「えっ。お客さんが来ているのかい。」
お酒を飲んで赤くなっている佳奈はめんどくさそうな感じであった。
「佳奈ちゃん、彼女に挨拶した方が・・・。もっとも男の人みたいだと思うけど。」
キッチンの淡雪の声が佳奈には妙に五月蠅く聞こえる。
「初めまして。松本佳奈です。」
声の方向に佳奈は振り向きつつ、彰の方向をみた。
「男の人に見えるのも意外と不幸かもしれない。」
佳奈の言葉である。
其れを聞いていた淡雪と久留美は・・・。
「えっ。」
と口裏を合わせる吃驚していた。
「だってさぁ。あいつの指凄く細くて女性的だよ。私は指が太くて男みたいだって言われていてね。」
と、2人を睨んだ。
彰は苦笑しつつも。
「あ、あははは・・・。私を女性と見抜くとはね・・・。佳奈ちゃんだって・・・。
勘が鋭いね・・。でも佳奈ちゃんはでっかい胸をしている・・・。」
と答えた。
其れを聞いていた佳奈は。
「でかい胸だって?!私の一番気にしていることをいったな。」
お酒を飲んでいい気分になっていた佳奈が突如怒り出した。
其れを見ていて顔を覆う淡雪と久留美。
「言ってはいけないことを・・・。本当にデリカシーのない人だ。」
と呆れた表情で淡雪は彰を見た。
そういわれた彰はとまどう顔をした。
しかし、佳奈自身怒るわけではなかった。
「実は・・・。この大きな胸なんだけれども、小学校の高学年ぐらいから気にしていて・・・。
昔から勉強も出来なかったし、今の大学もまぐれで入ったような物だし・・。
胸に栄養が行き過ぎて頭がお花畑に・・・。」
その言葉を聞いていた久留美は淡雪に耳打をした。
「佳奈ちゃん、そんなに頭悪いのかな。家事とか家の中の壊れた道具とか器用に
熟すよね。頭の悪い人にそういうことが出来るかな・・・。」
と、困惑したことを言った。
「自分のシマの事を憎々しげに語ったりと、コンプレックスが大きい人だから、尚更
気持ちの悪い自分の体の特徴が気になるのかも・・。」
と淡雪は回答していた。
「そんなこと、コンプレックスにするなんて、おかしいよ。よっぽど女の子っぽくて
憧れるな。」
と熱り立ったのが彰だった。