■労働政策審議会の審議開始
2013年8月20日に「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000016029.html
本日、30日から労働政策審議会での審議が開始されます。
■規制改革雇用WGが独自案提案の動き
他方で、規制改革会議が、厚労省研究会案は、規制緩和が不十分だとして、労働者保護のための規制を見直す「独自案」を10月末にも提起すると朝日新聞が報道しています。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308290645.html?ref=pcviewpage
■厚労省の研究会報告書
報告書は、製造業派遣を解禁することを前提としています。また、派遣労働者を入れ替えることを前提にして、受入期間(3年)の上限を撤廃します。派遣労働者を入れ替えれば、派遣先の労使のチェック(承認?)を要件とし、長期に派遣を派遣先企業は使うことができることになります。
これで企業(派遣先)は、派遣労働者を継続的に長期に使用できます。直接雇用の労働者(正社員)を減らして派遣労働者を継続的に使用することができます。派遣会社(派遣元)は、派遣ビジネスを広く展開することができることになります。
結果、正社員は減少して、派遣社員は増加することは間違いない。
■雇用安定化措置は実効性がない
他方、有期雇用遣労働者について、雇用安定化措置を派遣元に義務づけるとしています。
① 派遣先への直接雇用の申入れ
② 新たな派遣先就業の提供
③ 派遣元での無期雇用化
この雇用安定化措置の内容も明確ではありません。
①については、派遣先に直接雇用を義務づけるものではないので、派遣先が拒めばおしまいです。
②については、他の派遣先が見つからなければ、仕事を失うことになります。
したがって、①と②は実効性のある雇用安定化措置となりません。
では③ですが、「派遣元での無期雇用化」としますが、派遣会社が有期雇用派遣を無期契約に転換することまで義務づけるかどうかは不明です。
労働契約法20条は、有期契約を5年を超えて更新した場合には無期契約転換権を労働者に認めます。これと同じように、③「派遣元での無期雇用化」がそこまでの効力(私法的効力)を認めるかは不明です。
(派遣元との間で無期雇用化すれば、派遣労働者は派遣会社との間では雇用が安定します。新たな派遣先が見つからなくても派遣会社は派遣労働者に給料を支払わなければならない。)
派遣労働者法は、取締規定であり私法的効力を持たないという立場が多数説ですから、おそらく、上記の無期転換化は、いわば派遣元の努力義務の程度のものでしょう。
■結局
結局、製造業派遣等を自由化して、政令26業務については、現行法では派遣労働者は上限なく派遣先で働けるけれども、この改正では3年で入れ替えられて仕事を失います。雇用安定化措置は絵に描いた餅でしょう。そして、正社員でなく派遣労働者が増えていく。
得をするのは、企業と派遣会社のみだと思います。
http://blogos.com/article/69092/?axis=t:4390
2013年8月20日に「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000016029.html
本日、30日から労働政策審議会での審議が開始されます。
■規制改革雇用WGが独自案提案の動き
他方で、規制改革会議が、厚労省研究会案は、規制緩和が不十分だとして、労働者保護のための規制を見直す「独自案」を10月末にも提起すると朝日新聞が報道しています。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308290645.html?ref=pcviewpage
■厚労省の研究会報告書
報告書は、製造業派遣を解禁することを前提としています。また、派遣労働者を入れ替えることを前提にして、受入期間(3年)の上限を撤廃します。派遣労働者を入れ替えれば、派遣先の労使のチェック(承認?)を要件とし、長期に派遣を派遣先企業は使うことができることになります。
これで企業(派遣先)は、派遣労働者を継続的に長期に使用できます。直接雇用の労働者(正社員)を減らして派遣労働者を継続的に使用することができます。派遣会社(派遣元)は、派遣ビジネスを広く展開することができることになります。
結果、正社員は減少して、派遣社員は増加することは間違いない。
■雇用安定化措置は実効性がない
他方、有期雇用遣労働者について、雇用安定化措置を派遣元に義務づけるとしています。
① 派遣先への直接雇用の申入れ
② 新たな派遣先就業の提供
③ 派遣元での無期雇用化
この雇用安定化措置の内容も明確ではありません。
①については、派遣先に直接雇用を義務づけるものではないので、派遣先が拒めばおしまいです。
②については、他の派遣先が見つからなければ、仕事を失うことになります。
したがって、①と②は実効性のある雇用安定化措置となりません。
では③ですが、「派遣元での無期雇用化」としますが、派遣会社が有期雇用派遣を無期契約に転換することまで義務づけるかどうかは不明です。
労働契約法20条は、有期契約を5年を超えて更新した場合には無期契約転換権を労働者に認めます。これと同じように、③「派遣元での無期雇用化」がそこまでの効力(私法的効力)を認めるかは不明です。
(派遣元との間で無期雇用化すれば、派遣労働者は派遣会社との間では雇用が安定します。新たな派遣先が見つからなくても派遣会社は派遣労働者に給料を支払わなければならない。)
派遣労働者法は、取締規定であり私法的効力を持たないという立場が多数説ですから、おそらく、上記の無期転換化は、いわば派遣元の努力義務の程度のものでしょう。
■結局
結局、製造業派遣等を自由化して、政令26業務については、現行法では派遣労働者は上限なく派遣先で働けるけれども、この改正では3年で入れ替えられて仕事を失います。雇用安定化措置は絵に描いた餅でしょう。そして、正社員でなく派遣労働者が増えていく。
得をするのは、企業と派遣会社のみだと思います。
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