ブルーシャムロック

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横浜駅から小田原に向かう。

2013-12-15 05:16:14 | 信・どんど晴れ
私、橘恵美子が、徳之島の新一さんと離婚が成立して、
小田原の実家に向かおうとしていた時だった。
横浜駅まで京急に乗って、そこから乗り換えて小田原に行く。
東海道線の車両がプラットホームに滑りこんできて、
私と二人の子供が、電車に乗り込む。
「この電車に乗れば小田原にそのままよ。」
私はそう説明した。
「横浜か。少し前朝倉夏美とかいう女の人がいたよね。その人が横浜出身だったね。」
長男が言う。
「そうね。」
私はうなづく。
「徳之島にいた時、夏美さんにここにあなたはいるべきじゃない、あなた横浜に帰るべきだ
とお母さんが、あの人にいっていたけど、また会えるよね。」
次男がそういった。
「逢えるかもしれないわね。でも横浜と小田原は距離がありすぎる。」
私は強い口調で、次男を牽制した。
次男は困った顔をして、
「だって同じ神奈川県内だから。」
という。
「小田原と、横浜。距離がある方がいいんじゃない。」
長男は、私と次男をたしなめる風にいった。
「そうかも。もしかしたら夏美さんは実家のパテシエになっている可能性がある。」
私は子供たち二人に言う。
「そうだったよ。おふくろが鹿児島の市内に行っているとき夕飯を作ってくれたの夏美だったぜ。」
長男が思い出しながら答える。
「だったよね。どれも料理美味しかった。」
次男も答えた。
「うん。夏美さんきっとがんばっている。」
子供たちに言い聞かすように行った言葉は、今思い出すけれども、私に言い聞かすための言葉だった
かもしれない。」
電車はそのまま、大船に差し掛かっていた。
(第一部了)
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