時事解説「ディストピア」

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池上彰、平壌に行く

2015-10-11 00:16:47 | マスコミ批判
たまたま見てしまった今日(10月10日)の池上彰氏の番組。
(といっても、最初の数分間でチャンネルを変えたが)


平壌の学校(幼稚園?)に取材した時の映像が流されていた。
あれだけいい加減な発言をしている池上氏に訪朝の経験があるとは意外。

とはいえ、そこは、わざわざガザ地区(パレスチナ)までいって
「役所に日本に感謝する紙が貼られてました」とレポートする池上彰だ。

現場に行った人間が正しい意見を持つとは限らないという命題を
彼ほどわかりやすく、かつ説得力のある映像をもって証明する人物もいまい。


問題の映像は、恐らく生物の授業の一環なのだろうが、
平壌の園児が他の児童になぞなぞをかけ、それを別の園児が答え、
正解したら全員で拍手して褒めあうというものだった。池上も園児からなぞなぞをかけられ、
フクロウの彫り物を選び、園児たちから拍手をもらっていた。

ここまでなら別にどうということはないが、
問題はこの後の池上の発言で、学校から去った後、
園児たちのいない所で「よく訓練されていますね」と述べたことだ。


その後の映像で、金正恩が各地を視察しに行くと、
現場の人間が金正恩のもとにかけより握手を求めるという映像が流れ、
彼らは幼少期から訓練を受けている」という説明がされていた。

この映像のタイトルは「北朝鮮は徹底した教育を行っている」とのことだが、
実際には「北朝鮮は徹底した洗脳を行っている」とでも言いたげな映像だった

むしろ私は、園児の前ではニコニコ顔で愛想を振りまいて遊んでいたのに、
いざ取材が終わると無表情で「訓練されてますね」と履き捨てるように語る
池上の二重人格的な面のほうが洗脳を受けているようで怖かったのだが(汗

あー、こいつは腹の中では、取材に応じてくれた平壌の学校や教師や生徒に対して
そういう気持ちで見ていたのだな、何か気味の悪いものを観るような感覚だったのだなと。

そういう負の感情を一切、表に出さずに、さも理解のある態度を見せるのは
詐欺師の専売特許だと思っていたが、どうも一流ジャーナリストにも当てはまるらしい。


現場でしか目に見えないものがあるということは確かにある。

先日の移民排斥、コソヴォ問題の記事を例に挙げれば、
スコット・タイラーという人物が『アメリカの正義の裏側』という本を書いている。

この本はNATOがセルビアを占領するために、現地の武装組織を秘密裏に支援したこと、
その武装組織がマケドニアでも活動を始めると、一転して危険組織とみなし攻撃したことを
暴露したもので、イスラム国に対するNATOの行いをみれば、現代的な意味のある本だと言える。

同書のように現場にいなければ書けないものは確実に存在するのだが、
初めからこき下ろすことを前提に訪れ、向こうの歓待を悪用し、
取材に応じてくれた人間を見世物のようにして視聴率稼ぎのために利用する
卑劣な行いをしていては、見えるものも見えないだろう。

こういう取材ばかりをしているのならば、
確かに池上が世界各国を取材しているにも関わらず、
バイアスのかかった的外れな解説ばかりするのは当然の帰結だと思う。


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