トルコ軍によるロシア戦闘機撃墜事件。同事件をきっかけに露土関係は急速に冷え込んだ。
トルコ側はロシアが領空侵犯をしており、
10度にわたる警告に応じなかったために攻撃したと語っている。
ところが、後の調査で領空をロシア戦闘機が通過した時間はわずか17秒だったことが判明した。
つまり、17秒の間にトルコ軍は10回も警告を発したことになる。これは明らかにウソだろう。
トルコが攻撃した背景として、ロシアやイランではトルコのIS(ISIS)支援を挙げている。
確かに、トルコはサウジアラビア、アメリカ、イスラエルと並び、ISを支援している国家だ。
シリア国内でIS兵として戦う外国人傭兵の大多数はトルコ領内から入っている。
トルコ政権の黙認なしに、これだけ多数の武装戦闘員が国境を越えられはしない。
また、IS戦闘員の武器はトルコ領を通って供給されており、
トルコ政府自体がシリア産石油を現在進行形で奪取し続けており。
その石油はすべてトルコのエルドガン大統領の息子の所有する企業に供給されている。
そして、ここが肝心な点だが、トルコは、ロシアがISが所有する、
石油を積んだトラック500台以上を破壊した途端に態度を激変させた。
このような状況からトルコの攻撃的な姿勢がロシアのIS攻撃に起因すると考えるのは自然だ。
また、フリー・ジャーナリストの田中宇氏はIS以外の過激派への攻撃も原因の一つとみなす。
田中宇氏:トルコの露軍機撃墜の背景
だが、私はこれとは別の理由がある気がしてならない。
ISにせよヌスラ戦線にせよ、ロシア軍が攻撃する過激派は所詮はトルコ国民ではない。
確かに民族的な繋がりはあるかもしれないが、現在、トルコはロシアと共に
天然ガスをロシアから供給するためのパイプラインを建造している最中であり、
経済的にロシアの存在が無視できないこのタイミングで、
わざわざ他国のテロリストのためにロシアと険悪な仲になる挑発をするだけの義理がない。
つまり、ロシアと敵対してなお得られる何らかのメリットがない以上、
ここまで強硬な態度をいきなり取る理由が見つからないのである。
では、そのメリットは何かと言う話になるが、
ここで考慮すべきなのが、もともとトルコがNATOの所属国であることだ。
ここで前述の田中氏の評論を引用しよう。
「トルコはNATO加盟国だ。NATOは、加盟国の一つが敵と戦争になった場合、
すべての同盟国がその敵と戦うことを規約の5条で義務づけている。
そもそもNATOはロシア(ソ連)を敵として作られた組織だ。
戦闘機を撃墜されたロシアがトルコに反撃して露土戦争が再発したら、
米国を筆頭とするNATO諸国は、トルコに味方してロシアと戦わねばならない。
これこそ第3次世界大戦であり、露軍機の撃墜が大戦の開始を意味すると重大視する分析も出ている。
ロシアとNATO加盟国の交戦は60年ぶりだ。
ここ数年、米欧日などのマスコミや政府は、ロシア敵視のプロパガンダを強めている。
NATO加盟国のトルコの当局は、ロシアと対決したら世界が
自国の味方をしてくれると考えているだろう。だが、私の見立てでは、
世界はトルコに味方しにくくなっている。今回の露土対立は、世界大戦に発展しにくい。」
田中氏はフランスもIS掃討に本腰を入れるようになったこの状況で、
国際社会がトルコを支持するのは考えづらいと述べている。
NATOとの関わりに注目する点までは私も田中氏と同じだが、同氏の見解では
「なぜフランスとロシアが協力してIS掃討に乗り出したこの時期に攻撃を?」
という問いに上手く答えられないような気がする。
ロシアがISを攻撃し始めたのは大分前だから、仮に攻撃するならもっと前に行ったはずだ。
ここで気にすべきことが、
フランスやアメリカがロシアと協調しなければならなくなった時期と
トルコが両国に代わってロシアを非難し始めた時期が一致するという事実だ。
つまり、パイプラインの建設を犠牲にするだけの意味がある何らかの利益を受けることを条件に、
トルコがロシアの空爆を非難する役目を米仏から引き継いだのではないだろうかと思う。
実際、ウクライナではパイプラインの建設は中止になったが、
その代わり、キエフ政権はアメリカを中心に経済的軍事的支援を得ることが出来た。
ウクライナもトルコもNATOの従属国であることを踏まえれば、
米仏が表面的には協力しながらロシアを攻撃するためにトルコを利用するのは十分有り得る。
以上、状況証拠からトルコの攻撃の背景を推測したが、
今後、仮に米仏が何らかの支援をトルコに行ったりすれば、この読みは当たりとなるだろう。
(逆に米仏がロシアに味方してトルコを非難すれば外れたことになる)
最後に、本記事とは無関係の内容だが、今回の田中氏の記事、
実は、スプートニクの徳山あすか記者が同氏のホームページから
そのまま転載したものらしいのだが、それって記者としてどうなのだろう?
完全にボランティアであり、取材費も時間もない個人が非営利目的で行うなら理解できる。
しかし、仮にもプロの新聞記者がネットの記事をそのまま引用って……手抜きすぎだろう。
この徳山記者は前から単なるインタビュー記事を、
それも日本の保守系知識人からインタビューしたものを編集して掲載するだけの
アルバイトでも出来そうなことばっかりしていて、記者としては3流だと思っていたが……
実際、リテラの梶田陽介記者と比べると、梶田記者が関連図書を読み、
きちんと基本を学んだ上で取材を行い、記事にしていることは容易に想像できる。
自民党が持ち出した「共謀罪」の危険すぎる中身!
テロ対策は嘘、トイレ落書き計画リツイートするだけで逮捕も
これなどを読むと、取材相手の言葉だけでなく、
地の文でも(つまり梶田記者自身が)共謀罪について解説を行っているのだが、
徳山記者の場合、取材相手の言葉だけで説明されており、
テープの内容をそのまま文章にしただけだということがすぐにわかる。
元産経の記者らしいリュドミラ・サーキャン氏もそうだが、
スプートニク紙には、なぜか右派の人物も混じっており、
それは中立的といえばそうだが、日本とは別視点の解説を行うという
このメディアの最大の特徴を台無しにしているような気もする。
トルコ側はロシアが領空侵犯をしており、
10度にわたる警告に応じなかったために攻撃したと語っている。
ところが、後の調査で領空をロシア戦闘機が通過した時間はわずか17秒だったことが判明した。
つまり、17秒の間にトルコ軍は10回も警告を発したことになる。これは明らかにウソだろう。
トルコが攻撃した背景として、ロシアやイランではトルコのIS(ISIS)支援を挙げている。
確かに、トルコはサウジアラビア、アメリカ、イスラエルと並び、ISを支援している国家だ。
シリア国内でIS兵として戦う外国人傭兵の大多数はトルコ領内から入っている。
トルコ政権の黙認なしに、これだけ多数の武装戦闘員が国境を越えられはしない。
また、IS戦闘員の武器はトルコ領を通って供給されており、
トルコ政府自体がシリア産石油を現在進行形で奪取し続けており。
その石油はすべてトルコのエルドガン大統領の息子の所有する企業に供給されている。
そして、ここが肝心な点だが、トルコは、ロシアがISが所有する、
石油を積んだトラック500台以上を破壊した途端に態度を激変させた。
このような状況からトルコの攻撃的な姿勢がロシアのIS攻撃に起因すると考えるのは自然だ。
また、フリー・ジャーナリストの田中宇氏はIS以外の過激派への攻撃も原因の一つとみなす。
田中宇氏:トルコの露軍機撃墜の背景
だが、私はこれとは別の理由がある気がしてならない。
ISにせよヌスラ戦線にせよ、ロシア軍が攻撃する過激派は所詮はトルコ国民ではない。
確かに民族的な繋がりはあるかもしれないが、現在、トルコはロシアと共に
天然ガスをロシアから供給するためのパイプラインを建造している最中であり、
経済的にロシアの存在が無視できないこのタイミングで、
わざわざ他国のテロリストのためにロシアと険悪な仲になる挑発をするだけの義理がない。
つまり、ロシアと敵対してなお得られる何らかのメリットがない以上、
ここまで強硬な態度をいきなり取る理由が見つからないのである。
では、そのメリットは何かと言う話になるが、
ここで考慮すべきなのが、もともとトルコがNATOの所属国であることだ。
ここで前述の田中氏の評論を引用しよう。
「トルコはNATO加盟国だ。NATOは、加盟国の一つが敵と戦争になった場合、
すべての同盟国がその敵と戦うことを規約の5条で義務づけている。
そもそもNATOはロシア(ソ連)を敵として作られた組織だ。
戦闘機を撃墜されたロシアがトルコに反撃して露土戦争が再発したら、
米国を筆頭とするNATO諸国は、トルコに味方してロシアと戦わねばならない。
これこそ第3次世界大戦であり、露軍機の撃墜が大戦の開始を意味すると重大視する分析も出ている。
ロシアとNATO加盟国の交戦は60年ぶりだ。
ここ数年、米欧日などのマスコミや政府は、ロシア敵視のプロパガンダを強めている。
NATO加盟国のトルコの当局は、ロシアと対決したら世界が
自国の味方をしてくれると考えているだろう。だが、私の見立てでは、
世界はトルコに味方しにくくなっている。今回の露土対立は、世界大戦に発展しにくい。」
田中氏はフランスもIS掃討に本腰を入れるようになったこの状況で、
国際社会がトルコを支持するのは考えづらいと述べている。
NATOとの関わりに注目する点までは私も田中氏と同じだが、同氏の見解では
「なぜフランスとロシアが協力してIS掃討に乗り出したこの時期に攻撃を?」
という問いに上手く答えられないような気がする。
ロシアがISを攻撃し始めたのは大分前だから、仮に攻撃するならもっと前に行ったはずだ。
ここで気にすべきことが、
フランスやアメリカがロシアと協調しなければならなくなった時期と
トルコが両国に代わってロシアを非難し始めた時期が一致するという事実だ。
つまり、パイプラインの建設を犠牲にするだけの意味がある何らかの利益を受けることを条件に、
トルコがロシアの空爆を非難する役目を米仏から引き継いだのではないだろうかと思う。
実際、ウクライナではパイプラインの建設は中止になったが、
その代わり、キエフ政権はアメリカを中心に経済的軍事的支援を得ることが出来た。
ウクライナもトルコもNATOの従属国であることを踏まえれば、
米仏が表面的には協力しながらロシアを攻撃するためにトルコを利用するのは十分有り得る。
以上、状況証拠からトルコの攻撃の背景を推測したが、
今後、仮に米仏が何らかの支援をトルコに行ったりすれば、この読みは当たりとなるだろう。
(逆に米仏がロシアに味方してトルコを非難すれば外れたことになる)
最後に、本記事とは無関係の内容だが、今回の田中氏の記事、
実は、スプートニクの徳山あすか記者が同氏のホームページから
そのまま転載したものらしいのだが、それって記者としてどうなのだろう?
完全にボランティアであり、取材費も時間もない個人が非営利目的で行うなら理解できる。
しかし、仮にもプロの新聞記者がネットの記事をそのまま引用って……手抜きすぎだろう。
この徳山記者は前から単なるインタビュー記事を、
それも日本の保守系知識人からインタビューしたものを編集して掲載するだけの
アルバイトでも出来そうなことばっかりしていて、記者としては3流だと思っていたが……
実際、リテラの梶田陽介記者と比べると、梶田記者が関連図書を読み、
きちんと基本を学んだ上で取材を行い、記事にしていることは容易に想像できる。
自民党が持ち出した「共謀罪」の危険すぎる中身!
テロ対策は嘘、トイレ落書き計画リツイートするだけで逮捕も
これなどを読むと、取材相手の言葉だけでなく、
地の文でも(つまり梶田記者自身が)共謀罪について解説を行っているのだが、
徳山記者の場合、取材相手の言葉だけで説明されており、
テープの内容をそのまま文章にしただけだということがすぐにわかる。
元産経の記者らしいリュドミラ・サーキャン氏もそうだが、
スプートニク紙には、なぜか右派の人物も混じっており、
それは中立的といえばそうだが、日本とは別視点の解説を行うという
このメディアの最大の特徴を台無しにしているような気もする。