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九大キャンパス火災 元院生の男性 放火し自殺か 身元判明、福岡東署

2018-09-16 | 労働ニュース
■困窮、研究の場も無く 「経済破綻に直面」知人に訴え 非常勤職失い複数のバイト

 福岡市東区の九州大学箱崎キャンパスの火災で亡くなった卒業生の男性(46)は、2010年の退学後も常勤の研究職を目指していたが、非常勤職を“雇い止め”に遭うなどして困窮を深めた。家賃の支払いも滞り、肉体労働を掛け持ちして研究室で寝泊まりするようになった。そこに学舎の移転が重なる。「耐乏生活を強いられる」「経済破綻に直面」-。男性は親交のあった大学関係者に宛てたメールで、苦しい胸の内を訴えていた。

 複数の関係者によると、男性は15歳で自衛官になったが退官し、九大法学部に入学。憲法を専攻し、1998年に大学院に進学した。修士課程を修了して博士課程に進んだが、博士論文を提出しないまま2010年に退学となった。

 ドイツ語を勉強し、文献の校正ができるほどの力を付けた。生前は少なくとも県内の二つの大学で非常勤講師を務める傍ら、教授の研究補助もしていた。元教授は「授業の発表も丁寧で、論文を書く能力もあったのに」と振り返る。
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心の内をメールで明かしていた

 そんな男性が、信頼した九大関係者に心の内をメールで明かしていた。

 月末払いの家賃を振り込もうとしましたが、金額が足りませんでした。経済破綻に直面しています(昨年6月1日)

 3、4月はほぼ無給だったことや、専門学校の非常勤職が“雇い止め”となり、5、6月の月収は14万5千円とつづった。

 10万円借りることができました。なんとか過ごせそうです(同月4日)

 男性は同月から昼間に週4回、宅配便の仕分けのアルバイトを始めた。

 昼のバイトを始める時73キロあった体重が、現在61キロ(今年3月12日)

 昨年12月からは夜も週4回、肉体労働の別のバイトも掛け持ちしていた。

 研究室の移転も始まっています。宝くじが当たるなどしない限り、泥沼から脱出できないでしょう(7月27日)

 この頃は夜のバイトを週6回に増やし、研究室に寝泊まりする状態だった。

 時の経過とともに、事態は悪化しています(8月9日)

 大学側から研究室退去の要請を受けていたが、片付けに着手していなかった。
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「院生はみな厳しい現実を共有していた」

 「院生はみな厳しい現実を共有していた。私が彼だったかもしれない」。男性をよく知る研究者は声を落とす。


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