いらして下さり感謝します。
今朝、東尾理子さんがお腹の中の赤ちゃんの検査でダウン症の可能性があるというニュースが走りました。
クアトロテストというもので、血液検査で胎児の病気についての可能性を調べるもの。
これによれば1/82の確率で彼女のお子さんにはダウン症になるだろう、というもの。
彼女は「わが子の全てを受け入れる」とのことでこれ以上は検査されない方向だそうです。
ちなみに、この後は羊水検査というややリスクがある検査を行うと確定するそうです。
一般的に、両検査は有料で、クアトロテストで子どもに先天性の病気の可能性が1/10出たとしても羊水検査では0ということもあるらしいので、飽くまでも受けるのは任意というものだし、最初のテストで問題の可能性があったからといって実際に子どもにそういう症状が出るとは限りません。
ただ、今だからこういう話題がニュースになるのでしょう。
では既に原発事故の起きたベラルーシのデータを見てみましょう。
ゲンナジー・ラズューク,佐藤幸男,ドミトリ・ニコラエフ,イリーナ・ノビコワによるチェルノブイリ原発事故によるベラルーシでの遺伝的影響から引用します。
新生児の先天性障害
ベラルーシ共和国では,新生児の先天性障害に関する国家規模でのモニタリングプログラムが1979年から行なわれている.医療施設のランクにかかわらず,すべての医療施設において周産期児(分娩前後の胎児・新生児)の先天性障害が診断・登録されている.それぞれの症例については,診断にあたった医師が登録用紙に記入し,その用紙がミンスクの遺伝センターに送られる.先天性疾患研究所のスタッフが,定期的な地域巡回か,センターにおける家族面談の際に,記載のチェックを行なっている.新生児,および胎児診断後に人工流産された胎児に観察された障害は,無脳症,重度脊椎披裂,口唇・口蓋裂,多指症,重度四肢欠損,食道閉塞,肛門閉塞,ダウン症,および複合障害に分類されて登録される.セシウム137の汚染レベル別の結果を表2に示す.セシウム137の汚染レベルが1Ci/km2以下の30地区を対照グループに選んである.*1Ci(キュリー)=37GBq(ギガベクレル)=370億ベクレル
ベラルーシの国家モニタリングにおける先天性障害頻度(1982~1995)
(上段:新生児1000人当り頻度,下段:観察数)
ベラルーシにおいて先天性障害の増加をもたらしている原因として最も考えられることは,慢性的な被曝またはネガティブ要因の複合的な影響による,突然変異レベルの増加である.以下の事実も間接的にこれを示している.
- チェルノブイリ事故で被曝したベラルーシ,ウクライナ,ロシアの人々の末梢血白血球において突然変異レベルが増加している2,5,8.
- 15Ci/km2以上の汚染地域での増加が大きく,なかでも,新しい突然変異が大きく寄与する障害(多指症,四肢欠損,複合障害)が増加している.ただし,新しい突然変異のうち,ダウン症といったトリソミーの増加は認められていない。
先天性障害の増加とチェルノブイリ事故による被曝との関係を調べるため,ゴメリ州とモギリョフ州における(大きな都市は除いた)データを,放射能汚染については安全と考えられるビテプスク州のデータを対照としながら解析してみた.被曝量は,放射線医学研究所のデータで,18歳以上の住民について,事故発生以来の外部被曝と内部被曝を合わせた平均被曝量である.
先天性障害頻度と平均被曝量の比較(農村地区,18歳以上)
解析結果を表に示す.対照地域に比べ,汚染地域での先天性障害頻度の増加1%当りの平均被曝量は,モギリョフ州では0.20ミリシーベルト,ゴメリ州では0.31ミリシーベルトである.これらの値を,放射線被曝による遺伝的影響の倍加線量に換算すると0.02~0.03シーベルトとなり,国際放射線防護委員会(ICRP)や国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が採用している倍加線量値の1シーベルトに比べ極めて小さな値となる.この結果は,放射線被曝にともなう遺伝的影響が従来考えられてきたより大きいものであるか,または,解析に用いた被曝量の値が実際の被曝よりかなり小さく評価されていることを示唆している.
とのことです。
下記は早川由紀夫氏の作成された地図です。位置関係をよくご覧になって下さい。
スリーマイル島でも、今の私たちからすれば全然大したことのない数値だったのにも関わらず遺伝子への影響が随分取り沙汰されていました。
既に今までのデータから十分予測がつくのではないでしょうか?
2012年2月更新のICRP(国際放射線防護委員会)の勧告
がん、遺伝的疾患の誘発等の確率的影響に関しては、放射線作業者の場合、容認できないリスクレベルの下限値に相当する線量限度と年あたり20mSv(生涯線量1Sv)と見積もっている。公衆に関しては、低線量生涯被ばくによる年齢別死亡リスクの推定結果、並びにラドン被ばくを除く自然放射線による年間の被ばく線量1mSvを考慮し、実効線量1mSv/年を線量限度として勧告している。
つまり、
放射線作業者 20mSv/年(生涯線量1Sv) 但し緊急時は500mSv
公衆 1mSv /年
日本
放射線作業者 250mSv(今が緊急時)
公衆 20mSv/年
今年2月20日の日経新聞で発表されたところによれば、福島県人200万人の健康調査をした内の浪江町、飯舘村などの住民ら計9747人について、事故後4カ月間の個人の外部被曝(ひばく)線量の推計値を公表した。一般住民で10ミリシーベルト以上は71人(0.7%)で、最高値は23ミリシーベルトの女性だった。
公衆(71人) 10mSv/4カ月
放射線を短期間に全身被ばくした場合の致死線量
2Sv 5% 死亡
4Sv 50% 死亡
7Sv 100% 死亡
(3~10シーベルトで骨髄死を起こして白血病、10~100シーベルトで腸死を起こし 3日~4日で死亡、100シーベルト以上では中枢神経死を起こして数時間~1日以内に全身けいれんなどで死亡)
ちなみにもともとの自然放射線は1988年の時点で下記のような分布になっていたと国連科学委員会から報告されています。
私たちは自然から2.4mSv/年受けているといわれており、更に人工的に1mSvは浴びているとのことです。
そして食品衛生法に基づいて今年4月1日から新基準が採用になりました。
厚生省のパンフレットから。
同パンフレットの中にこんな項目があります。
何かおかしいと思うのは私だけでしょうか?
今の私たちの日々見かける数値を振り返りましょう。
今日、あなたはどこの報道からどんな数値を見ましたか?
なお、単位を復習した方の為に、北海道の歯科医の先生のブログから一部転載致します。
放射能と放射線(ウイズ矯正歯科さんのブログより)
ベクレルやシーベルトは放射線や放射能の量を表すときに使う単位です。これらの単位の名称は、放射線の研究に貢献のあった学者の名前からとったものです。
福島第1原発の事故で、周辺地域の農産物や水道水、雨などの降下物から放射性のヨウ素やセシウムといった放射性物質が検出されました。
ここで、ベクレルとシーベルトについて、少しまとめてみました。
Q 「ベクレル」って何?
A どれくらい放射線を出す能力を持っているかを表す単位です。放射性物質の原子が壊れる(壊変する)と放射線が出ますが、「ベクレル(Bq)」は、1秒間に放射性物質が壊れる数を表します。
例えば、ある放射性物質に「1ベクレルの放射能がある。」と言った場合、その放射性物質は1秒間に1回原子が壊れて放射線を出すことを表しています。人の身体の中には約7000ベクレルの放射能がありますが、これは、1秒間に約7000個の原子が壊れ、放射線を出すことを表しているものです。
Q 1ベクレルってどのくらいの量なの?
A ラジウム温泉1リットルでおよそ10万ベクレル、人も体内に放射性物質を含むため、人体全体で約6千~7千ベクレル、たばこの灰1グラムで約5・9ベクレルといった具合です。
Q 「シーベルト」とは、どう違うの?
A 「シーベルト」は人間が放射線を浴びたときの影響を表すのに使う単位です。放射性物質が出す放射線にはアルファ線やガンマ線などいろいろな種類があり、その種類や物質からの距離によって人体への影響が異なります。
放射線の影響度合いは、放射線の種類(α線やβ線、γ線など)や放射線を受けた場所(胃や肺、皮膚など)によって異なります。つまり同じ量(エネルギーの量)の放射線を受けてもγ線より中性子線の方が影響は大きいし、同じ種類の放射線でも皮膚より胃の方が大きくなります。
放射線の種類や受けた場所によって受ける影響の度合いが違うという煩わしさを解消するため、これらの違いを考慮して、同じものさしで比べることができるように作られた単位がシーベルトです。
日本人は自然状態で年間約2・4ミリシーベルト浴びています。これ以外に、人工的には年間1ミリシーベルト(千マイクロシーベルト)が一般人の許容限度とされていますが、CTスキャンなど明確な利益や理由がある場合は、許容限度とは別に考えることになっています。職業で放射線作業をする人には別の基準があります。
お読み頂きありがとうございました。