一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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申込み金についての相談

2008年04月24日 22時40分45秒 | 住宅検査・トラブル相談
みなさん、こんばんは、ミタス一級建築士事務所の清水です。

メールで質問が来ました。個別に回答しますが、
みなさんの参考のために、質問を変えて一般的なものにして、ここでお答えしましょう。


「注文住宅で家を建てようと考えてあるハウスメーカーと契約し、
申し込み金を払いました。契約後、プランを立ててもらいましたが、
こちらの事情でそのハウスメーカーとは契約をやめようと思っています。

でも、申し込み金が戻ってこないといわれました。本当でしょうか?
契約書には、購入者の諸事により契約破棄する場合は返金しない旨は記述されています。」


みなさんは、どう思われるでしょうか?

私は法律の専門家ではありませんから、この内容は本来は弁護士さんに相談すべき内容ですね。

弁護士さんに質問されても、おそらく契約書を見せてくださいとか、経緯と今までのやり取り、ハウスメーカーが行った内容を詳しく聞いたうえでのアドバイスになると思いますが、

それを踏まえた上で、私の考えをこの方の回答として述べてみます。

申し込み金が、どういう意味のものなのかによっても変わりますが、ハウスメーカーが現地調査してプラン等を考えて提案しているのであれば、ハウスメーカーは契約を着手していることになります。

それに対して、何の支払いもしないというのは、契約前なら良いのですが、契約をして支払ったあとなら、申し込み金といえども、全額戻ってくる可能性は低いと思われます。


民法から考えても、一般的には難しいですね。


また、契約書に返さないと書いてあるようです。
これは、着手金という意味あいのもののようですから、相手が契約に着手した場合は、何らかの義務が生じます。

さらにハウスメーカーが契約を止めるのであれば、返さないと言っているようなので、なおさら難しいでしょう。

私は、建築紛争の調停委員をしていますので、こういう場合の判断など弁護士さんとご一緒に考える機会があるのですが、残念ながら、争っても可能性は低いと感じます。

ハウスメーカーは、まだ実際には何もしていない、ということであれば、契約に着手していないので、戻ってくる可能性はあります。

申込金の金額より、行ってもらったことの内容が、客観的に考えて低過ぎれば、その分は戻ってくる可能性はあります。

そうでなければ、戻ってくる可能性は低いと私は思います。


後は、契約書にどう書いてあるか、ハウスメーカーにどの程度まで行ってもらったか、その行ってもらったことと申込金の金額を比べてみて、妥当な金額かどうかを整理して、弁護士さんのところへ相談に行かれたら、もう少し具体的にアドバイスくれると思います。


弁護士さんへの相談は、最初は役所や弁護士会の無料相談を利用されても良いでしょう。

有料相談であれば、一般的には1時間1万円程度で初回は行ってくれると思いますが、価格は事前に確認された方が良いでしょう。

余談ですが、ミタス一級建築士事務所では、契約するまでプランは作成いたしません。ハウスメーカーや工務店では、プランや見積もりまで無料という場合が多いですが、それは、その費用を契約する人に転嫁することになるからです。

また、工事で儲けるハウスメーカーや工務店と異なり、プラン作成がまさに我々の大切な仕事だからです。膨大な費用と時間を掛けて学び続けている知識と経験、時間を売るというのが、私の仕事でもあります。

ミタス一級建築士事務所を指名して依頼された方にだけ、私の経験と知識、時間を使いたいことと、依頼された方にその費用の転嫁をしたくないからです。

もちろん、事前相談やアドバイス、他でのトラブル相談も、社会還元としてすべて無料で行っています。


最後に、みなさんにお伝えしたいことは、安易に契約をせず、契約書の内容を良く理解してから、契約して欲しいのです。そのため事前に契約書を入手して、そこに書かれていることを理解するのは当然ですし、それが先々どういう意味を持つのかも知ってから契約すべきです。

相談に来られる方だけでなく、ほとんどの人が建売の購入はもちろん、請負工事の契約も安易になされていると感じるからです。

ミタス一級建築士事務所が設計と監理を行う場合、工事業者の契約書を見せてもらい、変更や加筆、場合によってはこちらで用意したもので契約を行います。

契約時には、契約の内容、お互いのリスク、万一の場合の解除方法や協議方法、ペナルティを説明しますし、業者へも確認します。

弁護士さんでも、遅延金などについては、それがどういう意味になるのか、どういうレベルか判断できない建築独特の内容もあります。以前もこの内容やポイントについて、ブログでコメントしたと思いますが、正しく理解することが大切です。



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