一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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新潟中越沖地震について

2007年07月25日 14時43分16秒 | 住宅リフォーム・耐震
みんさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

新潟中越沖地震の地層調査で、「地盤の液状化以上に被害拡大に影響していたことがあった。それは、地震波がお椀状の硬い層にぶつかり、もどって来た地震波が干渉し合って増幅した」というような内容のコメントがありました。

この内容の真偽はわかりませんが、本当なら液状化以上に被害への影響が強かったという部分が、ショックです。

住宅の敷地内だけの地盤調査では、ここまでは読みきれません。

もともと地震については、大地震の度に新しい発見がありますから、構造計算上は大丈夫といっても、「現在わかっている範囲で例外を除いて、モデル化内の一般的条件内では大丈夫」という意味なのです。


現在わかっている範囲から、かなり絞って最大公約数的に簡素化していますから、その条件とその範囲内でしかOKということにはなりません。

すべてを満たしてOKという設定は、敷地もすべて異なり、建物もすべて違います。やってくる地震もすべて異なりますから、不可能です。


このためミタス一級建築士事務所が、より安全にと考える方法として、

①決められた基準以上の耐震性を持たせること。例えば、1.5倍とか2倍とかにしてしまう方法です。鉄筋量を増やしたり、筋交いにあたる量を増やしたりします。

 これに異論のある方はいませんね。


ふたつめは、これが行われていないのですが、

②地震の力を建物の中にどのように流していくか、これを考えながらプランを含めた設計をしなければなりません。建築基準法や性能表示でも、こういうアナログ的なことに対する取り決めもチェックもありませんから、こういう考え方をした設計は、あまり行われていません。

これをもう少し説明すると、地震力を受けると1階はもちろん、2階も揺れて踏ん張ろうとします。その力は、2階の筋交いなどの耐力壁を通して2階床の梁から1階の耐力壁に伝わります。ここが重要な点ですが難しくなるので説明はカットします。

この部分に関しての考慮が無いまま、意匠面や見映えを優先してプランニングされ設計されがちなのが問題なのです。

さらに、1階の耐力壁から土台そして基礎、最後は地盤へと力を逃がしていくことになります。

この流れができていないと、大きな力が加わると家は接合部分で破壊されます。ミタス一級建築士事務所のホームページの中越地震の写真をご覧になれば、この意味が分かり安くなると思います。

筋交いなどの耐力壁が少ない家が壊れるのは、このためです。家が地震から受けた力を地盤に流しきれず、接合部分に力が集中して耐え切れず破壊されるのです。これは、木造だけではなく、鉄骨造も鉄筋コンクリート造でも同じです。

耐力壁が量的に基準以上あっても、1階と2階の耐力壁のバランスが悪いと、力を逃がす流れができず、接合部分が破壊されてしまいます。

この上下のバランスを考えたチェックや指針はありませんから、残念ながらあまり意識されていません。



最後は、

③これら地震を考慮した設計が、本当に正しく工事されているのかどうかの確認や指導が必要ということになります。


この3つの考え方は、耐震面などの構造面だけでなく、耐久性や断熱性などの建物の基本性能にも全く同じような考え方の設計方針と細かいチェックが必要だというのが、ミタス一級建築士事務所の考え方です。




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