ブルーシャムロック

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私がここに来た理由

2013-12-11 17:04:09 | 信・どんど晴れ
私が徳之島の老舗旅館、「加賀美屋」に来たのは、大学を卒業して一年半ぐらいの頃だったかな。
私は関東での就職活動に失敗して、親父に騙された形で、加計呂麻島に連れ戻された感じだった。
仕事につかず家の農作業の手伝いとかをしていた時、春になったぐらいか、
加賀美屋の女将が現れたんだ。
父と女将がなにやら、客間で話していた。
父は何やらうなづいていた。
それに対していうは早いという雰囲気で、私を加賀美屋で働くことを決めたようだった。
急に決められたことなので、私は信じられないし、親父を恨んだよ。
だけれども、父と女将に促されるまま荷造りをされ、徳之島の船に乗ることになった。
都合よく、大嶋側の古仁屋からふねがでるというじゃないか。
仕方がない。
私は決して前を振り向かなかった。
女将の厳しい顔を覚えている。
「もしかしたら、以前まで住んでいた東京で就職したいのかい。甘い考えは捨てるんだね。」
当時、私の少ない頭で考えたけれども、ラピュタの女海賊って感じ。
女だてらに男だって束ねているってオーラが出まくり。
逆らったらどうなるか。
数時間して、名瀬港から徳之島の加賀美屋に最寄りの港に私はいた。
港の前の三階建てのビジネスホテルを通り過ぎて、目茶苦茶古い日本家屋。
木の看板に「加賀美屋」と書かれている。
「ここがあんたの職場だ。」
女将は言った。
私は目を丸くした。
「こんな場所で、働くんですか。まるで鹿児島の本土や箱根の高級旅館みたいだ。」
黙ってうなづく女将
「そうだよ。私がお前をここで働かせたいのは古仁屋出身の私からしたら、加計呂麻島出身の
お前はほぼ同郷だからだ。」
といって、おくの従業員の詰所に案内した。
「今日から働く松本佳奈さんだ。宜しく。」
というと従業員たちは大喜びだった。
あれから数年後、私は女将の後継者として若女将か仲居頭、あるいはそれに相当する
旅館でも相当偉い役職をもらうようにできている。
「昨日の tv で恵美子さんが、でていたけれども、もしかしら、朝倉夏美もいるかも。」
と冗談めかして女将に言った。
「お前はそんなこと気にすることはない。」
と厳しい顔の女将。
おお、こわ。
朝倉夏美が出演してから、なにやら私の後継体制づくりに焦っているからな。
おわり
コメント
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