時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

古市憲寿氏、安倍晋三主導の歴史改竄プロジェクトのメンバーに

2016-01-06 23:50:47 | 読書
当サイトで以前から批判していた古市氏が、
とうとう安倍晋三が直々に設立した歴史改竄運動団体のメンバーに抜擢された。

御年31歳、そろそろ「若者」の看板で商売するのも苦しいのではないかと心配していた
筆者としては、彼にふさわしい働き口が見つかり、非常に安堵した次第である。


-----------------------------------------------------------------------
先日も本サイトで取り上げたが、
この「歴史を学び未来を考える本部」は安倍首相が肝いりでつくらせた総裁直属の組織。

しかも、実質的な仕切り役はあの稲田朋美政調会長だ。稲田は弁護士時代、
戦時中の南京大虐殺で「百人斬り」で処刑された元少尉2人の名誉毀損訴訟を担当。

初当選翌年の06年に議員連盟「伝統と創造の会」 を結成すると、みずから会長に就任する。
野党時代のいまから5年前には、竹島に近い韓国領の「鬱陵島」を視察しようとして入国拒否された。
安倍の肝いりで閣僚に就任したのちも、毎年靖国参拝を欠かさない。

そんな人物が本部長代理として仕切っているのだから、この組織が狙っているものは明らかだ。
事実、「歴史を学び未来を考える本部」発足に先立つ11月28日、安倍首相は
「憲法改正をはじめ占領時代につくられた仕組みを変えることが(自民党)立党の原点だ」
との演説をぶち、同本部長である谷垣禎一幹事長は、先の大戦後のGHQによる占領政策や
現行憲法の制定過程、慰安婦問題や南京事件を検証するという方針を明かした。

しかし、だとしたら不可解なのは、偏向した議論がおこなわれるのが
明らかなこんな会のなかに、古市のような若手学者が入っている理由、だろう。
古市は前述のように、無自覚な差別意識がだだ漏れすることはあっても、
頭の悪い歴史修正主義に与するという印象はなかったはずだが……。

http://lite-ra.com/2016/01/post-1867.html
---------------------------------------------------------------

ハーフ差別で炎上の社会学者・古市憲寿が自民党の「歴史修正主義」運動に参加!
背後に稲田朋美との近すぎる関係


詳細は、ライターの小杉みすず氏が書いた記事を読んで頂くとして、私としては、
むしろ「なぜ古市が抜擢されたことにそこまで驚くのか」という点のほうが気になる。

古市氏は研究者という肩書きを使っているが、正確には大学院生であり、
しかも博士課程においては、これといった論文を執筆してもいない。

要するに学者と呼ぶには片腹痛い実績の持ち主なのだが、
修士論文が高く評価されたことをきっかけに田原総一朗の「朝まで生テレビ!」に出演、
そこからテレビのコメンテーターや雑誌のコラム執筆などに勤しむことになる。

田原総一朗本人は、やしきたかじんの捏造ノンフィクションで顰蹙を買った
極右作家の百田尚樹と仲良く対談本を出したり、山野車輪や小林よしのりなどの
ネット以前の言わば「元祖・ネトウヨ」をテレビに呼び活躍の機会を与えてきた人物。

そして、古市氏がコラムを執筆する雑誌は保守系雑誌の『新潮45』、
そもそも新潮社自体が保守系の出版社で、古市も著者の一人になっている新潮社新書からは
藤原正彦の『国家の品格』や百田の『大方言』、室谷克実の『日韓がタブーにする半島の歴史』
など、数々のトンデモ本が生まれており、これらを見れば、古市が右翼だと思われても
左翼あるいは中道と思われる要素など、ひとかけらもないことは誰でもわかることである。

実際、古市氏本人も右翼よりのスタンスであることを述べているし、
『文芸春秋』に収められた対談では百田の『永遠のゼロ』を絶賛している。

唯一の功績である論文にしたところで、皇族が直々に設立したという
極めて政治色の強い賞を受賞しているわけで、その内容は権力者に煙たがれるようなものではない。

むしろ、「格差社会でも若者はそれなりに幸せを享受できる」という主張は、
「格差社会で若者の幸せが失われつつある」という左翼の主張に対するカウンターとして
このうえなく効くものであり、筆者は彼のことを知った当初から、その問題性を気にしていた。


とはいえ、書き手が固定化・高齢化し、若手の人材に不足している保守系論壇において
彼は佐藤優以来の期待のニュー・フェイスだったのかな程度の認識で、それ以上でもなかったが。

むしろ、古市本人がどう生きようと本人の勝手なわけで、私としては、
古市よりも彼を持ち上げる左翼連中のほうに危機感を抱いていた。

上野千鶴子とか加藤典洋とか。

あまり言いたくはないが、古市が台頭できたのも、彼を応援する後ろ盾があってこそであり、
対談本を出したり、推薦文を書いたり、何かと面倒を見てきた上野らのほうが問題があると思う。

特に上野は岩波系文化人の一人でフェミニズム研究の権威にして、
つい最近も右翼とつるんでパク・ユハのトンデモ本を擁護・絶賛する愚行に走った人物で、
ある意味、こういう人物だからこそということもあるが、彼女が教え子でもある古市に対して
「お前のような右翼とは絶交だ!」とするどころか彼の宣伝役の一人になったことは、
こういう人物がもてはやされる現在の左派系論壇やフェミ界のヤバさを如実に示してはいないか?


もちろん、上野も加藤も保守を自称し活動しているのならば、私もそこまで気にしないが、
彼らは一応、左翼のつもりで評論を書くなり運動に参加するなりしているわけで、
しかも「仰るとおり、あなたたちは左翼でございます!」と左翼連中が認めているわけだ。

「一部の」とは信じたいが、私が個人的に知る左翼の方々も、なぜか古市を自分たちの
味方であるかのように評価しているわけで、「おいおい大丈夫か?」と不安に思ったものである。


高市早苗氏や稲田朋美氏、ネオナチ団体代表とのツーショット写真で波紋


今回の安倍が立ち上げ、稲田が実質的にとりまとめる歴史改竄プロジェクトに
稲田とのコネクションで古市が抜擢されたのは、当然かつ必然の結果である。


繰り返すが、私は古市氏本人がどのように活動しようと本人の自由であり、
そのことを「やめろ」という権利は誰にもないと思う。思う存分働いて欲しい。

むしろ、私が「いい加減にしろ」と怒りたいのは、
かような以前から大変、保守的な思想と活動をしていた人物を高評価し、
彼に評論家としての活動の機会を与えた左派系知識人の無思慮さと無責任さである。


改憲や歴史改竄を望む右翼がそれをやるならわかるが、仮にも
反戦やジェンダー平等、日本の戦争責任を追及する立場の人間がやるかという話である。

とはいえ、上野も元々、左翼でありながら吉見義彦氏などの慰安婦研究者と対立し、
過去にはあの宮台真司とつるんで売春を肯定しようとしていたし、
加藤も既存の右翼からも左翼からも批判される戦争責任論を展開したりしていた。

そういう意味では「右でもなく左でもなく」といいながら、
限りなく保守的な方向へ動こうとする最近の左翼の元祖とも言うべき方々で、
私がここまで目くじらを立てるのも過剰な反応なのかもしれない。


最後に、加藤典洋と個人的に仲の良い人物の中に、
最近、SEALDsのパトロンとして有名になっている高橋源一郎氏がいるが、
彼はイスラム差別につながると多くのムスリムに非難されている
ミシェル・ウェルベックの『服従』を絶賛していたりする人物
で、
先のパク・ユハの『帝国の慰安婦』にも擁護する立場を取っており
こういう人間が主張する民主主義や平和っていったい何なのかなと思わざるを得ない。

最近の左翼運動を見て思うのは
あまりにもカーニヴァル化、ビジネス化しており、
運動内容の検討が疎かになってはいないかということである。


本来なら高橋など「お前などあっちに行け」とそっぽをむかれそうな人物だ。
それが「平和の使者、高橋!よっ!」と騒がれているわけで、
逆を言えば、彼らの平和運動というのは思想的に底が浅いのではと不安になるのである。

歴史的に見ると、イデオロギーが甘い左翼志向の人物は高確率で保守化する。
いわゆる転向というヤツである。去年の反戦運動は、それなりに意義があったはずだが、
長期的に見れば、どう見ても失敗しているわけで、もう少し反省というか見直しが必要なはずだ。

それを彼らが自分からできるかという話だが、
正直、それは無理ではないかと思うし、実際に今のところ、そのような兆候は見られない。

そういう意味では古市憲寿氏の「予想外」(笑)の転向よりも、
彼をアイドル化させた平和主義者のほうに大きな問題があると私は思うのである。


最新の画像もっと見る