソコソ右翼)
と称して痛烈に批判している。こいつらには普段はきれい事を述べるが
いざという時には平気な顔で裏切り行為を働く厚顔無恥な所がある。

こういうのが戦後左翼の主流であったことが
現代日本の右傾化の根本の原因だと私は考えているのだがどうだろうか?

この点を考えるため、次回は知識人の反応を取り上げたいと思う。

日本の左翼が無視していることPart2

2014-02-03 00:05:58 | 北朝鮮
前回、説明したように相手の話を聞かない国として
宣伝されている北朝鮮だが、実のところ、
この国は状況に応じて柔軟に態度を変える所がある。


逆を言えば態度を硬化させることもあるわけだが、
我が国の左翼は罵詈雑言を浴びせるだけで、
北朝鮮との対話は可能だという
前提そのものを捨ててきたのではないだろうか?

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北朝鮮は24日、赤十字を通じて
南北離散家族の再会を韓国側に提案しました。
同日付の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、
韓国への敵対行為を中止したと表明。
さらに米国に向けて6カ国協議の再開を呼び掛けるなど、
米韓との関係改善を狙う姿勢を見せています。



離散家族の再会場所は北朝鮮の金剛山、時期は
「今月末の旧正月後に気候が穏やかになった後、
南(韓国)側が都合の良い時」としています。韓国側は27日に回答する予定。
実現すれば2010年の11月以来です。


南北は昨年9月末の再会実施で合意していましたが、
直前に北朝鮮が一方的に延期した経緯があります。
韓国側は1月6日に改めて実施を呼び掛けましたが、北朝鮮は拒否。
今回、一転して実施を逆提案してきたことについて、
韓国統一省は「われわれの提案を受け入れたことを歓迎する」と表明しました。


北朝鮮は離散家族再会の提案に先立ち、労働新聞で
「韓国当局、政党、社会団体、各階層人民」に宛てた
「公開書簡」を発表。書簡は金正恩第1書記の「特命」によるものだとして、
「相手側に対する刺激、誹謗(ひぼう)中傷や軍事的な敵対行為」を
「一方的に中止する措置を取った」と表明しました。



公開書簡の内容は、北朝鮮の最高権力機関で金第1書記が
委員長を勤める国防委員会が発表した韓国への「重大提案」に沿ったもの。
この提案は米韓合同軍事演習の中止や、
米国の「核の傘」からの脱却を求める措置を含んでおり、
米国も巻き込んだ対話につなげるものとなっています。



米ニューヨークでは24日、北朝鮮の申善虎国連大使が記者会見を開き、
米国と韓国に6カ国協議の再開を呼び掛けました。


北朝鮮は昨年12月に張成沢国防委員会副委員長を処刑して以降、
国際的な非難を浴び、いっそうの孤立を招きました。

韓国メディアは、米国のデービース北朝鮮担当特別代表が
27~31日に中国、韓国、日本を訪問する直前の
「平和攻勢」だとして、孤立脱却の狙いがあると指摘します。

ただ、北朝鮮はこれまで6カ国協議の非核化合意を無視し、
何度も核実験を強行してきました。重大提案など一連の文書でも
自らの核武装を「最も正当な自衛的な選択」と固執する姿勢を変えていません。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-26/2014012606_01_1.html
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上の記事は赤旗から引用した。
米韓の模擬侵略(軍事演習などという言葉では手ぬるい)や
米国の核依存からの脱却を問いかけるなど、韓国だけでなく
日本の軍事問題に対しても考えさせられる提案である。


この点に関して言及した赤旗は、さすがだと思われる。
だが、赤旗でさえ末文に「ただ~」と称して
北朝鮮の核武装を指摘し、否定的な文章を添えるあたり限界がある。


核武装を否定したがる論者にありがちだが、
通常兵器の質・量ともに米・日・韓の侵略トリオのほうが
よっぽどヤバイものを有しているという事実が欠落している。



北朝鮮が核を持ちたがるのは大雑把に言って、
①通常兵器だけでは対抗できないから
②イラク・リビアなど非核の国家が軒並み侵略されているから
の2点がある。

日本では核で脅しをかけて金をむしり取ろうとするという
解釈だけが横行しているが、援助金がほしいなら核は
むしろ逆効果(実際、経済制裁を受ける要因になった)であり、
この説明は北朝鮮の悪イメージを吹聴するものでしかない。


つまり、北朝鮮が核を捨てるには
アメリカや韓国の軍事的脅威を除去しなければならない。


次の記事を読んでもらいたい。

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米国のロバート・ ゲーツ元国防長官が最近出版した回顧録で
2010年11月23日に起きた延坪島砲撃事件に触れている。
当時、ホワイトハウスは戦争の危機に直面していた。

▼その日、南朝鮮軍は北の警告を無視して西海で砲撃訓練を強行した。
砲弾が北側水域に達し、人民軍が反撃に出た。南当局は「報復」を計画した。
元国防長官によると「計画には(北に対する)空爆が含まれ、
あまりにも攻撃的だった」。「報復」が戦争を引き起こすことを
憂慮したオバマ大統領と米政府の要人たちが、数日間にわたり
李明博大統領を「説得」し、危機を回避したという。


▼南朝鮮軍の戦時作戦統帥権は米国が持っている。
そもそも南の大統領が独断で行動する余地などない。

しかし、元国防長官の「証言」は、常態化した軍事行動が
不測の事態を招きかねない
朝鮮半島の現実を物語っている。


▼朝鮮国防委員会は、南当局に対する「重大提案」の中で、
軍事的敵対行為の全面中止を呼びかけた。米国との合同軍事演習の中断も求めた。
延坪島砲撃事件の教訓を忘れていないのであれば、真摯に取り組むべき課題だ。


▼北側は「提案」を実現させるために
「実践的な行動を先に見せる」と表明している。
朴謹恵大統領にとっては、またとない機会だ。
北のアプローチに同調さえすれば、前任者の轍を踏まずに済む。
戦争に拡大するかもしれない軍事衝突は、未然に防ぐに越したことはない。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/01/skst-24/
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おわかりだろうか?

下手をすれば、今から4年前に韓国と北朝鮮との間で
戦闘が行われたかもしれないのである。

これは言わば21世紀のキューバ危機のようなもので、
平時の軍事演習が如何に危険な挑発行為かがよくわかる事件である。



本当に残念だが、赤旗には朝鮮新報が記したような
軍事演習に対する危機感というものがほとんど感じられない。


それどころか、末文では「やはり北朝鮮は核を持ちたがる悪い国で
路線は根本的に変わっていない」とでも言いたげだ。

日米同盟の破棄を望むわりに他国に対してやや冷淡すぎはしないか?

仮に衝突が起きた場合、おそらく日本のメディアは
「北朝鮮の攻撃に韓国が反撃した」と報道するだろう。それが恐いのだ。


ただ、フォローを入れると、赤旗は政党機関紙であり、
北朝鮮を人間が治めている国だとは思わない我が誇り高き
日本人によって自党の命運が握られている以上、あまり
思い切ったことは言えないのだろう。選挙によって
党勢が左右される政党ゆえの弱みである。


では、選挙とは無縁の新聞や知識人は
どのような発言をしているのか?この点について次回で語ることにしよう。