一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

住宅の構造体が集成材の場合、気を付けることは…

2006年10月29日 09時50分42秒 | 住宅ノウハウ・実例
こんにちは、ミタス 一級建築士事務所の清水煬二です。

昨日に続き本日も、施主との打ち合わせがあります。土日は、大体打ち合わせが入り平日は現場が動いていますので、スタッフには交代で休んでもらっていますが、私は休む暇はありません。

また、自身の知識のインプットのために有料、無料関係なく講習会やセミナーなどにも参加しますし、ボランティアも定期的に行っているので、やはり時間が足りません。しかし、仕事自体は好きで楽しくてやっているので、私にはこれが全く苦にはならないのです。  (^^)v

本日は、構造材の件について私の考え方を述べてみましょう。
構造用集成材は、現在の木造ではハウスメーカーを中心としてあたりまえのように使われています。ですが、これには細心の注意が必要だと、私は経験上考えています。

もし、あなたが新築した家を欧米並みに長~く使いたいのならば、できるだけ構造用集成材を構造体に使うべきではありません。なぜなら、水に弱いからです。

それが証拠に、いくら集成材が水に強くなったとハウスメーカーが力説しても、外部の雨ざらし部分に、例えばポーチの柱やバルコニーの柱、デッキ、手摺には使わないでしょう。

神社やお寺の柱や土台、梁に集成材を使っていますか?雨ざらしになった状態でも外気に触れて乾燥する状態にある無垢材は、何十年、何百年?と腐らずにいますね。これが集成材ですと、数年で接着部分と木の部分が剥離してバラバラになってしまいます。ですから、集成材は水に弱く、短期ならともかく長期に濡れることは厳禁なのです。

20年程度経った住宅のリフォームをすると、必ずといって良いほど土台や柱の下部が腐っている箇所があります。このように内部に閉じ込められた木の部分は、湿気や雨の染み込みが原因で腐りやすいのです。

現在、梁や柱はもちろん土台まで集成材がよく使われていますが、無垢材が腐っている部分が、もし集成材ならバラバラになっているということです。現在の日本の戸建て住宅のように、25年や30年で建替えるつもりなら、問題はないのでしょうが、私は50年経って地震がきても平気な住宅にしたいですし、できれば100年くらいは木造でも大丈夫という家にしたいので、集成材を閉じ込められた内部の構造材に選ぶことは、顕しの化粧部分は別として、できるだけ避けます。

私が設計監理する場合、止むを得ない場合以外は無垢の乾燥材を使用します。また、無垢材や集成材にかかわらず、雨の染み込みを防ぐための実際の工事には、そこまで言うか…というくらい、細かくうるさく現場監督や職人さんにお願いをし、検査をし、最後は「やっぱりここまで丁寧にしてくれる職人さんはいないか…」と嘆きながらも、ミタス一級建築士事務所を信頼して設計監理を依頼してくれた施主のために、自分で手直しをしているのです。

こういった個人的なこだわりや手間の掛かり非効率的な仕事や指示は、組織の一員では許してもらうことはできません。それでなくても、住宅はクレーム産業で利益が飛んでいくのですから、造る側にとっては、効率的に利益優先の考え方をしなければ多くの社員を養えません。株主達の理解を得られない大企業などにも、非効率な経費を掛けて必要以上の耐久性を求める方が無理でしょう。

私のいうことが正しいことは、優秀なはずのメイドインジャパン製品が、少なくとも住宅に関しては非常に耐久性に劣っているということでわかるでしょう。先進国の海外の住宅をご存知の方なら、わかりますね。といっても、輸入住宅が日本で造られるとやはり、考え方が今までと同じですから、同じように問題があります…。

工務店でも同じです。工事をする側の工務店にとっては、面倒なことをして利益を減らさなくても、施主は見映えさえ問題なければ、耐久性など10年もてばクレームにならないのですから、今までの自分達の仕事は正しいと考えますし、いちいち考えることさえもしないのです。

現在の業界がこういった考え方に至ってしまった原因は、戦後の日本の住宅事情や政策によるもので、この意識を変えていくには、造る側からでは無理な話ですし、家を求める皆さんの考え方が間違っていることもあります。住まい手である施主の考え方から変えていかないと、日本の住宅は変わらないでしょう。


本日は、ちょっと、力説し過ぎました…。m(__)m






ミタス 一級建築士事務所のホームページ 
http://www.mitasu.com/
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