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(東京マラソン2012で、2位となり五輪出場を確実にした藤原新選手)
2月26日(日)に行われた、東京マラソン2012、
マラソンの五輪代表選考を兼ねたこの試合で、日本人最高の2位となり、
しかも代表選考の基準となる2時間7分台を記録したのは、
実業団を退社してスポンサーとの契約も切れ、自分の貯金を切り崩して練習してきたという
「プータローランナー」藤原新選手でした。
しかも、元世界最高記録保持者で「エチオピアの皇帝」と呼ばれた選手をも
最後に抜き去ってのゴールです。
マラソンで、こんなにドラマチックな試合を見たのは久しぶりでした。
しかし、この結果に批判の声が出ているのも事実です。
昨年のヒーローは「公務員ランナー」こと川内選手で、
今年のヒーローは「プータローランナー」だったことで、
いったい実業団の選手は何をしとるのかと、
大学駅伝で名前を売った有望な選手が続々と入社し、
練習環境、練習時間に恵まれ、最も選手層の厚いはずの
彼ら実業団の選手が何故勝てないのか、と。
そんな論調の記事を数多く目にしました。
それに、マラソンの日本最高記録がまったく伸びていないこと、
今回の藤原選手の記録(2時間7分48秒:日本歴代7位)が素晴らしいのは間違いないにしても、
日本最高記録(2時間6分16秒:高岡寿成が2002年10月13日に記録)とは1分半の差があり、
しかも10年近く、この記録を破る日本人選手が出ていないこと、
そしてこの間に、世界最高記録は2時間4分台から3分台に突入しているのです。
世界の流れから言えば、
この10年で日本最高記録も2時間5分台になっていたのではなかったか、
いやそれが無理だったのだとしても、
2時間7分台の選手を、日本代表基準としなければならぬ日本の台所事情とは何ぞや、
という気がしてなりません。
「実業団が、PRになる駅伝に力を入れてばかりで、
真剣にマラソンランナーを育てようとしていない」
日本のこの10年をその点だけで総括して良いものか、
部外者である私にはわかりかねますが、
日本陸連は今回のことを分析して、何が悪かったのか公表すべきでしょうね。
でないと
マラソン選手を夢見て実業団入りする多くの優秀な大学生に対して
言いわけができないと思うのです。