北日本の空港は、素晴らしかった
この時期にしか見られない、
駐機場のゾクッとするようなタイヤ跡と青空
電車に揺られた・・・
どんどん蔭る空、強くなる風
日本海間際で 僕はブルーになった
タクシーを降りた
100㎝の雪がまんべんなく城を埋めていた
昨日積もったらしい60㎝の下は・・・
氷のランダムカーブ
私は、たくさんの荷物を持ちながら5回転んだ
……..フェンスは、命綱だよ。つかまって・・・……..
扉は、簡単に開いた
私は、雪だらけのまま、靴のまま・・・リビングに侵入した
ワックスがかかったフローリングは、ブーツを滑らせる・・・
私は、滑りながら荷物ごとキッチンへ向かった
缶ビールの蓋をあけて、
3分の一くらい飲み、ブーツを脱いだ
家中に、
私が連れ込んだ雪が散らばり・・・解けてるぜ・・・
雪だらけの服を脱いでバスルームに投げ込む
ついでにセントラルヒーティングの温度を80度にした
ピリピリに冷えたフローリングを
裸足で歩くのは、うんと怖いんだ
駆けあがった二階のベッドルーム
雪を持ち込まなかったベッドサイドには、
Macのチーズ抜きダブルバーガーとビール
うぁっ、冷え冷えだ
モゾモゾと、モソっとしたハンバーガーを食べながら、
……3日後くらいに家が温まったら…..
ベッドの上で朝ごはんに、
またアイスクリームを食べたいと願う
そして、そんなこと思える私は、十分に元気だと思った。
あっ、今日の野菜はこのピクルスとケチャップか?
明日のことは・・・明日考えよう
明日が来た
早朝に電話が2回鳴っていた
……僕は、青空だよ、
ねぇ、久しぶりに青空なんだよ~おいでよ、遊ぼう……
えっっっ、今日だから、
もう、今日だから・・・君の事なんとかしなきゃいけないのね
僕は、またいつもの「男時間」になる
ショベルは、君をよけるためだけで、
彼みたいに素敵なオブジェを作るためではない
私は、「女時間」になりたくって、
ショベルを使いながらもがく
…….カーチャよ。ソルジェニーツィンの「収容所群島」でも歌を歌いながらノルマの2倍をこなす女の子よ……..
下界への最短距離を繋いだ
玄関できちんと靴を脱ぎ、
スキーウエアの完全防備を脱いで
鏡を見ると
ほっぺたと眉間と鼻が真っ赤な、汗だくのカーチャがいた
カーチャは、元気そうだったけれど・・・
私と僕は、、、
今日の全てのエネルギーをつかい果たして…
午後のやる気を失った
気が付くと、青空も昼間の月も消えていた・・・