ブルーシャムロック

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だが為に阿佐慶のアンはいるのか?_2

2014-03-26 16:41:54 | 信・どんど晴れ
「でも、なんでこの赤毛のアンの脚本は、村岡花子という日本人が紛れているの?」
多くの人が言うように、赤毛のアンは北米はカナダの話である。
カナダを含めた北米の話は、日本に多く紹介されていて、日系人が登場する話以外は
横文字ばかりの筈である。久留実は田口に聞いてみた。
「ああ、この村岡花子という次期副部長が、扮する役は赤毛のアンの日本における
翻訳に尽力した人であると。」
田口はそう答えた。
「ふーん。」
久留実は口をとんがらかせて言う。輸入文学は沢山読んできた方だけれども、
翻訳者には、あまり考えが行かなかったからだ。
「村岡花子氏が存命の時代に初めてサリンジャーの著作、チャンドラーの著作、
ロード・オブ・ザ・リングの日本語版が日本で翻訳されてきた。」
と田口が言う。久留実は些か知ったかぶりのような表情をした。
「田口君は輸入文学に関して詳しいから他の演劇部の人たちとぶつかるのかな?」
久留実はそう田口に質問した。
「どうだか、僕自身日本文学が嫌いな訳じゃない。もともと文学や文章に
親しむきっかけを作ったのは、田中芳樹と夢枕獏だから。」
と乾いた笑いをした。
「へぇ。」
久留実は驚いた。今まで高校に入学して彼が輸入文学の話題ばかりして
自分の好きな創元推理文庫やハヤカワ文庫の話題ばかりしているところしか
見たことがないからだ。
「びっくりした。現在の我が校の演劇部の日本の劇作家をやたら推す
中心派閥の人々が好む作品もそれなりに目を通す。
でも、日本文学づけにされるのは高校三年間實に忍びなかった。」
つづく
コメント
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