先日の2010年2月10日に、木工事完成検査を行いました。
大工さんの工事が翌日に終わり、その次の日から内装屋さんが入ってくるからです。
内装の仕上げが入ってくると、下地は隠れて見えなくなってしまいます。
見えない部分がどうなっているかが大切なのです。
仕上がってしまえば、完成時でも入居後でも同じことですから、ここまでが大切なのです。
そして、たくさんの指摘をさせて頂き、すべて手直しの対応を行って頂きました。
私が設計した建物ではないので、ここまで第三者検査の立場で入ったのですが、
ここまででもスタッフと私とで20回をはるかに越える現場確認や検査を自主的に行いました。
本当は検査回数6回でお受けしたのです。
▼ついでに屋根の上の状況も確認!
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▼初めから現場に入っていた大工さんとも、
今まですべて対応して頂いたお礼と感謝を述べました。
いろいろと楽しくお話して頂きました。
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▼事前にスタッフが細かく調べて、チォークで付けた指摘部分の手直し対応を
すべてお願いし、その場で完了の確認を行いました。
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なぜ、6回の検査でお受けしたものを20回以上も現場確認する必要があるのでしょう?
それが現場の実情だからです。
通常の第三者検査や性能表示の検査では、3~4回、多くても6回までです。
10回を売りにしているところもあります。
ですが、それらの検査内容は「検査をやりました」という、目的が
検査をしたという形式だけの検査というのが私の意見です。
日本の現場では、検査を受ける状態ですべてを終えて、次の工事に入らず
現場をストップして検査を待っているいるというわけにはいきません。
検査に入ったときには100%終了していない不完全な状態で
検査に入るのが現状です。
まもなくオリンピックが始まるバンクーバーでは、
非常に厳しい権限をもった検査員が10回以上行いますが
これは、検査を受けられる状態で待っていないと
下地を剥がさせたり、工事をストップさせます。
私が設計をして監理を行っている現場ではやっていますが
第三者検査でそこまでできる検査会社は存在しません。
検査会社にとって、工事業者がお客様だからです。
日本のように全部終わっていない場合、
どうやってOKを出すことができるのでしょう?
先日シアトルに行ったときに、現地の不動産会社の人と
日本の検査会社の現状をお話したら
「信じられない。何のために検査会社?」と驚いて憤慨していました。
また、本当に真剣に検査を行えば、重要な部分に限っても必ず指摘箇所はあるものです。
その手直しをどうやって確認するのでしょう?
写真だけでOKの手直しの場合とそうでない場合があります。
また、この指摘事項は、検査会社のすべてが行っているように
マニュアルだけで対応できるものではありません。
マニュアルで対応できるものは、最低限の共通事項でしかありません。
いわば最小公倍数。
そして、これさえも3~4回はおろか
最初から決めらた6回~10回程度の検査では、完全に行うことは不可能です。
様々な現場があるわけですから、一様に検査内容が1つに1回ということは有り得ません。
私は自分が設計したものでなければ、「監理をお願いします」と言われてもお断りしています。
監理は設計と一体であり、監理をするということは設計にも自信がなければなりません。
ですが、人の設計で、ましてハウスメーカーや工務店が設計したものに自信や責任を持つということは、
私には到底不可能なことです。それが理由で、自分で設計事務所をすることになったのですから。
「そのため、第三者検査ならお受けします」と申し上げているのですが、
この監理と検査の違いの分かる方は少ないのです。
それでも、検査をする立場として設計はともかく、最低限の品質は厳しくチェックして
差し上げたいので、回数が増えてしまうのです。
この現場が事務所から比較的近く、スタッフにすぐ「観に行って来て」と言いやすいのもあります。
そして、今やスタッフでも一流会社の現場監督が見落としている重要な事項を
次々と指摘できるように成長してきています。
私が重視している内容は何度も具体的に現場でその理由とともにスタッフに教えてきましたが
そう簡単には理解できるものではないようです。
ベテランの現場監督でさえ、わかったつもりでいても上辺だけで
本質はわかっていないことが多いからです。
それでも、かなり厳しい禅問答のような私の指摘や指導にも耐えてきてくれたお陰で
もっと高いレベルで思考しなければならないということが、ようやくわかってきたようです。
私は簡単だと思っているのですが、知識だけでなくこの意識のレベルにならないと、
私の指摘していることの本質を理解して、すべて違う現場に対応できないのかもしれません。
すべての現場で1から100までは教える時間もつもりもありませんが、
私の修行時代と比べるとすべてを教えているつもりです。
自分で考えてみる、自分で調べてみる必要があるのは、世の中新しい工法や
材料が出てきているのですから当然です。
これを楽しんでできるか、
本当に快適な住宅を設計して提供するために
仕事は厳しくても、自分自身の向上を楽しみながら行うことができるか
ミタス一級建築士事務所のスタッフに求められることは、これに尽きます。
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一級建築士事務所 横浜市
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