一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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200年住宅

2008年02月27日 17時25分49秒 | 建築家の日記
みなさん、こんにちは。200年住宅について新しいコメントをしておきます。

昨年2007年に政府が発表してから、新聞にも何度か載りました。
発表の内容を読んでも、200年住宅の工法がどういうものかはハッキリしていませんが、どうすれば200年住宅が可能なのかを私も考えてきました。これからも考え続けますが、こうすれば何とかなるのではと仮説をたて、全体像は既に浮かんでいます。

200年住宅について、いくつか発表はされているもののうち、木造で集成材の5寸柱を使ったものが、発表されています。

これだけは、自信をもってハッキリ言い切れますが、集成材の柱ではどんなに太くても200年は無理です。その接着剤の耐久性が持たず、柱もバラバラになってしまいます。構造体が200年持たなければ、どんなにメンテナンスをしても無理があります。


政府の構想では、通常は60年から100年しか持たない鉄筋コンクリート造を200年持つ高耐久な鉄筋コンクリート造にし、メンテナンスを行い易いものにして、ライフスタイルの変更にも対応しやすい、フレキシブルなものにしようという提案があります。この200年というのは、構造体の鉄筋が錆び出すまでの期間を考えているのです。

これと同じような考え方で、私は既に300年住宅を工事中ですが、これもメンテナンスフリーということではありません。構造体部分の鉄筋が錆びだすまでに、計算上300年掛かるということです。建物の寿命を考える場合、構造体が少なくとも持たなければなりません。これが前提になります。構造体以外は当然、メンテナンスは必要です。

話を木造に戻しますと、200年の寿命をもった木造となると、寺社仏閣や古民家のように無垢の太い柱や梁で、腐らないように顕しが必要です。現在の木造のように壁の中に隠れてしまうもの、細い無垢材や太くても集成材では不可なのです。

では、200年持つだけで良いのでしょうか?住宅ですから快適性が問われます。寺社仏閣や古民家の場合、暑さや寒さ、特に寒さや省エネルギー性にも問題があります。

完全な木造では、他に高床式のログハウスが候補に挙げられますが、地震はもちろん台風や水害などの災害にも強くなければなりません。
これらの点まで考えると、完全な木造ではコスト的にかなり高額になり、現実的にはどうでしょうか。


私が現在考えているのが、工事中の300年住宅と木造を組み合わせたものです。

耐久性だけでなく耐震性、耐水害性に優れ、雨漏れを防いでも湿気から木造は1階が腐りやすいため200年というスパンを考えると、また快適な温熱環境を考えても、1階部分は外断熱工法でもあるこの300年住宅の工法、または同等の鉄筋コンクリート造を採用します。そして、2階部分は木造ということを考えています。

2階部分は、ヨーロッパに多く見られる勾配が強く外壁に近い部分は天井が低くなり、そうでない部分は天井が高くなるようなイメージです。外見は、屋根の勾配が強い建物になります。

300年住宅が完成してから、このハイブリッドな住宅を次は追求する予定です。そのときには、詳しくどういう住宅かわかるように発表いたしますので、興味のある方は、ぜひお問い合わせ下さい。

なぜわざわざハイブリットにするのか、それは住宅ということを考えると、コストはもちろん木材の持つ効果など、さまざまな両者の長所を取り入れたいからです。

私が高校のときに「快適な住宅を設計したい」と思い、今まで30年間以上求めてきた区切りの集大成の住宅、世界中のどこにも無い考え方を組み込んだ第一号になりそうです。

イタリアの石の文化を観て、「こういう何百年も持つ石造りで、地震にも強く温熱環境も快適な夢のような建物ができたらなあ…」と想い続けていらら、田邊先生の300年住宅に出会い、しかも様々なトラブルや障害を乗り越えて、設計、そして工事へと進むことができました。

実現するかどうかは、まだ全くわかりませんが、私のイメージの中では、段々固まってきています。イメージが固まれば固まるほど、賛同して頂ける人が現れるのではないかと、楽観的に考えて楽しみにしています。





横浜市 注文住宅 

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2 コメント

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集成材について (bid)
2008-10-30 09:08:16
集成材の接着剤の耐久性が200年持たないという根拠は何でしょうか?

森林組合研究所では集成材に使われているレゾルシノールの寿命は2000年以上であるという所見を出しています。

何か根拠があってのお話ならご教授願えますでしょうか。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-10-30 21:21:31
有益な情報、どうもありがとうございました。

重要なご質問と指摘ですので、
この欄に公開するだけでなく、投稿頂いた日の

2008年10月30日のブログにも載せて
皆様にお知らせするように致しました。
返信する

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