とおくのとおくで
なんとなく花火の音がした
ぼくは 舌で おしつぶすように
その音を無視していた
とおくの あのころの
ピンク色のサンジャクを巻いた女の子が
ひらひら頭のなかにいるのが 切なかったからさ
海面がいつまでもゆれるような あの音が
すっかりかき消えて
ぼくは キッチンで コーヒーをすする
ぼくのこだまは
ここから見える 祭り帰りの
すてきなテールランプみたいに連なるのだろうか。。。
いつまでも ながめていたい ありえなかった夜の渋滞さ
連なっているんだ
溶岩みたいにね。。。
*画像は、春の小樽塩谷海岸。砂鉄の多い黒砂で、小さいころは馬蹄型の磁石を持っていくドライブコースだった。
*窓から国道5号線が見える。夜のその道が札幌方面にむけて渋滞するのは、潮祭り花火大会の日だけじゃないかな。小樽には山も海もあるから花火のあのお腹にくるような音の振動は、八百万に響いてずっとこだまする。残像の煙の匂いが記憶を深くするんだ。詩は2008年の同タイトルのもの。物凄く忙しいこの時期にはお祭り行きをせがむ子どもでもいない限り、お祭りに行けないんだよね・・・。