時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

全く懲りていない池上彰(デタラメだらけの反日論)

2015-08-22 23:47:32 | マスコミ批判
性懲りもなく、また池上彰が反日特集をゴールデンタイムに流していた。

池上によれば、従軍慰安婦問題、強制連行問題で
事実をそのまま語ることが反日行為にあたるらしい。



語る言葉は極右の言い分をそのままコピーしたものばっかり。正直あきれた。



①河野談話について

 池上は河野談話を「慰安婦を強制連行した」ことを認めたと説明し、
 その後、強制連行の証拠が発見できなかったことがわかったと述べたが、

 これ自体が大きな間違いだ。

 河野談話の全文を下に示そう。


「いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、
 今般その結果がまとまったので発表することとした。
 

 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、
 数多くの慰安婦が存在したことが認められた。

 慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、
 慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、
 旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。

 慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、
 その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、
 更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。


 また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、
 朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、
 その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、
 多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。

 政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、
 いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり
 癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。

 また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、
 有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、
 むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。

 われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、
 このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さない
 という固い決意を改めて表明する。
 
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、
 また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、
 民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。 」

(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html)


そもそも、河野談話では甘言、つまり誘拐や略取、人身売買等の行為を指して
「強制」と称しているのであって、池上の述べる強制とは意味が違う。


河野氏は次のように語っている。

「本人の意思に反して集められたことを強制性と定義すれば、
 強制性のケースが数多くあったことは明らかだった」

「こうした問題で、そもそも『強制的に連れてこい』と命令して、
『強制的に連れてきました』と報告するだろうか」

「当時の状況を考えてほしい。政治も社会も経済も軍の影響下にあり、今日とは全く違う。
 国会が抵抗しても、軍の決定を押し戻すことはできないぐらい軍は強かった。
 そういう状況下で女性がその大きな力を拒否することができただろうか」


つまり、談話で述べられているのは、いわゆる「広義の強制性」というものだ。
それに対して池上が述べているのは「狭義の強制性」であり、談話を誤読している


しかも東京裁判や米英中のBC級裁の記録などから
強制連行を示す公文書が次々と発見されたことを一言も語っていない。




ちなみに、専門家たちが立ち上げた慰安婦サイトでは次のように述べられている。



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ブッシュ政権の時に国家安全保障会議上級アジア部長を務めたマイケル・グリーンさんは、
「永田町の政治家達は、次の事を忘れている。
〈慰安婦〉とされた女性達が、強制されたかどうかは関係ない。
 日本以外では誰もその点に関心がない。
 問題は、慰安婦たちが悲惨な目に遭ったと言うことだ」

(『朝日新聞』2007年3月10日)と語っています。



誘拐事件が起きた時、暴力的に連れ去ったか、
騙して連れ去ったか、そんなことは問題になりません。

連れ去った先で監禁拘束すれば、最初の連れ去り方は誰も問題にしません。
どちらの連れ去り方でも刑法上の犯罪としての重さは同じです。

騙して連れて行っただけだから、悪くないのだ、
などと言う者がいれば、みんなから何を愚かなことを言うのだと非難されるだけでしょう。



女性を軍慰安所に監禁し、「性的奉仕」を強制したこと、
国家機関が、そうした制度を作り、女性を集め、運営し、
それを公認したこと、そうしたことこそが大問題なのです。



http://fightforjustice.info/?page_id=2433
--------------------------------------------------------

グリーン氏が述べるように、慰安婦問題で問題なのは、
慰安婦を集めてくることを「命じた」という事実、
慰安婦が自分の意思で拒否することが出来ず拘束された事実であって、
どのように連れてきたかはサブの問題である。


これら専門家間の共通見解に反して、池上は
安倍をはじめとする右翼の主張をそっくりそのまま述べただけ
。これが解説か。



②反日という言葉の恣意的歪曲使用

 今日(2015年8月22日)の池上のニュース番組では、
「反日」と言う言葉が非常に曖昧に使われていた。


例えば、教科書問題に言及することが「反日」になったかと思えば、
番組の後半では単に日本が好きだという感情で「昼は反日、夜は親日」と説明しており、
日本政府に対する反発なのか、日本人に対する反発なのかも曖昧にしている。



要するに、日本と対立すれば反日で、協調すれば親日になるらしい。

池上によれば、戦後の日韓関係は、
軍事独裁政権時は協調、民主化直後は対立、
アジア危機から2012年までは協調、李明博竹島上陸後からは対立になっているそうだ。


ア ホ かと言いたい。

日韓共同でワールドカップを主催した時から、
日本には今で言うネトウヨがウジャウジャいたし、
嫌韓流をはじめ、韓国を攻撃する本は2000年代にいくらでも存在した。


ネットにも韓国を攻撃するネトウヨサイトはいくらでもあった。
池上は2000年代の出来事を忘却しているのだろうか?

韓ドラやK-POPを脳を汚染する毒物として嫌悪している人間は多くいたし、
そういう連中を批判する韓国人だっていくらでもいた。池上は寝てたのだろうか?


そもそも、慰安婦問題や強制連行問題等の日本の戦争犯罪を
教科書に明確に記述するように求めることのどこが反日なのだろうか?


それは「慰安婦などなかった!」「日本の戦争は正しかった!」と思わなければ
到底、頭に思い浮かぶことの無い発想である。



慰安婦たちが日本政府に対して訴えを求めるようになったことを
「皮肉にも」民主化が原因で「反日」(!)になったと説明する池上は頭がおかしい。

彼の理屈に従えば、原爆投下でアメリカを非難する日本人は
アメリカが嫌いな反米主義者ということにされてしまう。



当然だが、原爆投下を批判しつつも日常ではアメリカに好意的な日本人は多くいる。

多くの日本人はロックや映画を楽しみながらも、
アメリカが空襲で多くの民間人を殺害したことは知っている。

「それはそれ、これはこれ」ということだ。

韓国人も同様で、知人の留学生も日本の植民地支配を研究しているが、
私をはじめとする日本人ともフレンドリーに接するし、食事だってする。


歴史認識や領土問題で彼らが非難しているのは「日本政府」の態度であり、
「日本人」そのものではない。当たり前の話なのだが、右翼はその辺りを理解しない。


だから「昼は反日、夜は親日」と言った言葉も池上は簡単に吐ける。

この言葉は、『韓国 反日感情の正体』という本のキャッチコピーなのだが、
同書を執筆した産経新聞記者の黒田勝弘氏は、次のように書いている。


「韓国に長く滞在したり居住する日本人の多くが言うことだが
「韓国でテレビや新聞(近年はこれにネットも加わるが)を見なければ
 こんなに楽しい国はないよねえ」という話がある。

 これは何を意味するかというと、韓国社会では日常的には
 反日を感じさせられることは実はほとんどないということだ。

 メディアにあふれる不愉快な反日さえ知らなければ、
 日常的には反日は無い(?)に等しいのだ。」


当然である。

日本でも新聞、テレビ、ネットを除外すれば、職場や学校で
ひっきりなしに「竹島は日本の固有の領土」「朝鮮人死ね」と言われていないように、
日常では、どこの国でも政治ネタ、差別ネタはあまり出現しないのである。


アメリカ人やフランス人、イギリス人の留学生と話したこともあったが、
このサイトでよく述べる中東・アフリカへの各政府の軍事干渉について
「イギリス人は現地人に謝れー」などとは言っていない。当たり前の話だ。

池上や黒田氏はある国の政府に対して非難を行う人間が、
その国の人間に対してまで暇さえあれば攻撃していると本気で思っているのだろうか?

常識的に考えてありえない話である。



このように日本人に対する民族差別という意味の「反日」と、
大日本帝国の植民地主義・戦争犯罪を認めようとしない日本政府を批判する意味での
「反日」(笑)を混ぜて、あーだこーだ言っているので、おかしなことになっている。


大体、この前の反日特集で、韓国人の誰もが反日であるかのように
捏造VTRを作っておきながら「夜は親日(ドヤァ)」はないだろう。


自分で自分の過去の主張を否定している。
本当に物忘れが激しくなったのかと心配になってくるほどだ。


ついでに言えば、竹島の問題が急に取り上げられるようになったのも、
「竹島の日」なるものを島根県が勝手に設けて日本の領土だと煽ったのがきっかけである。

池上は、反日や親日の原因を韓国国内にのみ求め、
日本政府や日本社会の右傾化について全く触れようとすらしない。


もう一度言う。これが解説か?


③慰安婦問題は解決済み?


 池上の凄まじいところは、産経の記者の言葉を鵜呑みにするだけでなく、
 日韓友好条約で慰安婦問題は解決済みという右翼の見解をそのまま語っていることだ。




「日韓基本条約で「請求権の問題は解決済み」とする安部政権の見解を
 そのまま伝えて「そもそも、訴えなど無駄なんですよ(ドヤァ)」と述べていたが、


超基本的事実として、韓国政府は2005年まで
一貫して日本政府に金銭要求はしてこなかった。



ところが、2005年に日韓基本条約の交渉過程を明らかにする関連文書が公開され、
その結果、日本が朝鮮半島で行った投資などの財産権、両国政府・国民の請求権に
関する「外交保護権」を放棄しただけで、個人が所有する請求権は消滅しないこと、
同条約が「慰安婦」などの人権問題を解決したものではないことが明らかになった。


(外交保護権とは、
 自国民が一般に外国においてその身体や財産を侵害され,損害を受けた場合に,
 自国に対する侵害とみなし,相手国の国際法上の責任を追及する権利のこと)



また、日韓請求権協定第3条1項では、協定の解釈や実施について紛争が生じた場合、
「外交上の経路を通じて解決する」と規定している。

このフレーズをネタに韓国の市民団体が憲法裁判所に提訴し、
同裁判所は韓国政府が日本政府と交渉しないことを違憲と判断した。




以下、その判決文だが、よく読んで欲しい。



---------------------------------------------------------------
求人らの日本国に対する損害賠償請求権が
消滅したかどうかの可否については、見解が分かれている。


万一、韓日請求権協定が、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権を消滅させるのならば、
請求人らの財産権を保障する義務を負う国家が、
請求人らの財産権を消滅させる条約を締結したことになる。


そして、韓日請求権協定が、請求人らの日本国に対する損害賠償請求権を
消滅させるものではないとしても、請求人らは、日本国に対する
損害賠償請求権を行使することが、韓日請求権協定によって阻止されている。


したがって、大韓民国は、請求人らの日本国に関する損害賠償請求権行使が、
韓日請求権協定によって妨害される違憲的な事態を解消させるために、
韓日請求権協定第3条に従って日本国を相手に、
外交的交渉や仲裁手続きを推進する義務を負うと見るのが妥当である。


そして、このように大韓民国が日本国と締結した韓日請求権協定が、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権の行使を遮っている以上、
そのような条約は請求人の基本権を侵害すると見ることもできるが、

日本国の植民地統治に因って、大韓民国の国民が日本国に対して
有する請求権を一括的に妥結するために、大韓民国政府が日本国から3億ドルを受け取って、
国民の日本国に対する請求権を代わりに補償しようとしたものと理解するならば、
そのような条約が憲法第37条第2項に違反すると断定するのも難しい。


ただし、そのように善意に理解しても、大韓民国政府は韓日請求権協定を締結して、
日本国から無償資金3億ドルを受け取り、国民らが日本国に対して
損害賠償請求権を行使できないように協定することで、
日本国に対して損害賠償請求権を行使できなくなった国民らに対して、
その損害を補償する義務を負うと見ざるをえない。


大韓民国は日本国から無償資金3億ドルを受けた後、
1966年2月19日、「請求権資金の運用及び管理に関する法律」を制定したが、
被徴用死亡者の補償をしただけで、
請求人らのような日本軍慰安婦は補償の対象に含まれなかった。

そして、1993年 6月11日、
「日帝下日本軍慰安婦に関する生活安定支援法」を制定し、
日本軍慰安婦に生活安定支援のための一時金と、毎月の支援金を支給し、
賃貸住宅への優先賃貸、生計給付、医療給付、看護人等を支援して来たが、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権をまともに満足させるほど、
充分に補償したと見るのは難しい。

したがって、大韓民国は韓日請求権協定第3条に従って、
日本国を相手に外交的交渉や仲裁手続きを推進し、
韓日請求権協定の違憲性を除去する義務があるだけでなく、
韓日請求権協定に因って、請求人らが日本国に対する損害賠償請求権を
行使できなくなった損害を、完全に補償する責任を負うと宣言しなければならない。

http://www.wam-peace.org/wp/wp-content/
uploads/2011/09/64e1569fcbc532fd1df34f353e7e7f09.pdf


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このような経過と理屈があるのだが、池上は凄まじいことに
韓国の裁判所は法律より民衆の空気を読んで判決する
という物凄い暴論を述べ、正当性がないと結論付けた。



請求権そのものは消えていないというのは日本政府すら認めていることだ。
一体、何が気に食わないというのだろう?
(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-28/2014012802_03_1.html)

韓国の司法はレベルが低いんだ!だからこんなトンデモ判決が下りたんだ!と決め付ける。
これもヘイト発言の一つなのでは?



以上、この他にも、まぁ出るわ出るわ、もはや右翼のご意見番となっている。

結局、彼も安倍談話と同様、終戦記念日の際に流した番組では
「日本軍のせいで多大な犠牲が~」とかいかにも反省しているかのように述べる一方で、
腹の内では「大日本帝国の戦争犯罪を問う=反日」と思っているのだろう。


よく考えれば、あの櫻井くんと共演した番組でも、
被害者としてクローズ・アップされるのは日本兵だけで、
海外のアジア人・欧米人に関してはなーんにも触れていなかった。


被害者の側面だけを強調する歴史観は安倍と何ら変わらない。
今からでも、岩波はあんな合法詐欺師とは手を切るべきだ。『世界』の質が下がる。


池上に関して真っ先に言いたいのは、先日の反日特集番組において、
意図的な改善を行ったことについて一切、謝罪をしていない
ことだ。


謝罪したのはフジテレビでドヤ顔で解説した池上は知らん振りというのは
ジャーナリストとしてどうなのよと私は思うのだが……いかがだろう?


なんだか文句しか言っていないが、これは本当に、アメリカで
「アメリカの原爆投下は正しかったのに日本人は反米だから理解できない」
「でも、お隣の国だからお互い、仲良くしようよ!理解しあおうよ!」と
いけしゃーしゃーとほざくデマゴーグがアメリカ随一のジャーナリストと
絶賛され、左翼雑誌にも引っ張りだこになってているようなもので、本当にヤバいのである。



メディア研究者や歴史研究者の方は池上彰のやりたい放題の合法詐欺について
少しは文句をつけていいと思うのだが……

南北朝鮮、会談中

2015-08-22 19:15:19 | 北朝鮮
会談の席が設けられて本当によかったと思っている。

アメリカは、わざわざ米韓軍事演習の一時中断を報じたが、
これは北朝鮮に歩み寄ったというわけではなかろう。


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米韓の戦闘機が土曜、韓国の対北朝鮮心理戦装置を攻撃する
という北朝鮮の意図を抑制するため、演習を行った
。聯合通信より。


韓国に配備されている米国の戦闘機F16が4機、
韓国の戦闘機F15Kが4機参加し、敵の標的を空爆する練習が行われた。


「韓国と米国の統合軍の威力を誇示する目的の演習だ」と韓国当局。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150822/786314.html#ixzz3jXOtYLF2

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百歩譲って韓国側の情報が正しかったとしても、
北朝鮮が2発の砲撃であるのに対して向こうは数十発。

両国が緊張している今も、政府は上のような態度。
どう考えたって挑発しているのは韓国のほうだ。


……という意見は私だけが持っているようではないようで、
中国の呂超・遼寧省社会科学院韓国・北朝鮮研究センター主任、
中国社会科学院の王俊生研究員は次のように話している。


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情況からして、北朝鮮がわざわざ木箱地雷を埋設したようには見えないが、
 韓国は兵士が負傷しており、対北放送を再開した」

「しかし、全体的には、衝突が拡大する可能性はあまりない」と述べた。


呂主任は、その根拠に死傷者が発生しないように両方が砲射撃を行った点や、
現在朝鮮半島で軍事演習の乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)が行われている点、
北朝鮮が9月9日の政権樹立日と10月10日の朝鮮労働党創立記念日などの主要行事を控えている点、
9月3日の中国の抗日半ファシスト戦争勝利70周年記念行事が差し迫った状況を挙げた。


中国社会科学院の朝鮮半島問題専門家である王俊生研究員は、

「南北ともに全面戦争は望んでおらず、大小にかかわらず、衝突の可能性は低いものと見られる」

とし
今回の事件では、あまり意味のない対北宣伝放送を再開した韓国側に、
 より大きな責任があると思われる

と述べた。

(中略)

中国の呂主任と王研究員は、

まず韓国が対北朝鮮拡声器放送を中止して自制すれば、
 事態がこれ以上大きくなることはないだろう
」と述べた。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/21695.html
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ロシアのニュースサイト『スプートニク』は、より強烈な非難記事を載せている。
紹介されている専門家(ゲオルギー・トロラヤ氏、ヴァシーリン・カーシン氏)の意見は
いずれも傾聴に値すると思われるので、以下、スプートニクのオピニオン記事を紹介する。



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北朝鮮の指導者、金正恩氏は戦車による攻撃準備を完全に整えるよう命じた。

前日の20日、北朝鮮の即応砲兵隊は韓国領内に設置されている
反北朝鮮プロパガンダ用の拡声器に向かって、砲撃を行なった。


そもそも南北朝鮮は2000年代の初頭、韓国に民主主義者らによる政権が誕生し、
両国間の関係が急激に改善されたときに、38度線付近でのプロパガンダを停止していた。


ところが2008年、
韓国政権に保守主義者が返り咲くと、北との関係はうまく運ばなくなる。


パク・クネ大統領は関係改善への意欲を何度も口にしてはいるものの、
これが本当だとすれば、韓国がプロパガンダ再開に踏み切ったことは一層理解に苦しむ



ロシア科学アカデミー、経済研究所で朝鮮プログラムを率いる
ゲオルギー・トロラヤ氏は、これはパク大統領の北京訪問準備と関連があるとの見方を示し、
次のように語っている。



韓国はまたしても北朝鮮を傷つけたいがために、
 中国に対して北朝鮮のふさわしくない行為の問題を突きつけ、
 中国が北朝鮮に圧力を講じるよう要求している。

 今回のケースでは、南北朝鮮間で砲撃合戦があったばかりであり、
 韓国軍も戦闘準備態勢をとらされている以上、
 この要求は特にアクチュアルなことに思えるだろう。

 この事実を韓国は自分の側に中国を引き入れ、
 その助けを借りて北に秩序を求めるために利用すると思う。


こうした作戦は危険なものといわねばならない。
なぜならこれは毎回、南北朝鮮を戦争開始の瀬戸際に追いやるものだからだ。


ロシア人軍事専門家のヴァシーリィ・カーシン氏は
ラジオ「スプートニク」からのインタビューに答え、戦争の可能性を次のように語っている。


「地域限定的な小競り合いの軍事紛争が起きる可能性は朝鮮半島には常に存在している。
 通常これは境界線付近で、短期間の砲撃合戦、軍艦の衝突という形で起こりうる。

 だがこれより大きな事態も、現場を監督する者のミスや、
 何らかの非常に悲劇的な偶然がきっかけとなって起きてしまう可能性はある。

 なぜなら南北の政治指導部が著しい軍事行動を起こせという命令を
 出すことはまずありえないからだ。」

スプートニク:それでも金正恩氏は自国軍に対し、
       38度線全域で戦闘準備体制を高める命令を下したではないか?


これは北朝鮮にとっては通常の実践だ。
 金正恩氏が戦闘準備体制を高める命令を下したことは過去にもあった。
 
 朝鮮半島で大きな危機が起きた2013年もそうだ。
 この時、金正恩氏は、ミサイルの発射準備態勢にまで用意させていた。
 これは北朝鮮にとっては他の国と同様、外交レベルで激しい抵抗を表現する手段なのだ。
 だが、正恩氏が何らかの大規模な軍事作戦の実行を真剣に検討しているとは、私は思わない。

 正恩氏は、軍事境界線近くの韓国の延坪島(ヨンピョンド)での砲撃戦のような、
 地域限定的な紛争では部分的勝利を収められるとしても、
 大規模な紛争では負けることを理解しているからだ。


スプートニク: だが、もし戦争という事態に発展した場合、
        韓国が勝利に支払う代価はどういったものになるだろうか?

「大規模な紛争になれば、これは地域全体にとって、
 特にロシアの沿海地方にとってカタストロフィーとなると思う。
 北朝鮮には戦闘能力を有する航空隊はなく、それに陸上の軍事機器もいい状態にはない。
 そのかわり軍事境界線から北にかけ、大量の大砲と弾道ミサイルが配備されている。

 このほか、北朝鮮は、トンネル、シェルター、倉庫といった地下設備が
 縦横に張り巡らされた山岳地帯での戦争訓練を受けた軽歩兵団を大多数用意している。

 このため、北朝鮮は韓国の、そしておそらく
 日本の民間施設に非常に手痛い攻撃を行うことができる。

 北が核兵器を使わずともおびただしい数の犠牲が出る危険性がある。

 こうなれば米韓が北へと攻撃を開始するだろう。とはいえ、連合国は直ちに、
 ほぼ一瞬にして北の海、空軍機を殲滅し、戦車や機甲部隊に多大な損害を与えるだろう。

 それでも米韓軍は起伏に富んだ地形や見事に訓練された北の歩兵隊を相手にしては、
 そう簡単に進軍はできなくなる。


 おそらく、北は最後の最後まで戦いぬくだろう。
 なぜなら北朝鮮には、ばら色の非共産主義的未来が到来してしまった場合、
 活路を見出せない人があまりに多く、何百万人といるからだ。 

 これは特務機関、将校、国家、党の機関に勤務する人間であるし、
 また技術インテリゲンチヤのかなりの部分がそうだ。


 このため米韓が北朝鮮を相手に殲滅を計っても、
 これがどれほどの期間続くかを予想することは全く出来ない。
 
 一方で北朝鮮の食糧備蓄には限りがある。
 これはつまり中国北部と沿海地方は夥しい数の難民に直面するということを指しており、
 その多くは武装している可能性もある。

 結果として我々は人道危機に陥るであろうし、
 これは北東アジア全体を覆い、何年にもわたる危険性がある。

 もしこの紛争で核兵器、化学兵器などが使われることがあれば、
 これはもう目を覆う事態となってしまう。

 朝鮮半島で大規模な紛争が起きれば、
 あらゆる方面にとってカタストロフィーとなることを
 万人がよく理解している以上、こういう事態に達することがないよう願うしかない。」


だが、この期待も現段階ではかなりぼんやりとした形であることも指摘しておかねばならない。
韓国が北朝鮮を煽動したくないのであれば、なぜ反北朝鮮プロパガンダの再開を宣言したのだろうか?

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20150821/784850.html#ixzz3jXTp90Qi
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日本では、北朝鮮の記事と言うと、とにかく北朝鮮を非難するものばかりで、
朝日新聞にいたっては「相手の側に立って考えろというけど、北朝鮮の考えは
絶対に理解できない」といった意見をコラムに書いてしまうほどだ。


翻って、アジアを視点に向けると、意外と北朝鮮の擁護意見はよく見られる。
ロシア・中国は言わずもがな、東南アジアにも理解を示す専門家はいる。


それに対して、日本や韓国に目を移せば、いわゆる左翼系であるはずの新聞でさえ、
とりあえず韓国が正しいことを前提にして、北朝鮮に自粛を要求している。

軍事境界線の北朝鮮挑発、厳然かつ抑制ある対応を


こういう状況を見る限り、自国の新聞だけを読むのではなく、
他国のメディアにもアクセスして多角的に思考することが要されるのだろう。