山の姿形について語るシリーズ、秋田駒(こちら)の次は乳頭山にしようと思いました。
ところがこのお山はあまりメジャーでないようです。
そのため、このお山を語った書籍などは無いのですが、
意外にもウィキペディアでは割と詳しく解説されていました。
許可は得ていないですが、一部を引用させて頂きます。
「乳頭山(にゅうとうさん)とは、秋田県仙北市と岩手県岩手郡雫石町にまたがる山である。
十和田八幡平国立公園の中に位置する。
遠くから見たゆったりとした印象とは異なり、
山頂の東側は断崖絶壁となっている。山頂は崩壊が進んでいる。
以前あった山頂の三角点も行方不明となり、現在の地形図では三角点が抹消されている。
秋田駒ヶ岳とともに古くから知られた山で、
秘湯で名高い乳頭温泉郷の北東に乳房のような山容を見せている。
山頂からは、岩手山や林野庁の森林生態系保護地域に指定されている葛根田川源流部などを一望できる。
また、東隣の笊森山と三角山の鞍部に広がる千沼ヶ原は、尾瀬にも匹敵するほどの高層湿原とも言われている。
秋田県側から見ると乳房を伏せた形に見えるので「乳頭山」と名付けられている。
一方、岩手県側からは烏帽子のように見えるので、「烏帽子岳」や「烏帽子山」と呼ばれている。
国土地理院の地図には「烏帽子岳(乳頭山)」と表記されているが、
登山関連書籍では「乳頭山」または「乳頭山(烏帽子岳)」と表記されているものが多い
(以下、略)。」
個人的な話で恐縮。私は約60年前(10歳くらいの頃)、
廻りの大人達の会話からこの山の名前を知りましたが、姿の方は見たことがなく、
しばらくの間は妄想、
いや想像するばかりでした。
乳頭山は奥羽山脈の奥深くにある山なので、人里からはさっぱり見えません。
大人になり、車を運転するようになってから、
この山が田沢湖の西岸、潟尻集落付近から見えることを知りました。
乳頭山が見える人里はもしかしたらここだけかもしれません。
2015/03/16 潟尻付近から望む。
ここから荷葉岳や秋田駒ヶ岳はよく見えますが、乳頭山はその二山の間、奥にちっこく望まれます。
拡大してみると・・・
2015/12/24
その形は「乳頭=乳首」と言うよりも、左側(北)に頭を置いて、
仰向けになった女性のおっぱい(乳房)片方のように見えます。
そうなると乳頭山ではなく、乳房山。まあどちらでもいいです。
このお山は下界からは非常に見えにくいですが、近くの高い山に登ればよく見えます。
最も多くの皆さんが見る乳頭山はたぶんここからだと思います。
ここは秋田駒ヶ岳の八合目登山口から20~30分くらい登った片倉展望台や赤土広場と呼ばれる場所。
乳房山いや乳頭山です。
2017/09/05
乳頭山にアプローチするには複数のルートがありますが、
今回は秋田駒の八合目から、笹森山、笊森山経由で行ってみることにしました。
笹森山と湯森山の鞍部付近から望む姿は先ほどの片倉展望台から見たものと全く同じです。
2014/09/15 笹森山と湯森山の鞍部付近から望む。
湯森山から望んでもほぼ同じ、乳房山。
2014/09/15 湯森山の山頂付近から望む。
その後しばらく見えなくなりますが、笊森山の山頂を過ぎるとまた見え出します。
この先は山頂までの間、絶え間なく乳頭山を見ながら歩くことになりますが、
ほぼ同じ場所から見た三枚を。
初夏の姿。残雪が有りました。
2018/06/16
盛夏の姿。道端にはハクサンシャジンが咲き乱れていました。
2016/08/11
紅葉の頃。登山者も入れて撮りました。
2016/10/02
だいぶ近づいて来ました。乳首は岩の塊でした。
2016/08/11
左手、奥に見える山は秋田駒ヶ岳。
2016/10/02
ここで岩手側から見た乳頭山に話題を切り替えます。
このお山、岩手では烏帽子岳と呼ばれますが、
(私の知る範囲では)岩手の低地からは見えないようです。
たまたま岩手山の中腹にある網張温泉に行ったところ、
西側に尖った形の小さな山が見えました。
2018/03/07 左側手前が平ヶ倉山、左奥が笊森山、右奥に乳頭山。
乳頭山をアップで見ると・・・
2018/03/07
このお山、猫が香箱座りしてるようにも見えます。
猫の頭部が乳頭山、丸い背中は「小乳頭」と呼ばれる山です。
紅葉の名所として知られる三ッ石山の帰り道、
奥産道を歩いていたら、林の間から鋭く尖った山が見えた。
初めて見た時は、何でこんな場所に槍ヶ岳かと思いました。
2021/07/18 奥産道から望む。
同じく三ッ石山に登山途中、見た乳頭山。
2021/06/07 左に笊森山、右に乳頭山。真ん中奥に秋田駒ヶ岳・男女岳(おなめだけ)。
先にも申し上げましたが、岩手県側から乳頭山は烏帽子のように見えるので、
「烏帽子岳」や「烏帽子山」と呼ばれています。
次の写真は乳頭山に岩手側から登るルートのひとつ、
「滝の上コース」の途中から見たものです。
基本的には先の三ッ石山に登山途中から見たものと似ています。
2016/08/11 左に笊森山、右に乳頭山。真ん中奥に秋田駒ヶ岳。
より近づくと烏帽子そのものだと思います。
2019/09/17
頂上は目の前、岩の塊。
2019/07/15
山頂からの眺めは素晴らしい。東には岩手山が大きい。
2016/08/11
西側には田沢湖。
2019/09/17
北側の八幡平方面の眺めも素晴らしいが、
少し西にずらして森吉山方面を。
すぐ下には田代平湿原、右に見えるてっぺん禿げの山は大白森。
2016/10/02
その後は田代平湿原を通り、乳頭温泉(孫六温泉)へ下ります。
田代平から望む乳頭山はなだらかで優しい姿です。
2016/10/02
孫六温泉への下り口からは再び田沢湖が見えます。
湖に入水するような気分です。
2019/09/17
乳頭山から北西方向には山頂が広大な湿原となった大白森(1216m)があります。
ここから望む乳頭山はとてもまろやかな姿です。
右奥の笊森山はあえて見なかったことにして、
左の小乳頭と並べてみると、女性の胸、おっぱい両方を上から見たような見ないような・・・。
2016/10/16
これで終わりかと思ったら、PCハードディスク内に次のような写真が有りました。
低地から乳頭山が見えていただけでなく、岩手山も一緒に写っていたのには驚きました。
2017/01/08 大仙市から。
以上。
「乳頭山の花図鑑(1)初夏編」へ続く。
きつも山の情報を楽しく拝見しています。
乳頭山は一度だけ、孫六か黒湯だったから登りました。
そんなにキツくなく紅葉を楽しみながらの歩きでしたが、まさか山頂があの形だとは想像していませんでした。
滝の上温泉から千沼ヶ原に行きたいと思いながら10年以上経ち、憧れに終わりそうです。
乳頭山は約40年前、結婚したばかりの頃と会社をリタイアする2016年の前後、集中的に登りました。
40年前は秋田駒の八合目から遙々と縦走で、割と最近は孫六温泉からピストンばかりでした。
縦走路は花も景色もとても素晴らしいルートですが、最近は刈払いされなくなり、
荒れてしまい、とても残念です。
昨年また久しぶりに孫六温泉に立ち寄ったら、温泉が休業になっていて驚きました。
それ以上にクマが多い山なので、怖くて今年は模様眺めです。
花も多い山です。この後、花をやりますので、引き続きご覧下さいませ。
乳頭山シリーズ、素晴らしい!
そんなに大変ではないのに、秋田駒ヶ岳の喧騒とは対照的な静けさはありがたい\(-o-)/ 田代平や千沼ヶ原も良いです。
子どものころの「妄想」、クスリとしました
乳頭山は小ぶりで高くもないのに、凛として好いお山です。
隣の千沼ヶ原や笊森山も合わせて廻れば、秋田駒よりも深みのある山だと思っております。
最近、登山道が荒れているとの話を聞きます。
クマも多い山域なので、今後は慎重に対応してまいります。