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第354回神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会

2019-12-08 09:04:04 | 音楽夜話(クラシック)
第354回神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会

昼過ぎにみなとみらい駅についた。
駅To駅で雨にぬれずに済んだ。

いつものように、ハード・ロック・カフェで
コーラを煽り、TVモニターでPVを見る。
懐かしいABBAなんかやってたりする。
バード・ロックだけではない。
今日はなんか日本のガールズグループの
コンサート動画を流していた。

時間になりホールの受付で当日券を購入。
100枚程度出るというので、並んで買う。
20分くらい待って入場。

開演まで一呼吸あるので、座って待つ。
今日はパイプオルガンの出番もあるので、
オルガンも明るく照らされていた。

前回の定期から1年以上経つ。
今回は、プログラムがひねってあるので
面白そうだからという理由。

川瀬氏もいくつかの団体で、常任とか
しているので、いつまでいられるかわからないし、
オケも指揮者について育ってきてはいるし、
独自な路線行っているようなところもあるので、
時間もあいたので、足を運んだ。

今日のプログラムは、ソリストがいないので、
その分のギャラはないが、オーケストラの中に、
エキストラが随分いるようなので、その分見かけない
方も多い。

そして画期的なのは、当日のメンバー表(オケ団員の
出演表・シッティングシート)が入っていたことだ。
曲により微妙にメンバーが違う。

このようなものが入っているのは個人的には初めてだったし、
(1年くらい前の定期はなかった)ある意味画期的なことだ。
オケメンバーは団体で一つだし、その中での個人という感覚はない。

それをお気に入りの奏者、パート、色々な意味で奏者を
知りたい人には有益なもの。いいのか悪いのかわからないが
奏者個人のモチベーションを上げる意味でもいいのかもしれない。
アンケートに個人名でブラボーがついたりするのかもしれないし。
ファンレターが来るようになるかもしれないし。

指揮者は名が出るがオケ・メンバーは作曲家を表現する黒子だったり
するから、表に出てくるのはどうかという意見もあるが、
やっぱりその中でもいい演奏が聴ければあの人誰?ということになる。
聴いていただける楽壇にするためにはという企業努力かもしれないし、
聴衆からそのようなリクエストがあったのかもしれない。
変わって行く業界。

今回は、曲目によって編成の違いから、ステージの作りが違っているので、
誰がどこに座るかも興味の対象になったりするのだろう。
後半の「展覧会の絵」は弦楽が14型で金管は4管編成で、パイプオルガンまで入る。
エキストラの奏者も多い。他の曲の編成と現代のオーケストラの配置
(ストコフスキー)が提唱したものがどのように配置されるのか
わかるという意味ではこのシートはいいと思う。場合によっては、チェロが
外側にいる場合もあるし、対向配置とか、弦バスが中央後ろとか、左後ろ
とか色々違う場合もあるので、その意味でも、ストコフスキーのアレンジ版は
曲だけでない楽しみも提供してくれたことは大きいかもしれない。
そのシートの意味と使い方は色々ありそう。  

導入曲は
ワーグナー(1813~1883)
「楽劇・ニュルンベルクのマイスター・ジンガーより第一幕への前奏曲」。
晴れ晴れとしたそしてある意味堂々とした、導入のつかみにはいい曲だとおもった。
昔からこのような曲は、序曲・協奏曲・交響曲などの定番プログラムの頭にくることは
あった。
出だしのファンファーレからして、スムーズに奏され、何かあることを想像させる。
画一的に演奏されるものもあるが、今日はそういう事ではなく、温度を感じた。
丁寧に演奏されている音がわかる。木管もこのホールは相性がよくなってきたのか、
音色がいい。金管も鳴らし過ぎずにバランスを保っている。指揮者のコントロール下に
入っていて音楽している。

2曲目は
ツィンマーマン(1918~1970)
「ユビュ王の晩餐の為の音楽」
古今東西の名曲の引用から曲が成り立っている。
その数30曲。現代の作曲家。編成も弦楽なしの
木管(サックスあり)・金管・打楽器・
コントラバス4台、ピアノ・チェレスタ・ハープ・
パイプオルガン・クラシックギター・マンドリン、
JAZZコンボ・エレキギタートランペット弦バス等。

パイプ・オルガンとの同期はどうとるのだろう。
モニターが置かれていたけれど・・・。
ステージ配置も独特なので、転換が行われているうちに
指揮者の解説が入る。

話はずれて、川瀬氏は「ラヴェル」のイントネーションが東京生まれとは言え
今の人だ。我々古い人はラヴェルの「ラ」にアクセントがある。
「ヴェル」は弱い。彼は「ら」が弱く「ヴェル」にアクセントがある。
ラッパーの様だ。

今日のテーマは「変容」。曲の成り立ちから、アレンジに
よりどのように表現が変わるかというようなこと。

曲としては30曲がどこで・どのように使われているかは
お楽しみで、わかる人はわかるが、それが主ではなくて、
その引用から何を引き出し表現するかというところで、
耳には新鮮な刺激的な音楽だった。
終曲のピアノとパイプオルガンは白眉。
「いいぞルーシー!(パイプオルガンの愛称)」やられた。

ブルース・リーの「考えるな感じろ」的なところで、
左頭を使わない。右頭で感じればそれでいいような
所があった。終曲はかなり刺激的で、面白かった。

休憩の後、後半はムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」。
画家ハルトマンにささげた1曲。
一般には原曲はピアノ。ラヴェルが編曲したものが
コンサートにはよくかかる。しかしながら時々、アシュケナージが
編曲したものとか、今日のようにストコフスキーが編曲したものが
かかることもある。コンセプトが「変容」なので、その意味では
原曲がどのように「変容」するかのたのしみはある。
ラヴェルとの比較もできる。

ストコフスキーというと、前段でも書いたけれど、オーケストラの
配置とか新しいものを生み出した一人。作曲家ではあるけれど、
バッハなどの曲をオーケストラに編曲して話題になったこともある。
有名なディズニーの「ファンタジア」も彼の仕事。
視覚・映像と音響にも手を入れた一人。

ファンタジアのイメージがあるので、組曲中の何曲かは、それに近い
イメージを持った。
アメリカの派手な印象の手法、その中にも主張を入れていく難しさは
あるものの、終曲なども手堅く盛り上がるようになっていて、
ラヴェルとは、また違う「展覧会の絵」が立ち上がる。
これはこれでありなのかもしれない。

かなフィルは「変容」を伝えてくる。それが伝わる。上手になった。
常任だからというのもあるのだろうけれど、オケ自体の奏者の年齢は
若い方なのではないかと思うが、ホルンなども音に芯があり美しい
音色。フルートなども。そのように個人を見ていくと、レヴェルは
高く、ファンもついているのかもしれない。
曲によっては、今時のバンドの様な音楽の伝わり方かもしれない。
師匠が広上氏だからその影響もあるのかもしれないけれど、このような
曲の表現のある意味の自由さは嬉しい。

リスナーのつかみもいいかもしれない。結構、ツィンマーマン・
ストコフスキーの展覧会の絵はへヴィーだったので、大変だったろうな。

終演後のお見送りは、川瀬氏はマリノスのユニフォームを着て出てきた。
マリノスは優勝したらしい。

私の応援するベルマーレは・・・。コンサート中試合していたので、結果は
わからず・・・。その後知って・・・。

色々印象的な変容を体験した1日でした。