①アベノミクスで劇的に雇用は増えなかった。
(有効求人倍率・失業率の伸び数、減少値は実施前後で変化なし)
②褒めるべき点といえば、倍率の上昇傾向をストップさせなかったことぐらいだ。
以上2点を、確認することが出来た。
今回は、労働の量ではなく、労働の質について考えていこうと思う。
思えば、○をはじめとするリフレ派、アベノミクスのおかげで
雇用が増えたぞヤッホーイ派は、雇用の質を度外視あるいは軽視する傾向がある。
労働政策というのは、量よりも質を追求すべきで、
賃金や労働時間、福利厚生を含めた質を高めるのを目標とすべきだと思う。
ここは社会学と経済学の差なのかもしれない。
社会学は労働実態、つまり、生の人間に接して情報を得るが、
数字で見ている人たちには伝わらない……かといえば、○とは違って、
反リフレ派の先生方も大勢いらっしゃるので、本当のところ、よくわからない。
(どうなんすかね)
さて、経済学者の関根秀明氏によると、
2002年から2011年にかけて非正規雇用の伸び率は
一貫して上昇、正規雇用は減少の傾向を辿っている。
それに併せるように平均給与も年々減ってきている。
冒頭のグラフで表示したように、
アベノミクスによって、正社員数が減る一方で、非正規社員が増えているが、
これは長年の雇用傾向に歯止めをかけることが出来なかったことを意味している。
そういう意味では、アベノミクスのせいで非正規が増えたわけではない。
この辺はハッキリと認識すべきだろう。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046231.html)
若年者よりも壮年(35~45)以上が増えていることに気づく。
○をはじめ、一番苦労しているのは若者なんじゃと強調する人間がいるが、
家族を養うこと、特に養育を考えれば、この世代のほうが深刻だ。
それは不本意非正規労働者の割合からも言える。
(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0164.html)
これは2012年の話だが、
正規労働者になれず、やむを得ず非正規になった人間の割合は、
なんと壮年の男子労働者で4割に達している。
女性の非正規労働者で、未婚の壮年の場合、貧困率は50%にまで達している。
彼女らの多くは恐らく親と同居していると思われるが、
だからといって現状維持でいいという話でもなかろう。
彼らは初めから非正規労働者だったわけでない。
報告書によると、会社都合、長時間労働・業務上疾病、
理不尽な労働条件による退職がきっかけとなっている場合が多いとなっている。
つまり、労働の質が原因で正規から非正規へと降下した人間がいるということだ。
私が再三、労働の質を強調するのは、そのためだ。
非正規職が増えたことをもって雇用の増加を否定的にみるのは
けしからんと言う声もあるが、そんなものは、この現実の前でふきとんでしまう。
先述したように、非正規職の増加はアベノミクスの恩恵ではなく、
2002年から10年以上続く傾向に反映されたものであり、
その労働条件を踏まえれば、無職よりはマシだという意見が
いかに壮年非正規労働者を無視したものであるかがわかるだろう。
これが私が○に対して抱いた不信感の正体の1つでもある。
つまり、金融緩和のおかげで雇用が増えたことを正当化するために、
壮年の事情をガン無視し、比較的キャリアアップしやすい若者に
焦点を当てる。冷静に考えれば救うべき人間に年齢の差など無い。
そこでは「本来は正規のほうが良いが」といった申し訳程度のコメントを添えて、
ただ只管雇用者数が増えたことだけに焦点を当てる。それでいいのだろうか?
おまけに、この種の批判を○をはじめとする連中は、
「それは持てる者の言葉だ」と傲慢じみたものであると断定し、聞く耳を持たない。
不本意非正規労働者の前で同じ言葉を言ってみろと言いたくなる。
また、本意で就いている人もいるでしょう?と言う人間もいるが、
それはそれでかまわない意見だが、間違っても左翼だと名乗っては欲しくない。
アベノミクスがあろうとなかろうと、非正規雇用者は増えている。
しかも、壮年者は2002年~2012年で100万人も増えた。
この傾向をどうにかして食い止めなければなるまい。
失業よりは良いジャーんという問題ではないのである。
ところで、労働の質ということを考えると、介護職の労働条件は本当に深刻で、
求人率は高いのに低賃金でハードワークということで、なかなか人が足りていない。
(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0168.html)
某は建設業より福祉や介護に投資せよ(=雇用を増やせ)と安易に言っているが、
雇用を増やすには、労働需要を増やすだけでなく供給側の希望に沿わなければならない。
つまり、労働の質の向上が希求されるのだが、
この点、某らは、よほど暢気に構えているのか、これといった声を聞かない。
結局のところ、量が増えればそれでよし、金を注げば量が増えると
安易に考えてはいないか?と感じる。それが通じる産業と通じない産業がある。
介護は通じない産業であり、より抜本的な改革が求められるだろう。
以上、労働の質ということについて考えたが、最後に労働賃金について触れてみたい。
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1日発表された3月の政府統計で、物価上昇を加味した
賃金水準を示す実質賃金指数が23カ月続けて前年割れとなりました。
家計の消費支出は過去最大の落ち込みでした。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による物価高に
賃金の上昇が追いつかず、消費税増税が家計に打撃を与えています。
厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報)によると、
実質賃金指数は前年同月比2・6%低下しました。
基本賃金と残業代、ボーナスなどを合計した「現金給与総額」(名目)は
0・1%増の27万4924円、基本賃金にあたる「所定内給与」は
0・3%増の23万9790円でした。
また、総務省の家計調査によると、
1世帯(2人以上)当たりの消費支出は31万7579円。
実質で前年同月比10・6%減少しました。
比較可能な2001年1月以降、最大の下落幅でした。
減少は12カ月連続。
昨年3月が消費税増税前の駆け込み需要のピークだった反動で、
幅広い品目で支出が落ち込みました。大きかったのは家具・家事用品
39・6%減、自動車を含む交通・通信16・1%減、
住居16・0%減、被服・履物14・9%減など。食料も5・7%減りました。
勤労者世帯の実収入は44万9243円。
名目2・5%増加しましたが、実質で0・3%減。
物価上昇で実収入が目減りしています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-02/2015050201_02_1.html
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実質賃金の低下を非正規雇用の増加が原因と述べる輩もいるが、
上のように、名目賃金自体は増えているのである。
名目賃金の上昇を超えた物価上昇が実質賃金の低下の原因だ。
このことは深く認識しなければなるまい。
○hihan
(有効求人倍率・失業率の伸び数、減少値は実施前後で変化なし)
②褒めるべき点といえば、倍率の上昇傾向をストップさせなかったことぐらいだ。
以上2点を、確認することが出来た。
今回は、労働の量ではなく、労働の質について考えていこうと思う。
思えば、○をはじめとするリフレ派、アベノミクスのおかげで
雇用が増えたぞヤッホーイ派は、雇用の質を度外視あるいは軽視する傾向がある。
労働政策というのは、量よりも質を追求すべきで、
賃金や労働時間、福利厚生を含めた質を高めるのを目標とすべきだと思う。
ここは社会学と経済学の差なのかもしれない。
社会学は労働実態、つまり、生の人間に接して情報を得るが、
数字で見ている人たちには伝わらない……かといえば、○とは違って、
反リフレ派の先生方も大勢いらっしゃるので、本当のところ、よくわからない。
(どうなんすかね)
さて、経済学者の関根秀明氏によると、
2002年から2011年にかけて非正規雇用の伸び率は
一貫して上昇、正規雇用は減少の傾向を辿っている。
それに併せるように平均給与も年々減ってきている。
冒頭のグラフで表示したように、
アベノミクスによって、正社員数が減る一方で、非正規社員が増えているが、
これは長年の雇用傾向に歯止めをかけることが出来なかったことを意味している。
そういう意味では、アベノミクスのせいで非正規が増えたわけではない。
この辺はハッキリと認識すべきだろう。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046231.html)
若年者よりも壮年(35~45)以上が増えていることに気づく。
○をはじめ、一番苦労しているのは若者なんじゃと強調する人間がいるが、
家族を養うこと、特に養育を考えれば、この世代のほうが深刻だ。
それは不本意非正規労働者の割合からも言える。
(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0164.html)
これは2012年の話だが、
正規労働者になれず、やむを得ず非正規になった人間の割合は、
なんと壮年の男子労働者で4割に達している。
女性の非正規労働者で、未婚の壮年の場合、貧困率は50%にまで達している。
彼女らの多くは恐らく親と同居していると思われるが、
だからといって現状維持でいいという話でもなかろう。
彼らは初めから非正規労働者だったわけでない。
報告書によると、会社都合、長時間労働・業務上疾病、
理不尽な労働条件による退職がきっかけとなっている場合が多いとなっている。
つまり、労働の質が原因で正規から非正規へと降下した人間がいるということだ。
私が再三、労働の質を強調するのは、そのためだ。
非正規職が増えたことをもって雇用の増加を否定的にみるのは
けしからんと言う声もあるが、そんなものは、この現実の前でふきとんでしまう。
先述したように、非正規職の増加はアベノミクスの恩恵ではなく、
2002年から10年以上続く傾向に反映されたものであり、
その労働条件を踏まえれば、無職よりはマシだという意見が
いかに壮年非正規労働者を無視したものであるかがわかるだろう。
これが私が○に対して抱いた不信感の正体の1つでもある。
つまり、金融緩和のおかげで雇用が増えたことを正当化するために、
壮年の事情をガン無視し、比較的キャリアアップしやすい若者に
焦点を当てる。冷静に考えれば救うべき人間に年齢の差など無い。
そこでは「本来は正規のほうが良いが」といった申し訳程度のコメントを添えて、
ただ只管雇用者数が増えたことだけに焦点を当てる。それでいいのだろうか?
おまけに、この種の批判を○をはじめとする連中は、
「それは持てる者の言葉だ」と傲慢じみたものであると断定し、聞く耳を持たない。
不本意非正規労働者の前で同じ言葉を言ってみろと言いたくなる。
また、本意で就いている人もいるでしょう?と言う人間もいるが、
それはそれでかまわない意見だが、間違っても左翼だと名乗っては欲しくない。
アベノミクスがあろうとなかろうと、非正規雇用者は増えている。
しかも、壮年者は2002年~2012年で100万人も増えた。
この傾向をどうにかして食い止めなければなるまい。
失業よりは良いジャーんという問題ではないのである。
ところで、労働の質ということを考えると、介護職の労働条件は本当に深刻で、
求人率は高いのに低賃金でハードワークということで、なかなか人が足りていない。
(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0168.html)
某は建設業より福祉や介護に投資せよ(=雇用を増やせ)と安易に言っているが、
雇用を増やすには、労働需要を増やすだけでなく供給側の希望に沿わなければならない。
つまり、労働の質の向上が希求されるのだが、
この点、某らは、よほど暢気に構えているのか、これといった声を聞かない。
結局のところ、量が増えればそれでよし、金を注げば量が増えると
安易に考えてはいないか?と感じる。それが通じる産業と通じない産業がある。
介護は通じない産業であり、より抜本的な改革が求められるだろう。
以上、労働の質ということについて考えたが、最後に労働賃金について触れてみたい。
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1日発表された3月の政府統計で、物価上昇を加味した
賃金水準を示す実質賃金指数が23カ月続けて前年割れとなりました。
家計の消費支出は過去最大の落ち込みでした。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による物価高に
賃金の上昇が追いつかず、消費税増税が家計に打撃を与えています。
厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報)によると、
実質賃金指数は前年同月比2・6%低下しました。
基本賃金と残業代、ボーナスなどを合計した「現金給与総額」(名目)は
0・1%増の27万4924円、基本賃金にあたる「所定内給与」は
0・3%増の23万9790円でした。
また、総務省の家計調査によると、
1世帯(2人以上)当たりの消費支出は31万7579円。
実質で前年同月比10・6%減少しました。
比較可能な2001年1月以降、最大の下落幅でした。
減少は12カ月連続。
昨年3月が消費税増税前の駆け込み需要のピークだった反動で、
幅広い品目で支出が落ち込みました。大きかったのは家具・家事用品
39・6%減、自動車を含む交通・通信16・1%減、
住居16・0%減、被服・履物14・9%減など。食料も5・7%減りました。
勤労者世帯の実収入は44万9243円。
名目2・5%増加しましたが、実質で0・3%減。
物価上昇で実収入が目減りしています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-02/2015050201_02_1.html
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実質賃金の低下を非正規雇用の増加が原因と述べる輩もいるが、
上のように、名目賃金自体は増えているのである。
名目賃金の上昇を超えた物価上昇が実質賃金の低下の原因だ。
このことは深く認識しなければなるまい。
○hihan