時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮、人工衛星「光明星4号」打ち上げに成功

2016-02-08 00:33:02 | 北朝鮮
これまでの記事をまとめると、

①北朝鮮が打ち上げるのは人工衛星であって弾道ミサイルではない

②気象衛星の打ち上げをミサイル実験と表現するメディアの報道は偏向している

③人工衛星およびロケットの残骸は、防衛ミサイルでは破壊できない

④つまり、厳戒態勢を取っているようで、安全対策は不十分かつ不適である

⑤にも関わらず、北朝鮮の脅威の名の下、
 普段は基地問題で揉めているはずの沖縄と中央政府が容易に一致団結し、有事体制を取った。

⑥結局、この打ち上げに対する日本の態度は、北朝鮮の存在しない脅威を口実にした
 沖縄の基地化計画、つまり沖縄を敵国の侵略から食い止めるための砦にする計画の一貫で、
 ここ最近の防衛ミサイル配備や厳戒態勢のそれは、有事を想定した演習の一環だったと言える。


このような分析を行った矢先、北朝鮮が人工衛星「光明星4号」の打ち上げに成功したと言われる。
他国が確認を取らない限り、本当に人工衛星を飛ばしたかどうかはわからないが、
この状況でウソをつく意味がないので(アメリカにはあるが)、恐らく事実だと思われる。


冷静に考えれば、日本はアメリカ、ロシア、中国と核保有国に囲まれている国だ。
核の脅威を叫ぶのであれば、アメリカやロシアの核にも神経質にならなくてはなるまい。

日本もアメリカも人工衛星の打ち上げを行っているし、
アメリカにいたっては先制攻撃のための核実験を行ってすらいる。

どうも北朝鮮の脅威ばかり煽られて、問題視されていない感触を得るのだが、
今、米韓日はこぞって自国の軍国化に勤しんでいる。沖縄はその好例かつ象徴的存在だろう。


こういった動きに対して日本ではなく、同じくアメリカに執拗に攻撃されている
イランのメディアがアメリカ一派の軍拡の動きを批判する記事を掲載した。


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日本による東シナ海へのイージス艦の派遣

ガッファーリー解説員

日本の自衛隊が、東シナ海にイージス艦を配備しました。

日本は最近、特に1月6日に北朝鮮が水爆実験の実施発表した後、
軍事計画を実行する機会が訪れたと見ているようです。

北朝鮮による衛星ロケットの発射は、
アメリカ、日本、韓国にとって、北朝鮮に圧力を行使するための口実となりました。

これらの国は、北朝鮮の行動は朝鮮半島の緊張を煽る挑発行為だとしています。
アメリカは、北朝鮮による長距離ミサイルの発射は、
大陸間弾道ミサイルの開発計画を覆い隠すためのものだと報告しました。

アメリカとその同盟国による見解の表明、立場、アプローチに注目すると、
日本が東シナ海にイージス艦を配備したことは熟考に値します。


日本は、その目的を、北朝鮮によるミサイル発射の脅威に対抗することとしています。
これを受け、日本政府は、北朝鮮がミサイルを発射した場合、直ちにそれを迎撃するとしています。
これはアメリカが誰よりも望んでいることです。
しかし北朝鮮は、衛星ロケットの発射は、科学研究を目的にした平和的なものだとしています。

アメリカは、彼らが緊張を生じさせずに軍事的な政策を追求することはできないことを示しました。

アメリカが、その意味や代償についてどのような目算を持っているのかはさておき、
アメリカのアジアにおける軍事戦略の基礎は、
レーガン大統領からジョージ・ブッシュ大統領の時代に築かれました。

そして現在、オバマ大統領は、そこにわずかな変更を加え、
中国のけん制を目的とした東アジア重視の戦略を強調しています。

明らかに、日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナムが
懸念を示したのと同時に、アメリカは、アジアにおける軍事駐留を正当化しています。


この中で、日本は、北朝鮮の脅威に対抗する目的で、
石垣島に地対空誘導弾パトリオット3を配備しました。

日本は、北朝鮮のミサイルが国内に落ちる可能性がある場合、東シナ海のイージス艦が
ミサイルで迎撃し、撃ちもらしたときにこのパトリオット3を使用するとしています。

こうした中、日本は、北朝鮮のミサイル発射に対抗する以上の目的を追求しているようです。
実際日本は、国境警備、主権、国益の観点から、尖閣諸島の領有権の主張の正しさを証明するため、
軍自体を保有する必要があるとして軍国主義化を正当化しています。


日本の人々は、国家の主権存続にかかわる問題であるため、
当然、安倍首相の政策を支持することでしょう。特に安倍首相は、
再度、北朝鮮の長距離ミサイル計画や軍事力の発展について触れています。

安倍首相は、このような口実により、これまで以上に自衛隊を北朝鮮に対抗させることができます。
こうした中、中国はアジア諸国は自国の利益を考慮した上で、
外交政策、特にアジア政策において理性を保つ以外に方法はないとしています。

なぜなら、そうしなければ、アジアは、
それぞれの間に解決できない問題を抱え、武器競争の場となってしまうからです。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/62129-
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皮肉なことに、北朝鮮を巡る問題では中国が最も冷静な態度を取っている。
中国は北朝鮮の核保有に反対の意を示しているが、同時に、北朝鮮が核武装をするのは
アメリカや韓国、日本の病的な強硬姿勢にあることを指摘し、6カ国協議に回帰し、対話による
朝鮮半島の非核化と米朝間での平和条約の締結を望んでいる。これは北朝鮮も望んでいることだ。


他方で、アメリカや日本、特に日本のメディアは右は産経から左は沖縄タイムスまで
北朝鮮への更なる制裁を叫び、中国に対し我らに従えと求めている。何と言うヒステリーだ。

ロシアもまた、北朝鮮への強硬姿勢は意味がないと主張する。
6カ国協議の再開と、対話による解決を望んでいる。政治の基本は対話であり、
勝手に核実験や人工衛星発射を行う北朝鮮も、勝手に制裁や威嚇を行う米韓日も
どちらも間違った選択をしており、朝鮮半島を不安定にさせている。これが彼らの主張だ。

私は中国、ロシアの意見に賛意を示したい。
今回の人工衛星の打ち上げは予告された日程より1日早い7日に発射された。
北朝鮮は日本とは別の時間帯を使っているので彼らにとっては8日だったのかもしれないが、
落下した地点も予告区域外であり、こういった一つ一つのミスが北朝鮮を攻撃する材料になる。


今回の打ち上げおよび前回の核実験でわかったのは中国が案外、強い味方でいてくれることだ。
今回も、このままの調子で行けば、中国は中立の立場を取りながら
北朝鮮が望んでいる対話の再開と朝鮮半島の非核化を提言するものと思われる。

北朝鮮への石油の販売停止など、同国のエネルギーそのものを断とうとするアメリカに対して
中国は「ミッション・インポッシブル」と確かに抗議した。日本や韓国では中朝の不仲説が
ここ数年、まことしやかに囁かれたが、いざという時に中国は北朝鮮の味方になってくれる。

今回の一番の収穫はこれだったのかもしれない。
(とか言いながら今日や明日に制裁に同意したらちょっと悲しいが)

最後に、朝日新聞の記事の一つに、
金正恩氏の命令でミサイル発射 朝鮮中央通信が強調」というものがあるのだが、
実際には、北朝鮮のメディアである朝鮮中央通信は「人工衛星発射を命じた」と報じている。

朝日の見出しでは、あたかも「ミサイルを発射せよと金正恩が命令した」と
北朝鮮のメディアが自白しているかのように誤解されるのではないだろうか?

こういう小さな記事ですら小細工を弄する。それでいいのだろうか?