昨日は、愛娘のピアノの発表会でした
一年間の努力の総決算
ってことで、
この日の為に一生懸命練習して来た 『はず』でした
事件は、朝、起こりました。
ベランダから、サスケの
「ウォンウォングルルルル~」
と、恐ろしい唸り声。
私
「? ? ?」
さて、ベランダ越しに、よその犬でも見つけたかな?
・・・・、しばらくしたら娘が
「もう~~~~イヤッサスケ~~~」
と、泣きながらリビングにやってきた
見ると、なんと娘の左手から血がしたたり落ち
ゾッとするような状態。
一瞬私まで、血の気が引いて
(もう、ダメダ…)…と思った
炊事場へ行って、泣き続ける娘の手を取り、流水でひたすら洗い流した。
親指を、数か所、付け根も数か所。みるみるうちに内出血も始まった。
タオルで、止血
しばらく横にさせ様子を看ることに…
私は、
「何があったん?サスケに何した?」
娘は、
「なんにも、してない。頭を撫でただけ。」という
おかしいな…
そう思いながらも、考えてみたら奴は昨日から非常に機嫌が悪かった。
というのも、我が家で来客があり
ベランダBBQをした際も、目の前にある肉に
『おあずけ状態』を食らい、餌は勿論、与えられているものの
目の前の美味しそうなご馳走は、食いしん坊のサスケでなくても
へびの生殺しであろう
今日の為に、娘と一緒に奴を無理矢理寝室へ連れて行ったのが
気に入らなかったのかな?近頃落ち付いて来たと思ってたのに…
私はサスケを強い口調で叱り付けた。
「なんで噛むの
ダメでしょ
」
ヤツも、目を向いて私を睨み
「自分が悪い訳じゃない」みたいな顔をしている
手でサスケの口の近くをはたこうとした瞬間、
「ガウッ」
なんと、私まで噛みついてきたのだ「
」
振りはらったら今度は反対の手にも、ガブリッ
私まで両手血まみれの内出血状態に…なんてこと
「イッタ~~~
」爪の上から噛んだらしい。みるみる腫れて来た。
私はともかくとして、問題は3時間後、彼女がピアノの発表会ということ。
私は、苦渋の決断を強いた。
「大丈夫?…潔くもう、出演辞める決断も大事よ。
最後の舞台挨拶、代わってもらうなら、先生に早く連絡しないと」
娘に自分で判断させることは、私にとっても厳しいことですが
9年間彼女を育て向き合ってきた私。
彼女の性格上、親に言われて素直にそうすることはあり得ないと
わかっていながらの投げかけでした。
「いやや
そんなん今日の為に今まで頑張って来たのに…」
そう、答えるであろう当たり前の言葉が
泣きじゃくる彼女の口を付いて返って来た。
「じゃあ頑張って行くなら、もう、泣かないで
とりあえず出発まで一時間無いよ
」
こちらまで、泣きたくなるのを堪え、娘の手と指を絆創膏ではりまくり
洋服を着せ支度をさせた。
現地に到着、
この事情を説明せざるを得ない。
先生は
「片手だけの演奏にする?」と、
代替え案も出してくれたが、娘はやはり、納得行かない様子
私は、自分の手がジンジン痛くなってきており
娘が同じ状況であることは、痛いほど?伝わってくる。私なら弾けるだろうか?無理であろう。
彼女は、また悔しさがこみあげて来たのであろう、腕で顔を覆い隠すように泣き始めた
私は、
「泣かないの!泣かないって決めたでしょう!!」
と、厳しい口調で彼女をやめさせた
「ぎりぎりまで、様子を見たいと思いますので」と、先生に告げた
一度限りのリハーサルの時間が来て、私は楽屋で待っていた。
結果は、やはり思うように左手は動かなかったらしく、
上手く弾けなかったという。
先生が、左手を弾くことになったらしい。
開演が近づき、自分の番が来るまで、他の人の演奏を客席で聴きながら待つことになっている。
出番間近に先生が、娘の傍にやって来て
「両手…自分で弾いてみる?練習の時、連弾あまり上手くいかなかったし
第3ステージの曲、弾いてるのみたらもしかしたら、一人の方がいいかも、って
他の先生とも相談してた」と、おっしゃった。
娘は、首を傾け、先ほどリハが頭をよぎったのか自信無げな様子をこの日初めて見せた
「じゃあ、本番直前に決めよう
」
私は、祈るような気持ちで娘を見送った。しばらくして・・・
娘が、舞台下手からなんと一人で出て来た。
彼女が一人で弾き始めた。
その演奏は、朝にあんなことがあったとは思えないほど
涼しい顔をして鍵盤を叩いている。私の親指は内出血と腫れの痛みでジンジンしている。
娘の指は、一体どうなってしまったのだろう?
彼女は未だかつてないほど安定した状態で、第一ステージの2曲を、無事弾き終え
満足げな笑みを浮かべて 深々と客席に向かっておじぎした
私は、我が子ながらも感心と感動でボロボロ泣いてしまっていた
後ろから客席に戻ってきた彼女を抱きしめた
「痛かったやろう?」「ううん、痛いの忘れてた」「
」
すげー
第3ステージは、少しミスはあったもののこれもなんとかやり遂げた。
彼女は自分の演奏に納得がいかない様子で、客席の私とは目を合わさずにおじぎをし
舞台袖に引っ込んだ。
客席に戻った彼女は、なんと悔し泣きをしているではないか。
この状況で、無事やり遂げ、先生も私も号泣しているのに
娘は、なんと根性のあるヤツだ
ホントよくやったよ、えらかったね
娘のことを、誇りに思う母であった
娘の背中を撫でてやり、車に乗せ、帰りの道中のこと
娘がひと言、
「そういえばさ~、今思い出してんけど噛まれる時、
サスケのガム…そう~っと盗ろうとしたわ」
なんやねんそれ
(おしまい
)