来年の2月26日にイランで議会選挙・専門家会議選挙が実施される。
(専門家会議とは、高位のイスラム法学者で構成された議会)
24日木曜の時点で議会選挙には5921名が立候補し、そのうちの562名が女性だという。
(専門家会議の選挙には801名が出馬予定)
これに関して、イランラジオのアミーンザーンデ解説員は以下のように説明している。
イランの政治システムを知る上でも、一読の価値があるかと思う。
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イランには、ここ数日、選挙の雰囲気が漂っています。
内務省の呼びかけにより、第5期専門家会議と第10期イラン議会選挙の候補者の登録が始まり、
これらの選挙の実施に向けた準備が整えられています。これらの選挙は2016年2月26日に実施されます。
イランのローハーニー大統領は、21日月曜、
内務省の選挙本部を訪れ、専門家会議の議員の候補者登録を行いました。
ローハーニー大統領は記者会見で、専門家会議を体制の最も重要な柱だとし、
「今日国の中で連帯と統一を有するなら、それはイスラム法学者による統治のおかげだ」と述べました。
ローハーニー大統領は選挙への女性の参加についても、
「我々は女性の参加に関して先進的な国のひとつである。
国の運営のすべての分野、福祉サービスの分野において女性が参加しており、
女性の参加が男性よりも多くないとしても、その影響力は小さくない」と語りました。
また、
「議会選挙、さらには専門家会議の選挙で、女性が登録すべきであり、
これは我々にとって世界的な重要性を有している。この選挙により、
言動において国の運営において主な決定を下すのは人々と選挙での投票だと表明する」と述べました。
さらに、「革命後、イランは宗教的民主体制を実現した最初の国だった」と語りました。
イランの議会制度は、議会での決定が国民の将来に直接影響するようなシステムとなっています。
経済、政治、文化、社会など、様々な分野での議会の措置により、
実際、政府とイスラム共和制の計画と方針が決定されます。
憲法によれば、イラン国会はイスラム共和制において、法案を可決し、成立させるほか、
国の行政機関の監視や閣僚の信任など幅広い権限を有しています。
政情や外交分野の問題における国会の役割もまた、
政府の後ろ盾と体制の力のひとつと見なされています。
国民の代表である議員の権限と義務により、国会は独立した権限を有する権力機関になっています。
イラン国会はこれまで、様々な思想、様々な政治的経歴をもつ議員の存在により、
浮き沈みを経ながらも、概して発展の道を歩んできました。
このためこの選挙は今も登録が行われている最中ですが、
イランの選挙の空気が国内外のメディアの注目を集めています。
これに関して、選挙の健全性の強調、資格の検討、
議会と専門家会議の構成の変更の可能性などの問題に焦点が当てられています。
http://japanese.irib.ir/news/%E6%9C%AC%E6%9
7%A5%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF/item/60853
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イランの最高指導者は国政において最高決定権を有しており、
また戦争において最高司令官の役目も負うため、独裁者というイメージが流布しているが、
実際には普通直接選挙で選ばれた専門家会議のメンバーによて選出され、監察を受ける。
また、この専門家会議の議員も8年ごとに入れ替わるため、
国民が選んだ宗教権威者が最高指導者を監督するシステムになっている。
また、これとは別に通常の内政・外交は議会(マジュレス)が担当し、
こちらは4年ごとに290人の議員が直接選挙で選ばれる。女性議員の比率は少ない。
ただし、それがイラン女性の差別に繋がっているかと言えば、それは誤りだ。
イランでは、次官級の官職や各省庁の報道官、大学教授、医師、
航空機のパイロットなどの高所得者の職に女性が多く就いており、
例えば、イランでは一般医の49%、専門医の40%、高度技能専門医の30%を女性が占めている。
また、近年、イランでも女性運動が盛んになっているが、
それはイラン社会における女性の進出が背景として存在する。
以上、ざっと見てきたが、シリア・北朝鮮と共に人権侵害国家と言われるイランだが、
その政治制度は宗教国家の割には意外なまでに民主的で、少なくともサウジよりはマシだ。
(サウジでは女性参政権がつい先日、認められた。また王族の権力が異常なほどに高い)
イランにも至らない点は山ほどあるわけだが、それは過激な亡命イラン人が要求する
現イランの政治体制あるいはイランという国家そのものの消滅なしでも改善できると思われる。
シリアもしかり、中国もしかり、どうも欧米ならびに日本の左翼の多くは
民主化を盛んに語る割には、異常なまでに選挙制度というシステムを軽視しており、
代わりに一部の「民主派」による公道や施設の占拠、暴動を礼賛したがる傾向がある。
今月の岩波新書でも、香港の雨傘革命を、実際には参加者の比率は低く、
現地住民には経済を麻痺させるものとして不評を買っていたのにも関わらず、
「日本も見習うべきではないだろうか」と絶賛されていて大いに驚いてしまった。
あくまでも彼らは数の上では少数派であり、皮肉なことに自国の民主化を叫ぶ彼ら自身が、
選挙制度という民主システムを平然と無視し蔑ろにしていることについてもう少し検討すべきだろう。
この点は、最近やたらと持て囃されているSEALDsにも言えることだ。
安保法案に反対しているからというだけでベタ誉めされているようにも感じる。
少なくとも、彼らの主張をホームページ等で確認しているようには見えない。
この手の直接行動主義の問題点についても色々書きたいところだが、それは後日改めたいと思う。
(専門家会議とは、高位のイスラム法学者で構成された議会)
24日木曜の時点で議会選挙には5921名が立候補し、そのうちの562名が女性だという。
(専門家会議の選挙には801名が出馬予定)
これに関して、イランラジオのアミーンザーンデ解説員は以下のように説明している。
イランの政治システムを知る上でも、一読の価値があるかと思う。
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イランには、ここ数日、選挙の雰囲気が漂っています。
内務省の呼びかけにより、第5期専門家会議と第10期イラン議会選挙の候補者の登録が始まり、
これらの選挙の実施に向けた準備が整えられています。これらの選挙は2016年2月26日に実施されます。
イランのローハーニー大統領は、21日月曜、
内務省の選挙本部を訪れ、専門家会議の議員の候補者登録を行いました。
ローハーニー大統領は記者会見で、専門家会議を体制の最も重要な柱だとし、
「今日国の中で連帯と統一を有するなら、それはイスラム法学者による統治のおかげだ」と述べました。
ローハーニー大統領は選挙への女性の参加についても、
「我々は女性の参加に関して先進的な国のひとつである。
国の運営のすべての分野、福祉サービスの分野において女性が参加しており、
女性の参加が男性よりも多くないとしても、その影響力は小さくない」と語りました。
また、
「議会選挙、さらには専門家会議の選挙で、女性が登録すべきであり、
これは我々にとって世界的な重要性を有している。この選挙により、
言動において国の運営において主な決定を下すのは人々と選挙での投票だと表明する」と述べました。
さらに、「革命後、イランは宗教的民主体制を実現した最初の国だった」と語りました。
イランの議会制度は、議会での決定が国民の将来に直接影響するようなシステムとなっています。
経済、政治、文化、社会など、様々な分野での議会の措置により、
実際、政府とイスラム共和制の計画と方針が決定されます。
憲法によれば、イラン国会はイスラム共和制において、法案を可決し、成立させるほか、
国の行政機関の監視や閣僚の信任など幅広い権限を有しています。
政情や外交分野の問題における国会の役割もまた、
政府の後ろ盾と体制の力のひとつと見なされています。
国民の代表である議員の権限と義務により、国会は独立した権限を有する権力機関になっています。
イラン国会はこれまで、様々な思想、様々な政治的経歴をもつ議員の存在により、
浮き沈みを経ながらも、概して発展の道を歩んできました。
このためこの選挙は今も登録が行われている最中ですが、
イランの選挙の空気が国内外のメディアの注目を集めています。
これに関して、選挙の健全性の強調、資格の検討、
議会と専門家会議の構成の変更の可能性などの問題に焦点が当てられています。
http://japanese.irib.ir/news/%E6%9C%AC%E6%9
7%A5%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF/item/60853
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イランの最高指導者は国政において最高決定権を有しており、
また戦争において最高司令官の役目も負うため、独裁者というイメージが流布しているが、
実際には普通直接選挙で選ばれた専門家会議のメンバーによて選出され、監察を受ける。
また、この専門家会議の議員も8年ごとに入れ替わるため、
国民が選んだ宗教権威者が最高指導者を監督するシステムになっている。
また、これとは別に通常の内政・外交は議会(マジュレス)が担当し、
こちらは4年ごとに290人の議員が直接選挙で選ばれる。女性議員の比率は少ない。
ただし、それがイラン女性の差別に繋がっているかと言えば、それは誤りだ。
イランでは、次官級の官職や各省庁の報道官、大学教授、医師、
航空機のパイロットなどの高所得者の職に女性が多く就いており、
例えば、イランでは一般医の49%、専門医の40%、高度技能専門医の30%を女性が占めている。
また、近年、イランでも女性運動が盛んになっているが、
それはイラン社会における女性の進出が背景として存在する。
以上、ざっと見てきたが、シリア・北朝鮮と共に人権侵害国家と言われるイランだが、
その政治制度は宗教国家の割には意外なまでに民主的で、少なくともサウジよりはマシだ。
(サウジでは女性参政権がつい先日、認められた。また王族の権力が異常なほどに高い)
イランにも至らない点は山ほどあるわけだが、それは過激な亡命イラン人が要求する
現イランの政治体制あるいはイランという国家そのものの消滅なしでも改善できると思われる。
シリアもしかり、中国もしかり、どうも欧米ならびに日本の左翼の多くは
民主化を盛んに語る割には、異常なまでに選挙制度というシステムを軽視しており、
代わりに一部の「民主派」による公道や施設の占拠、暴動を礼賛したがる傾向がある。
今月の岩波新書でも、香港の雨傘革命を、実際には参加者の比率は低く、
現地住民には経済を麻痺させるものとして不評を買っていたのにも関わらず、
「日本も見習うべきではないだろうか」と絶賛されていて大いに驚いてしまった。
あくまでも彼らは数の上では少数派であり、皮肉なことに自国の民主化を叫ぶ彼ら自身が、
選挙制度という民主システムを平然と無視し蔑ろにしていることについてもう少し検討すべきだろう。
この点は、最近やたらと持て囃されているSEALDsにも言えることだ。
安保法案に反対しているからというだけでベタ誉めされているようにも感じる。
少なくとも、彼らの主張をホームページ等で確認しているようには見えない。
この手の直接行動主義の問題点についても色々書きたいところだが、それは後日改めたいと思う。