時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

中国経済は本当に衰えているのか?

2015-10-22 21:52:33 | 中国(反共批判)
テレビや大手新聞、経済誌では中国経済の成長率低下を大きく取り上げている。

逆を言えば、それだけ中国経済に関心があるということだが、
冷戦終結以降からの中国崩壊論に乗っかってるだけにも見える。

実際、ほとんどのメディア6.9%に低下したことをもって「低迷」と結論付けているが、
今年3月に開いた国会で「本年の目標成長率は7%にする」と決めていたことには触れていない。

中国「今年のGDP成長率は7%前後にしよう」

中国「今年の成長率は6.9%になりそうだ」

日本の大部分一部メディア「中国の経済は低迷している!」


・・・・・・という有様で、これはちょっとファニーというか手を抜いてないか?と思う。

以前の記事で私はGDP成長率の低下は、ある程度計算済みのことと書いた。
今の中国は、GDPを増やすことよりも汚職や格差問題の解決に力を入れている。

つまり、GDP成長を犠牲にして国内の浄化に努めているだけで、
その意味では十分予測済みの事態だったわけである。

以前、中国の貧困について書いたが、激減したとはいえ、
中国には依然、7千万の貧困者が存在し、現状改善が希求されている。

習政権は2013~2018年までの期間を汚職撤廃・格差解消に重点を置くと発表している。
これを踏まえた上で改めて分析すると、どうなるのだろうか?

次の記事を読んでみよう。


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中国経済発展をけん引する「三頭立て馬車(輸出・投資・消費)」のうち、
2頭が振るわない状況のもと、消費だけが孤軍奮闘している。

~中略~

消費と同様、住民所得も大幅な増加が続いている。

今年第1-3四半期、全国の住民1人当たり可処分所得は16367元(約30万8千円)、
前年同期比実質7.7%増、ふたたびGDP成長率を上回った。

このうち都市部住民の一人当たり可処分所得は同6.8%、農民は同8.1%、それぞれ増加した

国家統計局の盛来運報道官は、
「昨年以降、住民一人当たり可処分所得の成長率はGDP成長率を上回る傾向にある。
 これは、中国政府が恵民政策に力を入れ、一連の所得増促進政策・措置
 着実に実施されていることと切り離しては考えられない。
 経済構造は着実に合理化されている」とコメントした。

中国国際経済交流センター研究部の王軍・副部長は、

これまで、中国経済の急成長は、環境破壊と自然資源の大規模開発という代償が伴うもので、
 一般庶民は決して、実質的な福利を得ることはなかった。

 今、経済成長が減速しているが、中国経済の質や収益性は改善されており、
 構造は合理化され、国民が大きな関心を抱いている大気の質や医療などの問題も、
 大幅な改善が得られた」とコメントした。

銀河証券首席エコノミストの左小蕾氏は、
「中国の国民一人当たりGDPは間もなく1万ドルの大台を突破し、
 GDP成長率は7%前後を維持、同時期の米国や日本をはるかに上回るであろう。

 また、従来のGDP至上主義の発展モデルや評価基準はすでに時代遅れであり、
 0.数パーセントの変動に一喜一憂することは、全くもってナンセンスだ
」と指摘した。

http://j.people.com.cn/n/2015/1021/c94476-8964661-2.html
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上の記事は、中国経済のプラスの部分だけを書いたわけではなく、
マイナスの部分もきちんと書いている良い記事だと思う。

(全文は以下のページに記載されている。
 http://j.people.com.cn/n/2015/1021/c94476-8964661.html)

現地の専門家はもちろんのこと、平井潤一氏をはじめとして
日本にも真面目に研究している人もいるのだが、
悲しいかな、彼らには自身の意見を日本大衆に公表する機会があまりない。


池上彰氏の中国経済崩壊論はもちろんのこと、
近藤大介氏の中国本(『日中再逆転』、中国経済「1100兆円破綻」の衝撃)、
加藤嘉一氏の中国論(『中国民主化研究』、ダイヤモンド連載のコラム記事)等々、
一見正しいようで、よく考えるとちょっとおかしい内容の本が主流になっている気がする。

少なくとも、私が書店でチェックする限りでは、
東洋経済やダイヤモンドなどの経済専門の出版社ですら、同様の有様だった。

特に東洋経済は、あの1993年から中国は滅びると予言している長谷川 慶太郎に
『中国崩壊前夜』とか『中国大減速の末路』といった本を書かせている。マジか。

悪化は良貨を駆逐すると言うが、それは真実だなと思う次第である。

今年の8月、中国の通貨「人民元」は、円を抜き世界第4位の決済通貨となった。
AIIBもしかり、依然、中国の経済的パワーは拡大する一途に見える。

中国経済が衰退したというよりはむしろ、
社会の公正や民衆の生活を重んじる路線へと変更したと見るべきだ。
(その背景には日本や欧米の右翼が面白そうに語る深刻な社会問題が存在する)


向こうのメディアに触れてみても、中国が抱える問題は山積みだが、
重要なのは、今の中国共産党がヤル気になっているという点である。

このような改革志向の姿勢は、昔ながらの談合でロゴマークだの競技場だの
無駄金と事件ばかり起こしている某腐敗政府とは真逆の態度であろう。

中国を叩くのは本当に簡単だし、叩くことで得られる経済的メリットはデカいわけだが、
現実を認識しないというのは、まるで目隠しをして走っているようなもので、
保守も革新も中国の変化に対して、きちんと対処して政策を打ち出すべきだ。


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