防衛省は十八日、安全保障関連法案の成立を前提に、
自衛隊が新たな部隊運用について資料を作成していたことを認め、
同法案に関する参院特別委員会の理事懇談会に資料を提出した。
南シナ海での警戒監視活動への関与を検討するとしたほか、
南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たっている自衛隊の業務に、
離れた場所で襲撃された他国部隊などを
武器を使って助ける「駆け付け警護」を追加する可能性に言及している。
資料は共産党が独自に入手し、十一日の特別委で事実確認を求めていた。
防衛省は十八日の理事懇で、陸海空自衛隊を統合運用する統合幕僚監部(統幕)が、
法案の内容を部隊に理解させるために作成したと説明。
「成立を先取りしたものではない」と強調した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015081902000132.html
問題の文書は、ここから閲覧&ダウンロードが可能。
あわせて古い記事だが、スーダン・エジプト近現代史先行の栗田貞子氏の意見も載せる。
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南スーダンの主権を脅かす自衛隊の派遣
日本はこのような状況の南スーダンに自衛隊派遣を決定しましたが、
この問題はどのようにとらえるべきなのでしょうか。
政府は自衛隊が活動する地域は安全だから問題ない、といった説明を繰り返していますが、
実際には南北間の停戦が破綻し戦闘状態が再燃している状況にある中で、
日本はその一方の国に軍隊を派遣しているのです。
日本が国連平和維持活動(PKO)に参加を決定したときのいわゆる「PKO5原則」
(1. 停戦合意の成立 2. 紛争当事国によるPKO実施と日本の参加への合意
3. 中立的立場の厳守 4. 基本方針が満たされない場合は撤収できる
5. 武器の使用は命の防護のための必要最小限に限る)は完全に崩壊しています。
自衛隊の海外派遣はそもそも日本国憲法第9条に抵触するといえますが、
今回自衛隊が参加している国連南スーダン・ミッション
(UNMISS; United Nations Mission in the Republic of South Sudan)の性格自体にも、
新生国家の国づくりに「国際社会」が全面的に関与し、
また、それをPKOというすぐれて軍事的な形で、
諸外国の「軍隊」が中心になって押し進めようとしている、
という問題性が指摘できると思います。
一国の道路・橋梁建設などを外国の軍隊に任せるということは、
本来、安全保障の観点からすると問題があるはずなのですが、
それを受け入れてしまっている南スーダン政府の側にも
主権意識の鈍化という問題があるのかもしれません。
われわれ日本の市民としては、「自衛隊の派遣先が安全かどうか」ということよりも、
軍隊を送ることで南スーダンの主権を脅かしている可能性があるのではないかという視点から、
自衛隊派遣の問題を捉え返す必要があります。
また、米国は米国アフリカ軍(アフリカ総合司令部)
と南スーダンとの軍事的協力関係を強化しています。
冷戦後のアメリカの世界戦略の再編の過程で生まれた米国アフリカ軍は、
2011年夏にはリビアを空爆してNATOによるリビアへの軍事干渉、
カッザーフィー(Mu 'mmar al-Qadhdhafi)政権打倒の先鞭をつけた軍隊です。
また、米国はウガンダのキリスト原理主義武装集団、
神の抵抗軍(LRA; Lord's Resistance Army)が南スーダンでも
破壊活動を行っているという理由で、ウガンダや南スーダンに特殊部隊を派遣しています。
この地域における米国アフリカ軍の軍事的プレゼンスはしだいに拡大しています。
長期的にみると、南スーダンの日本の自衛隊も米国アフリカ軍や、
ソマリア沖の「海賊対策」を口実に派遣されている自衛隊とも連動し、
東アフリカにおける先進国の軍事的プレゼンスを高める流れに寄与していくことも考えられます。
先進国の東アフリカに対する新植民地主義的な進出に日本も加わり、
一役を担うという動きが強まっているといえるのではないでしょうか。
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/africa-now/no96/top2.html
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そもそも、南スーダン自体、アメリカの後押しで建国された国だ。
アメリカの支援で建国→内戦→PKO派遣という一連の流れは、
東ヨーロッパ、中央アジアのカラー革命のそれと何ら変わらない。
前々からバレバレではあったが、
積極的平和主義=アメリカやNATOの軍事支援・協力であることは間違いないだろう。
「ISという巨大な嘘」
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/ed621cf2826e27938d7c7d7c7e4bbcb7/a4
防衛費の増額を早速、自民党が求めているが、上の藤永茂氏の記事とあわせて読めば、
それは現地人のためではなく、アメリカの利益を保護するための手駒になることを意味する。
ロシア戦略研究所・所長顧問のエレーナ・スポニナ氏のコメントを紹介する。
「初めに指摘したいのは、
IS対策に関する国際社会の取り組みに加わるのは正しい決定だということだ。
しかも日本国民はすでにISのテロリストたちの手で苦しめられている。
一方でこのような割合の増額は、IS対策費としては恐らく不十分だろう。
加えて私は、これらの資金の全てがしかるべき形で使用されないのではないかと危惧している。
残念ながら米国はずいぶん前から
シリアにおけるテロリストとの戦いに加わるよう日本を説得している。
それは非常に奇妙なもので、まずシリア政府ならびに
シリアのアサド大統領と戦っているシリア反政府勢力を支援するというものだ。
それはシリア反政府勢力の訓練というもので、そこには戦闘訓練も含まれる。
もし日本の資金がこのために使われたとしたら残念の一言だ。
なぜならシリア領内で戦闘員たちが
どの勢力に所属しているのかを確認する手段は全くないからだ。
今日は穏健派に所属しているかもしれないが、
明日あるいは明後日には様々な理由でISを含む最も過激なグループに入るかもしれない。
そのため日本は諜報活動のために資金を使ったほうがいいだろう。
そこには日本国民や中東出身者との交流がある人々の間などにおける
日本国内での諜報活動や、例えば爆発物の検出や電子戦、盗聴、
サイバー戦争などのための日本の情報機関の技術的な装備の改善も含まれる。
しかし繰り替えすが、日本にとっては現在米国が行っている
シリア反政府勢力の強化に関する取り組みに加わらないほうが良いはずだ。
なぜならシリア反政府勢力の勝利は、中東の混乱状態を強めるだけであり、
したがってテロの脅威も高まるからだ」。
続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20150819/770819.html#ixzz3jHOHoLlt
ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』という本があるが、
独立まもない内戦状態の国に土足で入り込んで一方の味方をするというのは、
シベリア出兵を思い出させる。
内戦状態の国に「平和のため」といいつつ、軍事的政治的経済的後ろ盾となり
自国に有利な側を支持し、友好関係を結ぶ。典型的な植民地主義だ。
この件については、後日、他の記事の紹介も兼ね、詳細に検討していきたい。
自衛隊が新たな部隊運用について資料を作成していたことを認め、
同法案に関する参院特別委員会の理事懇談会に資料を提出した。
南シナ海での警戒監視活動への関与を検討するとしたほか、
南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たっている自衛隊の業務に、
離れた場所で襲撃された他国部隊などを
武器を使って助ける「駆け付け警護」を追加する可能性に言及している。
資料は共産党が独自に入手し、十一日の特別委で事実確認を求めていた。
防衛省は十八日の理事懇で、陸海空自衛隊を統合運用する統合幕僚監部(統幕)が、
法案の内容を部隊に理解させるために作成したと説明。
「成立を先取りしたものではない」と強調した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015081902000132.html
問題の文書は、ここから閲覧&ダウンロードが可能。
あわせて古い記事だが、スーダン・エジプト近現代史先行の栗田貞子氏の意見も載せる。
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南スーダンの主権を脅かす自衛隊の派遣
日本はこのような状況の南スーダンに自衛隊派遣を決定しましたが、
この問題はどのようにとらえるべきなのでしょうか。
政府は自衛隊が活動する地域は安全だから問題ない、といった説明を繰り返していますが、
実際には南北間の停戦が破綻し戦闘状態が再燃している状況にある中で、
日本はその一方の国に軍隊を派遣しているのです。
日本が国連平和維持活動(PKO)に参加を決定したときのいわゆる「PKO5原則」
(1. 停戦合意の成立 2. 紛争当事国によるPKO実施と日本の参加への合意
3. 中立的立場の厳守 4. 基本方針が満たされない場合は撤収できる
5. 武器の使用は命の防護のための必要最小限に限る)は完全に崩壊しています。
自衛隊の海外派遣はそもそも日本国憲法第9条に抵触するといえますが、
今回自衛隊が参加している国連南スーダン・ミッション
(UNMISS; United Nations Mission in the Republic of South Sudan)の性格自体にも、
新生国家の国づくりに「国際社会」が全面的に関与し、
また、それをPKOというすぐれて軍事的な形で、
諸外国の「軍隊」が中心になって押し進めようとしている、
という問題性が指摘できると思います。
一国の道路・橋梁建設などを外国の軍隊に任せるということは、
本来、安全保障の観点からすると問題があるはずなのですが、
それを受け入れてしまっている南スーダン政府の側にも
主権意識の鈍化という問題があるのかもしれません。
われわれ日本の市民としては、「自衛隊の派遣先が安全かどうか」ということよりも、
軍隊を送ることで南スーダンの主権を脅かしている可能性があるのではないかという視点から、
自衛隊派遣の問題を捉え返す必要があります。
また、米国は米国アフリカ軍(アフリカ総合司令部)
と南スーダンとの軍事的協力関係を強化しています。
冷戦後のアメリカの世界戦略の再編の過程で生まれた米国アフリカ軍は、
2011年夏にはリビアを空爆してNATOによるリビアへの軍事干渉、
カッザーフィー(Mu 'mmar al-Qadhdhafi)政権打倒の先鞭をつけた軍隊です。
また、米国はウガンダのキリスト原理主義武装集団、
神の抵抗軍(LRA; Lord's Resistance Army)が南スーダンでも
破壊活動を行っているという理由で、ウガンダや南スーダンに特殊部隊を派遣しています。
この地域における米国アフリカ軍の軍事的プレゼンスはしだいに拡大しています。
長期的にみると、南スーダンの日本の自衛隊も米国アフリカ軍や、
ソマリア沖の「海賊対策」を口実に派遣されている自衛隊とも連動し、
東アフリカにおける先進国の軍事的プレゼンスを高める流れに寄与していくことも考えられます。
先進国の東アフリカに対する新植民地主義的な進出に日本も加わり、
一役を担うという動きが強まっているといえるのではないでしょうか。
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/africa-now/no96/top2.html
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そもそも、南スーダン自体、アメリカの後押しで建国された国だ。
アメリカの支援で建国→内戦→PKO派遣という一連の流れは、
東ヨーロッパ、中央アジアのカラー革命のそれと何ら変わらない。
前々からバレバレではあったが、
積極的平和主義=アメリカやNATOの軍事支援・協力であることは間違いないだろう。
「ISという巨大な嘘」
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/ed621cf2826e27938d7c7d7c7e4bbcb7/a4
防衛費の増額を早速、自民党が求めているが、上の藤永茂氏の記事とあわせて読めば、
それは現地人のためではなく、アメリカの利益を保護するための手駒になることを意味する。
ロシア戦略研究所・所長顧問のエレーナ・スポニナ氏のコメントを紹介する。
「初めに指摘したいのは、
IS対策に関する国際社会の取り組みに加わるのは正しい決定だということだ。
しかも日本国民はすでにISのテロリストたちの手で苦しめられている。
一方でこのような割合の増額は、IS対策費としては恐らく不十分だろう。
加えて私は、これらの資金の全てがしかるべき形で使用されないのではないかと危惧している。
残念ながら米国はずいぶん前から
シリアにおけるテロリストとの戦いに加わるよう日本を説得している。
それは非常に奇妙なもので、まずシリア政府ならびに
シリアのアサド大統領と戦っているシリア反政府勢力を支援するというものだ。
それはシリア反政府勢力の訓練というもので、そこには戦闘訓練も含まれる。
もし日本の資金がこのために使われたとしたら残念の一言だ。
なぜならシリア領内で戦闘員たちが
どの勢力に所属しているのかを確認する手段は全くないからだ。
今日は穏健派に所属しているかもしれないが、
明日あるいは明後日には様々な理由でISを含む最も過激なグループに入るかもしれない。
そのため日本は諜報活動のために資金を使ったほうがいいだろう。
そこには日本国民や中東出身者との交流がある人々の間などにおける
日本国内での諜報活動や、例えば爆発物の検出や電子戦、盗聴、
サイバー戦争などのための日本の情報機関の技術的な装備の改善も含まれる。
しかし繰り替えすが、日本にとっては現在米国が行っている
シリア反政府勢力の強化に関する取り組みに加わらないほうが良いはずだ。
なぜならシリア反政府勢力の勝利は、中東の混乱状態を強めるだけであり、
したがってテロの脅威も高まるからだ」。
続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20150819/770819.html#ixzz3jHOHoLlt
ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』という本があるが、
独立まもない内戦状態の国に土足で入り込んで一方の味方をするというのは、
シベリア出兵を思い出させる。
内戦状態の国に「平和のため」といいつつ、軍事的政治的経済的後ろ盾となり
自国に有利な側を支持し、友好関係を結ぶ。典型的な植民地主義だ。
この件については、後日、他の記事の紹介も兼ね、詳細に検討していきたい。