ママは あたしをみてることが すくないとおもう
いそがしいから
でも
ママが あたしをみてるときは つよくみてるとおもう
だいすきだから
でも
おてんきがくもりのひは そばにいたいとおもう
いつもよりほんのすこし
ママのそばに いたい
もうだいぶおねえさんだけど。。。
あたしは だめそうなことはかんがえないの
あきらめるまえに そのかんがえをおいだすの いそいでおいだすの
きゅうに さみしくなってママが恋しいとおもったけれど
あたしもいそがしいから。。。またこんどにする
ママが あたしをみてるときは つよくみてるのしってるからね
迷ってやっと来た会場は、読めない人でいっぱいだった
この国には目があったら取りあえず微笑む習慣がないから
遠巻きにジロジロ見る濃い視線が浮遊する
なんとなく真ん中の人だかりに向かって歩く
そのダイヤモンド守ってる赤外線のような視線をかわしながら
顎を上げて1メートル内側に誰も入るなオーラを出している
レギュラーなパーティではないので お客は人と接触するのを好まない
真ん中のテーブル付近は そんな人たちが扇子を開くように道を開けた
扇の中央には思ってもいなかった人が立っていた
物慣れたような感じでプラスチックグラスのワインを飲むと
囲まれていた人たちにフェイドアウトの魔法をかける
3歩私に足をのばすと私はもう一歩まで近づいている
さっきまでの私のオーラは、迷って焦った汗とともに蒸発して
フラフラと倒れそうになった
その人は当然のように鞭のような右手で私の腰を捕まえ左手で背中を支える
ヒールに重心がかかって私はほんの少しのけぞりながらその人の肩の線からの風景を見た
ぞっとするような快感は まわりの人々も蒸発させて気化した粒が熱帯魚の水槽のように見える
背中の手に少し力が入った時は不覚を超えてキスをしていた
唇はこじあけられず柔らかいワインの香りの舌がくるくると表面をなでて
優しげな 意味を追求しなくてもいい気持ちよさに行き場のない指先がしびれる
その人はうっとりとはせず下まぶたにシワを浮かべて手を取った
気化していたはずの大勢がすぐ30㎝となりに戻ってきたので私は寒気を覚え
その人はひっぱるように足のつりそうな爪先立ちの私を連れ則す
もはや扇の道はなく
はだかる人々の肩やヒジや骨盤にぶつかりながら引かれるままに会場を泳ぎ続けた
挨拶以上のしてはいけないことをパブリックに容認した私がその後私自身であったか分からないが
反抗的な小さな元気が追い討ちをかけられ一夜のパーティを楽しむことが出来たらしく
場は読みきれず読む気なくまったく読まず思いがけない物語を生むことがあるらしい
きのうと 洗剤と トーストの匂いのキッチン
いやいや きのうの匂いは 水で流したんだったね
6月のシープドッグは 雲をつかまえに飛んでいった
犬笛を吹くのは当分がまんさ
朝日でほどよく温まったグラスを磨きながら
嬉しそうに飛んでいくポプラの綿毛を目で追う
(・・かわいいシープドッグってば・・・)