身の回りの放射能 劣 化 ウ ラ ン
「湧き出る」劣化ウランの危険性! 2011年3月11日の大地震で、千葉のコスモ石油千葉製油所で火災が発生し、何日も燃え続けたことは、いまだに頭の片隅に残っている。コスモ石油に隣接して、当時のチッソ石油株式会社(2011年4月1日からJNC石油株式会社)の五井製造所がある。震災当時の首相官邸ホームページに次のような記述があった。核燃料物質施設である千葉県市原市のチッソ石油化学株式会社五井製造所より、隣接するコスモ石油千葉製油所における火災が、同事業所内の核燃料物質(劣化ウラン)の保管施設に延焼する恐れがあるとの連絡あり地元消防による消火活動により、鎮火確認。劣化ウランは不燃物質であり、不燃性壁に囲まれた倉庫に保管されているが、倉庫の状況については未確認である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
当初、倉庫の状況については未確認とされていたが、後に劣化ウラン保管倉庫の屋根が焼け落ちていたことが明らかなっている。千葉日報は、千葉県議会の総務防災委員会で、このことが明らかにされたと、次のようなニュースをウェブに載せている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
コスモ石油のガスタンク火災で 千葉県議会
2011年07月01日14時42分 千葉日報ウェブ
6月千葉県議会は30日、総務防災と総合企画水道の2常任委員会が開かれた。総務防災では、東日本大震災で発生したコスモ石油千葉製油所(市原市)の液化石油ガス(LPG)タンク火災・爆発に伴い、隣接する劣化ウラン保管施設も延焼していたことが明らかになったが、放射性物質の漏えいはなかったとしている。
【総務防災】県消防課は、同製油所のガスタンクの火災・爆発事故で、隣接するチッソ石油化学の劣化ウラン保管倉庫の屋根が焼け落ちていたことを明らかにした。
同課によると、同倉庫は「核燃料使用事業所」として国の許可を受け、ガス製造用の触媒として使われる劣化ウラン765キログラムが保管されており、放射性物質が0.3%含まれていた。
同年の8月23日発行の週刊朝日も同様の記事をのせている。
大事に至らなかったが、劣化ウランがなぜ化学工場に保管されていたのか、その量はどれほどか、少し追ってみよう。
「平成23年度下期放射線管理等報告について(平成24年8月9日)」という文部科学省のレポートに「平成23年度放射性廃棄物管理状況」という別表があり、この中に、
とあります。
このレポートは、今では環境省所轄の原子力規制委員会に引き継がれているから注意:引き継がれ先はここ。
この劣化ウランが、どのような経過でチッソ石油化学五井製造所に保管されるようになったのだろうか。これもまた、現在は環境省所管の原子力規制委員会のホームページに、「文部科学省」より提供された情報として「トラブル対応事例/核燃料物質等の管理の徹底について」という項目中に、次のようなタイトルで記載されています。
『『
核燃料物質を含む廃触媒の保管について(チッソ石油化学)五井製造所)』
これを読むと、五井製造所に劣化ウランが放置されていた事実が、2005年6月に発覚したことがわかります。
文科省担当者の弁によると、発覚ではなく「湧き出し」である。曰く、「我々の間では、事業所からウランなどが突然見つかることを、どこからともなく水が湧いてくる様子に似せて『湧き出し』と呼んでいます」(週刊朝日 9/2号 2011年08月23日発売)
全文は以下の通りである。
核燃料物質を含む廃触媒の保管について
2005年06月16日 第1報
文部科学省
本日、午前10時頃、文部科学省に対し、チッソ石油化学株式会社より、核燃料物質を含む廃触媒を保管しているとの連絡があった。
当省は、職員1名を現地に派遣し調査を行った。その結果は、1.及び2.のとおりである。また、本件に係る当省の対応は3.のとおりである。
1.保管場所及び経緯
同社の説明によれば、保管場所及び経緯は以下のとおりである。
(1)場所
チッソ石油化学株式会社 五井製造所 (千葉県市原市)
(2)保管している核燃料物質を含む廃触媒
劣化ウラン量 765キログラム
(廃触媒総量7,650キログラム、200リットルケミカルドラム※33本)
※:ポリエチレン樹脂製の内筒を鋼製ドラムで外装した複合容器
(3)経緯
1.同社は、昭和44年7月に核燃料物質の使用の許可を得て、合成ガス製造用の触媒として劣化ウランの使用を開始した。その後、劣化ウランを含まない触媒が開発されたことから、当該核燃料物質は廃触媒として200リットルケミカルドラム缶に入れ、専用倉庫(管理区域として管理)において保管のみを行うこととし、昭和47年11月に核燃料物質の使用の廃止届を科学技術庁へ提出し、受理された。
2.同社は、核燃料物質の使用の廃止後、科学技術庁に届け出た廃止に伴う措置の方法に従い、毎月1回当該専用倉庫の側壁表面等の放射線量を測定するとともに、平成3年までは、その結果を科学技術庁へ自主的に報告していた。
3.同社は、平成17年2月24日付けの文部科学省からの通知「放射線管理状況に際しての放射性同位元素等に関する点検及び報告依頼について」を受け、同社五井製造所内の調査を行っていたところ、核燃料物質を含む廃棄物の管理状況についての報告が平成4年以降行われていないことを確認した。
2.現在の保管状況
当該核燃料物質を含む廃触媒は、同社の放射線取扱主任者の指導の下、施錠管理された専用倉庫内(床はコンクリート張り、200リットルケミカルドラムの周囲をコンクリートブロックで遮へい)に保管されている。この保管状態における線量は、専用倉庫の側壁表面で最大0.64マイクロシーベルト/時であった。
当該専用倉庫付近は、常時人が作業を行う場所ではないが、念のための措置として、当省職員が、当該専用倉庫の側壁表面から約5メートルまでを立入制限するよう指導し、安全上問題のないレベル(制限境界で0.1マイクロシーベルト/時)で保管管理されている。
3.文部科学省の対応
(1) 当該専用倉庫内での核燃料物質を含む廃触媒の保管状況について確認(を)行うとともに、同社に対し上記2.のとおり保管管理に係る安全確保について指導した。
(2) 同社に対し、法令に基づく技術基準を遵守させること、また、核燃料物質の譲渡は許可を受けた者の間でのみ許されていること等の観点から、当該核燃料物質を含む廃触媒の保管に関し、核燃料物質の使用の許可を受けるよう指導した。
お問い合わせ先
科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室
原子力安全課原子力規制室長 青木照美
電話番号:03‐6734‐3926
上記の文中にあるように劣化ウランは、触媒として使用していたが、その後、劣化ウランを含まない触媒が開発されたことから、当該核燃料物質は廃触媒として200リットルケミカルドラム缶(鋼製 のドラムの内側に、ポリエチレンなどの合成樹脂で作った内層容器を入れた複合ドラム缶)に入れて、その後ずっと保管(放置?)してきたのが、法令にもとづく許可を受けていなかった、というわけなのです。
チッソだけではない。実は、大手の化学会社も同様、劣化ウランを工場敷地内に保管してきたことは、ずっと以前から公になっていました。1971年の第065回国会の参議院公害対策特別委員会の会議録によれば、は次のような質疑応答があった。
「ある石油精製工場に行ってみたんですが、ここでアクリロニトリルというものをつくっているわけですね。その製造用の触媒が劣化ウランなんですね。このウランというのは、御承知のとおりの放射性物質であるわけですが、このアクリロニトリルをつくるのに、触媒としてこの劣化ウランを使っているのです。」
「しかもこの劣化ウランは、アメリカで廃物として、悪く言えば、言い方をすれば、処置に困っているものを安く日本に送ってきているのです」
「これを触媒として使っているのです。この劣化ウランを触媒として使用許可したのはだれなのか、この点をまずお聞きしたいと思うんですが!」
回答・科学技術庁のウラン関係の規制をする法律に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律という法律がございます。この法律に基づきまして劣化ウランの使用を許可いたしております。
「この劣化ウランを触媒としてアクリロニトリルを製造している工場は幾つありますか?」
回答・ただいま七社ございます。名前は
神奈川県の川崎市にあります旭化成の工場、
それから山口県の岩国市にある三井石油化学の工場、
それから大阪府の高石市にあります三井東圧の工場、
それから神奈川県の川崎市にある昭和電工の工場、
それから愛媛県の新居浜市にあります住友化学の工場、
それから千葉県の市原市にあります住友千葉化学の工場、
それから同じく千葉県の市原市にあります窒素石油化学の工場、
合わせて七社でございます。
先述の2012年文科省報告から、劣化ウランとおぼしきものが保管されている工場を拾い出してみると、
なお、「劣化ウラン200トン 化学メーカー4工場に眠る」という見出しの日本経済新聞新聞(2000.8.7)には、次のような数字が上がっています。
住友化学工業 68.8 トン, 三井化学 71.1トン。
昭和電工 44.5トン, 旭化成工業 8.5トン。
劣化ウランだけでなく、核物質が化学工場に保管されている例は他にも多くあります!
例えば、日本触媒姫路製造所のウランやトリウム。これも「湧き出し」の核物質である。上述の環境省原子力規制委員会の文部省から引き継がれた報告によれば、日本触媒姫路製造所内の株式会社アイシーティー AC研究所でプラスチック容器に入った重ウラン酸アンモン(ウラン量 約400g)や硝酸ウラニル、硝酸トリウムなどの核物質がみつかったと言います。
元々は日本触媒吹田工場にあったものが、同工場の一部移転に伴って、同社姫路製造所に移動され、さらに昭和63年に同製造所内にあるアイシーティーAC研究所に移動されたものである。
参考のために報告書の全文を下に掲げる。
使用の許可を要する数量の核燃料物質の発見について
7月31日、当省に対し、株式会社アイシーティーから、使用の許可を要する数量の核燃料物質が発見されたとの連絡がありましたのでお知らせします。
当省は、発見された核燃料物質が安全に保管されていること、従事者の放射線障害のおそれ及び環境への影響のないことを確認するとともに、同社に対し他に核燃料物質がないか確認を求めました。
1.発見の経緯
同社の説明によれば、発見場所、発見された核燃料物質及び経緯は以下のとおりです。
(1) 発見場所
株式会社アイシーティー AC研究所 (兵庫県姫路市) ((株)日本触媒 姫路製造所内)
(2) 発見された核燃料物質
硝酸ウラニル水溶液(ガラスビン)ウラン量 約0.7g※
アンモニアウラニル水溶液(ガラスビン)ウラン量 約7.5g※
重ウラン酸アンモン(プラスチック容器)ウラン量 約400g※
硝酸トリウム(ガラスビン)トリウム量 約11g※×2
硝酸ウラニル(ガラスビン)ウラン量 約15g※
※1: 化合物の総重量とその組成比から算出した推定値。
※2: 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令第39条に定めるところにより、天然ウラン又は劣化ウランについては300g、トリウムについては900gを超える場合は核燃料物質の使用許可を要す。
(3) 経緯
1.平成18年5月11日、同社は、AC研究所内の現在使用していない廃棄試薬の点検整理を行っていたところ、実験室内に核燃料物質とみられる物質を発見した。このため、発見場所の周囲の放射線量の確認等を行った上で、その旨を同年7月31日に文部科学省に連絡した。
2.当該物質は昭和58~59年頃に、㈱日本触媒吹田工場(大阪府吹田市)の一部移転に伴って㈱日本触媒姫路製造所に移動され、さらに昭和63年に同製造所内にある㈱アイシーティーAC研究所に移動されたものである。
3.文部科学省は、同社に対し、当該物質の周囲に遮へいを施すとともに、みだりに人が近づくことがないよう周囲に立入禁止等の措置をとり、安全に保管管理するよう指導した。なお、当該物質による従業者の放射線障害のおそれ及び環境への影響はない。
2.保管状況
現在、当該物質は、当省の指導に従い、同研究所の倉庫として使用している部屋において施錠管理されている。この保管状態で、当省が線量を測定した結果は、同社が立ち入り禁止区域を設定している当該部屋の外側で、最大0.14マイクロシーベルト/時で、バックグラウンド(0.10~0.14マイクロシーベルト/時)と同程度であり、安全上問題のないレベルである。
3.当省の対応
(1) 当省は、同社からの連絡を受け、安全が確保されていることを確認したうえで当省から8月1日に職員2名を派遣して保管状況について確認し、より安全を確保するための措置を指導した。これに従い、同社は、当該物質を他の部屋に移して当該部屋を施錠管理することとした。
(2) また、同社に対し、他に核燃料物質がないか、さらに詳細に確認する とともに、発見された核燃料物質については、原子炉等規制法に基づき、核燃料物質の使用許可申請を行い、同法に定める技術基準を遵守して、適切に管理するよう指導した・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
お問い合わせ先
科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室
原子力安全課原子力規制室長 小原薫
電話番号:03-6734-3926(直通)、03-5253-4111(内線3926)
(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)
昨年来、次々に発生した化学工場の爆発火災事故で、工場内にあった劣化ウランなどの核物質が、冒頭に掲げたチッソ石油株式会社五井製造所の劣化ウラン同様に、火災に伴ってまき散らされる危険に曝されたが、その火災事故と云うのは、以下の3件である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
●4月22日午前2時
三井化学岩国大竹工場レゾルシンプラント
社員1名死亡、社員、協力会社社員、地域住民等12名負傷
●9月29日午後1時20分
日本触媒姫路製造所アクリル酸製造施設
消防吏員1名死亡、消防吏員、従業員、警察官等36名負傷
●10月17日午前9時
住友化学千葉工場袖ヶ浦地区合成ゴム製造プラント:
死傷者なし
最後の住友化学千葉工場の火災事故では、死傷者もなく、マスコミは大きく取り上げなかったが、劣化ウランの危険性を報道した記事もあった。
例えば、日刊ゲンダイでは「劣化ウランが粉塵となってまう恐怖」と云う大見出しで右のような記事を掲載している。
このように昨今は、原発震災以来、化学工場の火災事故を放射能に関連づけて記事にした報道も見られるようになったが、工場内に放射能が保管されていて、火災事故にともなって放射能が飛び散る危険性は今に始まったことではない。
実際、2000年の12月に、住友化学千葉工場袖ヶ浦で同様の火災を起している(総務省消防庁災害情報)。当時も、今回と同様に劣化ウランがまき散らされる危険があった。
さらに、2010年4月には、愛媛県新居浜工場内の子会社エスエヌ化成が火災事故を起している(住友化学ニュースリリース。
ここにも劣化ウランを保管しているドラム缶555本ある(前掲の表参照)。エスエヌ化成はABS樹脂を製造している住友化学の子会社である。
その他にも、1970年代以降の主な石油コンビナートの災害記録を調べてみると、次表に掲げたような事例が見つかりました。
チッソ、日触、三井、住友と、4社が出そろったのには驚く数にはいられない!
いずれも上で見てきた劣化ウランを大量に保管していて最近火災事故を起こした工場である。事故当時に劣化ウランのことが問題にされた記憶がない。
化学工場の劣化ウランは何に使われていたのだろうか?
いまや、アフガニスタン、イラク、ボスニアやコソボや湾岸戦争で、弾頭として使われた劣化ウランの危険性は、知れ渡っていますが、そもそも劣化ウランとなんなのでしょうか!
化学的に見れば、劣化もなにもないウランそのものなのである!
天然に採掘されるウランは、ほとんどがウラン238であるが、この中には核分裂の連鎖反応を起こすウラン235も含有されている。
天然ウランの中のウラン235の比率は0.720%程度であり、この濃度を高めることにより原発を動かす核燃料となる。
劣化ウランとは、ウラン235の含有率が天然ウランの0.720%より低くなったものと定義されているが、通常使用される用語としては、ウラン235の濃度が低下した原発の使用済み核燃料から分離されてたウランを「減損ウラン」と呼び、天然ウランからウラン235を分離した残りカスを「劣化ウラン」と呼んで、両者は使い分けられています。
通常、劣化ウラン中のウラン235の比率は0.2から0.3%と天然ウランの半分未満である。
化学的には、劣化ウランといっても、ウランと何らかわらないから、密度が高い重金属である。
それで、鉛やタングステンにかわり弾頭、ロケットや航空機の動翼のおもり、さらに、列車などの重心微調整用おもりにも使われている。バラストに用いられたこともあります。
また鉛と同様に、X線やγ線の遮蔽効果が大きく、医療用放射線機器等から発生する放射線の遮蔽に用いられています。でも、放射性核種であるウランではちょっと首を傾げたくなります。
ガラスに極微量のウランを着色材として加えると、美しい蛍光緑色を呈する。これをウランガラスという。これを使った食器やさまざまな日常雑貨が作成されました。
しかし、今は民間でウランを扱うことが難しいため、新たなものはほとんど生産されていないが、骨董・アンティークとしてファンも多く、高値で取引されているといいます。
さて、1971年の第065回国会の参議院公害対策特別委員会の会議録にあったように、化学工場では、アクリルニトリルの製造で触媒としてウランが使われていた。
アクリルニトリル(Acrylonitrile:AN)と言うのは、アクリル繊維やABS樹脂の原料となる不飽和ニトリルの一種で、基礎化学品です。分子量53.07、融点-83.55℃、沸点77.6〜77.7℃で、無色透明の液体。このアクリルニトルの製造過程で、合成反応(プロピレンのアンモオキシデーション反応)の触媒として、過去に、ウランとアンチモンとの複合酸化物が利用されていた、ということです。
このウラン-アンチモン複合酸化物を用いたアクリルニトル製造法は、1960年代に当時のスタンダードオイル社によって開発され、Sohio(Standard Oil of Ohio)法と命名された製造法で、従来のプロピレンの酸化によりアクロレインを合成した後、アクロレインをアンモニアと共に酸化してアクリロニトリルを合成するという2段階の反応を、触媒を用いて1段階でアクリルニトルを生成するという、当時として画期的な製造法であった。
この製造法で当初使われた触媒が、ウランを15%、アンチモンを30%含有するウラン-アンチモン複合酸化物を多孔質のシリカに担持した触媒であった。
ウラン-アンチモン複合酸化物は、化学的に極めて安定で硝酸や塩酸のような強酸性物質を使用し酸侵出されない、つまり溶解しない。このため、アクリルニトリル生成後のウラン-アンチモン複合酸化物(廃触媒)は処理する事なく、そのまま、ケミカルドラムに放射性廃棄物として保管し管理されている。
このウランを含む廃触媒は、原子力基本法で定める核燃料物質もしくは核原料物質に該当し、核原料物質&核燃料物質に関する法律の規制を受け、廃触媒保有メーカーは、工場内に管理区域を設定し、定期的な管理状況の確認および報告を文部科学省に行い、廃触媒の量によってはIAEAの査察も受けるという。これでは堪らない、と届け出をおこたることになる。
現在もSohio法は、アクリルニトリルの製造法であるが、流石にウランを含む複合酸化物を触媒に使うのではなく、モリブデン-ビスマス-鉄系、鉄-アンチモン-テルル系など安全な複合酸化物の利用に転換している。しかし、放射性物質のウランを含んだ廃触媒は火災事故に巻き込まれる可能性を残したままで工場内に保管され続けている。
放置され続ける劣化ウラン含有廃触媒
一体どうするつもりなのか!
★ 相次ぐヒヤリ きちんとした防災対策を
ニュースの扱いは小さかったが、17日に起きた「住友化学千葉工場」の火災にはゾッとする。合成ゴムをつくるプラントでゴムが燃え、煙がモウモウ立ち上った惨事だ。幸い、火は1時間半後に消し止められた が、この工場敷地内には劣化ウランが入った200リットルドラム缶が2132本も保管されていたのである。
「劣化ウランは昭和40年代にガスなどを製造する際に触媒として使用しました。コンクリート建屋の中で厳重に保管しているので、劣化ウランが火災に巻き込まれる心配はありません。もちろん、今回の火災でも劣化ウランに引火はしませんでした」(住友化学千葉工場・広報担当者)
住友化学は“平静さ”を強調したが、3・11直後に起きた千葉県市原市のコンビナート火災では、コスモ石油千葉製油所の劣化ウランの保管施設が一部延焼。危機一髪だったのだ。
もし劣化ウランに引火したら、どうなったか!
劣化ウランそのものが大爆発を起こすことはありませんが、保管状況によっては粉状態で保管されている劣化ウランが、粉塵となって飛散し、工場の周辺住民が吸い込む可能性があります。気管支や肺、気道に沈着すると内部被曝を起こします。免疫細胞が破壊され、白血病などを発症します!
しかし、現実は劣化ウランは爆発と同度に天空に舞い上がり広範囲にばら撒かれてしまった!この現実を政府はひた隠しにして、頭を悩ましています!
実はこうした放射性廃棄物を大量保管しているのは1カ所や2カ所ではない。平成22年度で全国に195カ所もあり、茨城の「ジェー・シー・オー東海事業所」には200リットル入りドラム缶で8311本、埼玉の三菱マテリアル大宮総合整備センターには3万910本が保管されている。
劣化ウラン弾は兵器用アイソトープの主力生産物兵器用アイソトープから生まれるのが劣化ウラン弾です。
劣化ウラン弾には大きく分けて二種類有ります。
1.アイソトープ弾:住民や家畜を放射能で殺す!
(ウラン238は含まない)
2.炸裂弾:国土、環境に放射能を撒き散らし焦土とする!
(ウラン238を含む)
劣化ウランは、その硬質な物性のため、弾頭部分など兵器の
構造材に再利用されていると喧伝されていますが、現実には、
放射能による生物殺戮兵器であることは明らかです。
劣化ウラン弾に関する米陸軍軍医による過去の研究論文をお借りして読んだことがありますが、その中に、"人体(使用する兵士も含む)に非常に有害な為、使用は好ましくない"と劣化ウラン弾の配備を問題視する記述があります。
これらの爆弾は湾岸戦争やアフガニスタン戦争で米軍に使用され、その放射能が偏西風に乗って、戦地だけでなく、日本を含む世界中が汚染されてしまい、自然背景放射の100万倍もの汚染を引き起こしてしまいました!